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【完結】可愛い子を十人集めたいだけだったのに、なぜか帝国を救うことになりました  作者: ごまだんご
第7章 世界の秘密編

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第66話 「ルナの知っていること」

 巨大な穴の縁。少し離れた場所には、他の冒険者パーティーや、帝国軍の調査隊の姿も見えた。

 測量器具を構える者、地質を採取する者、それぞれが自分の持ち場で作業を続けている。多くの人手が投入されているのが分かる、大掛かりな現場だった。


 その喧騒から一歩離れた場所で、リリアたちはまだ動いていなかった。理由は簡単である。神様が知っていたからだ。


「説明」


 ミレーユが言う。


「説明してください」


 フィアナも言う。


「説明が必要ですわ」


 エレノアも言う。


 全員同じ意見だった。


 ルナは困った顔をした。


「えー」


 珍しく嫌そうだった。


「えーじゃない」


 セリナが言う。


「知ってるんだろ?」

「知ってる」


 即答だった。全員頭を抱えた。


「じゃあ話して」


 リリアが言う。


「分かった」


 意外と素直だった。その場に腰を下ろす。みんなも座る。


「他の人たちに聞かれても大丈夫?」


 エレノアが小声で確認する。


「聞かせるとまずいかも」


 ルナも珍しく声を落とした。全員で少し穴の縁を回り込み、他の調査隊からは死角になる岩陰へ移動する。巨大な穴を前にした、内緒の説明会が始まった。


「まず結論」


 ルナが言う。


「これ、ダンジョン」


 静寂。


「ダンジョン?」


 ユナが聞く。


「ダンジョン?物語に出てくる?」


 ルシェ。


「それ」


 ルナ。再び静かになる。


 ダンジョン。誰でも知っている言葉だった。冒険譚にはよく出てくる。古代の迷宮、宝の山、魔物の巣。子供向けの本にも出てくる。しかし現実には存在していない。少なくともそう習っていた。


「実在したの?」


 カレンが聞く。


「するよ」


 ルナ。


「今目の前にあるし」


 全員穴を見る。確かにある。


「本当に?」


 ルシェ。


「本当に」


 ルナが頷く。


「昔は結構あった」


 とんでもない話だった。フィアナが眉をひそめる。


「聞いたことないけど」

「だって消えたし」

「消えた?」

「封印した」


 さらに意味が分からなくなった。


「誰が?」


 セリナ。


「人間と神様」


 軽い口調だった。内容は全然軽くなかった。


「そんな重要なこと歴史に残りますわよね?」


 エレノアが聞く。


「残らなかった」

「なんで?」

「いっぱい壊れたから」


 説明が雑だった。ミレーユが頭を抱える。


「もっと分かりやすく」

「頑張る」


 ルナは少し考えた。


「昔ね」


 珍しく真面目な顔だった。


「今よりずっと凄い文明があった」


 風が吹く。誰も喋らない。


「魔法も強かった」

「道具も凄かった」

「空も飛んでた」


 沈黙。


「空?」


 ユナが固まる。


「飛ぶの?」

「飛ぶ」


 当たり前みたいに答えた。


「鳥みたいに?」


 ルシェ。


「もっと凄い」


 誰も想像できなかった。カレンだけは目を輝かせている。


「古代文明!」

「そう」


 ルナが頷く。


「古代文明」


 その単語を聞いた瞬間、カレンが立ち上がった。


「行きましょう!」


 早かった。


「まだ話終わってない」


 ミレーユ。


「でも古代文明ですよ!?」


 興奮しすぎだった。ティアが苦笑する。


「少し落ち着け」

「無理です!」


 即答だった。声が少し大きくなり、ルシェが慌てて周囲を確認する。


「静かに、他のパーティーに聞こえます」


 カレンは、はっとした顔で口を押さえた。


 ルナは続ける。


「で、その古代文明の人たちが作ったのがダンジョン」


「目的は?」


 ノアが聞く。珍しく長文だった。


 ルナは少し空を見た。


「色々」


 全員ずっこけそうになった。


「訓練」

「研究」

「保管」

「あと趣味」


 最後がおかしかった。


「趣味?」


 フィアナ。


「変な人いたから」


 古代人にも変人はいたらしい。少し安心した。


 リリアは違った。目が輝いている。


「面白そう」


 予想通りだった。


「だからそうなるのよ」


 ミレーユが言う。


「ダンジョンだよ?」

「そこなの?」

「そこ」


 即答だった。ルナが笑う。


「リリア好きそう」

「好き」


 即答だった。否定できる人はいなかった。


 その時だった。穴の奥から風が吹く。冷たい。少しだけ不気味だった。ルナの表情も変わる。


「でもね」


 全員が見る。


「面白いだけじゃないよ」


 珍しく真面目だった。


「ここ」


 ルナが穴を指差す。


「たぶん結構深い」


「どれくらい?」


 セリナ。


「昔のままなら」


 少し考える。


「都市一個分くらい」


 沈黙。


「は?」ルシェ。

「え?」ユナ。

「都市?」フィアナ。


 全員固まった。今まで入り口だと思っていた。どうやら違うらしい。入り口の先に、さらに巨大な世界がある。


 離れた場所では、調査隊の一人が測量結果に首を傾げているのが見えた。彼らには、まだこの規模が正確には伝わっていないのかもしれない。


 リリアは穴の奥を見る。遥か下、小さな光が見える。


「行きたい」


 ミレーユが顔を覆った。言うと思った。セリナも苦笑する。


「止まらないな」

「止まらない」


 リリア。正直だった。


 ルナが笑う。


「じゃあ行こうか」


 こうして少女たちは、失われた古代文明の痕跡、ダンジョン、そして世界の真実へ続く入り口へ、初めて足を踏み入れることになるのだった。

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