028 サザン・ムーンシャイン
昨夜の盛大な宴の熱気が嘘のように静まり返ったルストの町を朝日が照らす。
俺は頭をさすりながらガレージ・リンクで取り出したMedialyteを飲み干す。
「……さて、そろそろ時間か。エルナ、準備はいいか?」
ランクルの助手席で地図を眺めていたエルナが頷いた。
「準備バッチリ! いつでも、いけるわよ」
「OK! それじゃあ……」
俺が運転席のドアに手をかけたその時、背後からあのハスキーで重厚な声が響いた。
「Hey, Ken! 挨拶もなしで行っちまうつもりか?」
振り返ると朝日を浴びながら、マーカスが歩いてきていた。
「マーカス! いや、あんたのことだ、昨日の酒でまだ爆睡してると思ってたぜ」
「メンフィスの男を舐めてもらっちゃ困るな。あの程度の酒、朝飯前……いや、モーニングコーヒー代わりさ」
マーカスはニッと笑うと、俺の前に立った。
「Ken、最高のチキンだった。カンザスシティのBBQソースも、なかなか悪くないって認めざるを得ないな」
「Thanks, マーカス。あんたのBBQスパゲッティも、なかなかだったぜ。……そうだ、これを持って行ってくれ」
俺はガレージ・リンクでJames Bang Rye Whiskeyのボトルを取り出し、マーカスに手渡した。
「ライ・ウイスキーのスパイシーな風味は、あんたの作るメンフィススタイルのドライラブ肉にも絶対に合うはずだ!」
マーカスはウイスキーのラベルをまじまじと見つめ、嬉しそうに目元を緩めた。
「最高の餞別だな。なら、俺からもメンフィスのソウルを分けてやるとするよ」
そう言うと、マーカスもガレージ・リンクを発動して、ガラス瓶を取り出した。中には琥珀色に輝く液体が入っている。
「これは俺がメンフィスで作った『サザン・ムーンシャイン(密造酒コーンウイスキー)』だ。桃とスパイシーな香草を漬け込んである。強烈だが、最高の夜に飲むには持って来いの一品だ」
「Woah, コーンウイスキーの自家製フレーバーか! こいつはたまらないな!」
俺はマーカスから瓶を受け取り、がっちりと握手を交わした。
Dad:『いい酒の交換だな! サザン・ムーンシャインはロックで飲むと最高だぞ!』
:『男の友情てぇてぇ……』
:『メンフィスのブルースマン、最後までカッコ良すぎだろ』
Mama:『マーカスさん、またどこかで会えるといいわね!』
「またどこかの街で会おうぜ、マーカス。その時は、どちらのBBQが上か……決着をつけよう!」
「楽しみにしてるぜ、Brother。道中気をつけてな。良い旅を!」
「Alright! 出発だ!」
俺はランクルのエンジンを吹かし、豪快な排気音を響かせた。後続のガンツとトーマスの馬車もゆっくりと動き出す。
バックミラー越しに見ると、マーカスがゆっくりと手を揚げ、小さくなっていく姿が見えた。
「さあ Everybody、次の目的地へ出発だ!」
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次話明日7:00に公開予定。




