011 Winchester Model 70
――翌日。
「エルナ、索敵は頼んだぜ! 昨日のテキサスBBQに勝る、極上の牛肉を手に入れるぞ!」
ランクルを走らせ、荒野の奥地へ進む。助手席のエルナが展開した索敵魔法が、今までになく激しく反応した。
「Ken、あそこ……! とてつもない魔力の塊が動いてるわ!」
俺たちが目にしたのは、山のような野生の牛、『キング・タウロス』だった。 全身を覆う剛毛と、硬質な筋肉が蠢く様は、まさに動く要塞だ。
「HAHAHA! あのサイズ、あの重厚感! 間違いなく最高級のブリスケットが眠ってるぜ!」
俺は車を安全な距離に停車させると、昨夜ガレージ・リンクで取り寄せた愛銃、Winchester Model 70を取り出した。
:『出た、M70!』
:『BBQのためにそこまでやる男ww』
:『しかも.458ウィンチェスター・マグナムとか、象でも狩る気かよ lmao』
「今日は真正面から撃ち合わない。分厚い装甲の隙間から心臓を直接ブチ抜く。一撃だ」
俺は車から降り、キング・タウロスの側面へと静かに回り込む。相手は巨体ゆえに普段の動きこそ鈍いが、怒り狂った際の突進スピードと破壊力は油断できない。俺は風を読み、分厚い筋肉の奥にある心臓の位置を正確にイメージしながら、アイアンサイト越しに狙いを定めた。
「カンザスシティの魂を叩き込んでやる。……Say hello to my little friend!」
ドンッ!!
.458ウィンチェスター・マグナムの轟音が荒野を切り裂く。
撃ち出された巨大な鉛の塊は、キング・タウロスの硬質な皮と筋肉を易々と貫通した。心臓を正確に撃ち抜かれた巨大牛は断末魔の叫びを上げ、地響きと共に巨体を横たえた。
:『貫通力がヤバすぎるだろwww』
:『一発必中、プロの仕事だな』
:『ハンターKen、今日も絶好調』
:『エルナちゃんも流石に今の威力にはドン引きしてるぞ lol』
巨体が完全に沈黙したのを確認し、俺たちはすぐさま解体に取り掛かった。
血と脂にまみれながら分厚い皮を剥ぎ、巨大な肉塊を切り分けていく。その断面を目にした瞬間、俺はたまらず歓喜の声を上げた。
「オーマイガー……見ろよみんな、この美しい肉を! 力強い筋肉の繊維一つ一つが、まるでダイヤモンドみたいに輝いてるぜ。これこそ俺が求めていた、パーフェクトなブリスケットだ!」
:『うおおおおマジで美味そう!』
:『画面越しでもわかる高級肉感』
:『あんなバケモノみたいな牛からこんな綺麗な肉がとれるのか』
「口動かしてないで、早く手動かしなさいよ」
解体を終えた俺たちは、ガレージ・リンクで肉と革を送り、すぐさま交易街へと急いだ。
◆◆◆◆◆
交易街に戻り、城壁の外にランクルを停めると、BBQの下ごしらえの開始だ。
「Everybody! 昨日のテキサスへのリベンジ、KCスタイルの仕込みだ!」
俺は配信カメラに向かって、キング・タウロスの巨大なブリスケットを誇らしげに掲げる。
:『待ってました!』
:『KCスタイルきたー!』
:『今日はどんな魔法を見せてくれるんだ?』
「テキサスは塩と黒胡椒だけのシンプルさがウリだが、カンザスシティは一味違う! ブラウンシュガーの『甘み』と、トマトやビネガーの『酸味』が織りなす複雑なハーモニーこそがKCスタイルだ!」
俺は独自の配合で作ったスパイスを肉の表面へたっぷりと擦り込み、ガレージ・リンクへと送って、じっくりと味を馴染ませるのだった。
【ウィンチェスター モデル70(Winchester Model 70)】
1936年に米国で誕生し、「ライフルマンズ・ライフル(真の撃ち手が選ぶライフル)」と讃えられる伝説的なボルトアクション・ライフル。過酷な環境下でも確実に作動する絶対的な信頼性と美しさから、世界中のハンターに愛されてきた名機。
【.458ウィンチェスター・マグナム(.458 Winchester Magnum)】
象やバッファローなど、超大型猛獣を狩るために開発された大口径弾薬。モデル70のような標準的なライフルで扱えるよう設計されつつも、規格外の破壊力とストッピングパワーを誇ります。
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次話明日7:00に公開予定。




