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夜想曲『花の国』  作者: ことは
Primo movimento『花の祈り』
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第二楽章終節

第二楽章終節


その旋律は、いつ生まれたのか。

辿るのは、御伽話。


神の手を離れた世界。

そこに芽生えた、幾つもの命。

目覚めたのは、二つの種族。


かつて、人族と魔族は、手を取り合い、支え合いながら、小さな営みの中で生きてきた。

知恵と腕力で世界を切り開き、知識と魔力で秩序を保つ。

それが、草むらに潜む牙を退いてきた。


それは、家であり、家族を隔てる理由など、どこにも無かった。

やがて、村となり、街となり、それが国へとなった頃、旋律が、小さな不協和音を奏で始める。

二つの種族が支配を巡り、忌みを詠い始める。

それが、嫌悪を生み、怨嗟へと育まれる。

互いに蠢く、その想いが、怨恨を成したとき、二つの狭間が、赤く咲いた。


袂を分つせせらぎは、山を駆け上がり、激流へと変貌していく。

それは、大海を蝕み、果てることのない連鎖へと彩りを変えた。


その呪いを担うために、選ばれ続ける勇者と魔王。

討つ者は、ひとときの凪を謳歌する。

討たれる者は、新たな選定を待つ。

決して結ばれることのない、哀れな傀儡。


遠い御伽話が、不変の世界を彩っている。



聖剣を手放した時、それは歪みを奏でた。

魔王城を去った時、ついに神の手を失った。


世界が描き始める、新しい御伽話の始まり。



支配無き国が産声をあげる頃、その花を摘むように、さざなみが津波へと成り、全てを呑み込もうとしていた。

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