作戦名(オペレーション):水着購入
前回登場しなかったアヤが暴走しているだけですので、飛ばしても大丈夫です。
――ピロン。
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アヤ:
明日新しくできたスイーツ屋いくわよ
アヤ:
ついでに夏服も渡すから来なさいよ
アキラ:
おう。サンキュな
アヤ:
休みだから例の可愛い服着てきなさい!これは命令よ!
アキラ:
はあ?まあ学校で着るよりマシだから別にいいけど
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休日。
待ち合わせ場所に現れたアキラは、少しだけ落ち着かない様子だった。
(……なんでこんな服着てんだオレ)
鏡では何度も見たはずなのに、外で着ると別物に感じる。
スカートじゃないにしても、明らかに“可愛い寄り”の私服。
周囲の視線が、少し気になる。
「――来たわね!」
いきなり腕を掴まれる。
「うわっ、アヤ!?」
「さあ行くわよ!」
「ちょ、引っ張んな!」
アヤは満面の笑み。
その後ろで、ミカとナオがニヤニヤしている。
「いやー、やっぱ破壊力あるね」
「ね、写真撮りたい」
「やめろ!!」
顔が一気に熱くなる。
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店内。
甘い香りが広がる、新装開店のスイーツ店。
女子率が高い。
(……場違いじゃね?)
そう思った瞬間。
「ご注文の品、お待たせしましたー」
テーブルに運ばれてきたのは――
「……は?」
明らかに一つだけ、サイズがおかしい。
「でっっっか」
アキラの前に置かれたのは、明らかにカップル用のジャンボパフェ。
他の三人は、普通サイズ。
「いやいやいや!!」
思わず立ち上がる。
「こんな食えねえよ!!」
アヤはしれっと言う。
「え?頼んでないの?」
ミカが肩をすくめる。
「店員さんのミスじゃない?」
ナオがくすっと笑う。
(ぜってえこいつらだろ!!)
ジト目で睨む。
でも――
「……まあ、いいけど」
スプーンを取る。
一口。
「……うまっ」
思わず本音が漏れる。
「でしょ?」
アヤが満足そうに頷く。
夢中で食べるアキラ。
その様子を――
パシャ。
「おい今撮っただろ!!」
「いいじゃん、可愛いんだから」
「消せ!!」
「やだねー」
わちゃわちゃ。
けど、問題は。
「……いや、無理だろこれ」
半分も減ってない。
むしろ、見た目より重い。
「もう無理!おまえらも手伝えよ!」
スプーンを差し出す。
そのとき――
「……アキラ?」
聞き慣れた声。
全員の動きが止まる。
振り向く。
そこにいたのは――ノブだった。
「……え」
アキラの思考が一瞬止まる。
(なんでいる!?)
ノブも同じく、固まっていた。
そして――
視線が、アキラの格好に落ちる。
「……っ」
ほんの少しだけ、顔が赤くなる。
「……なんでノブが?!」
アキラが先に叫ぶ。
ノブは慌てて視線を逸らしながら、
「いや、お前が呼んでるって聞いたんだが……」
「はあ!?」
ゆっくりと、首が横に動く。
アヤを見る。
アヤは、にっこり。
「やだなあ、サプライズよ」
「おまえなああああ!!」
「ノブっち、いいとこ来たじゃん」
ミカがニヤニヤ。
ナオも乗る。
「ちょうどいいよねー」
嫌な予感しかしない。
アヤが、すっとパフェを指す。
「それ、アキラちゃん食べきれないのよ」
「……はあ」
ノブは状況を理解しきれてない顔。
「だからさ」
にやり、と笑う。
「ノブっち、食べてあげなさいよ」
一拍。
「間接キス(ごほうび)よ?」
「「はあ!?」」
ハモる。
アキラの顔が一瞬で真っ赤になる。
「ちょ、ふざけんな!!」
「いや、でももったいねえし……」
ノブは少し困ったように頭をかく。
ちらり、とパフェを見る。
ちらり、とアキラを見る。
「……食うか?」
「聞くな!!」
即答。
でも――
少しだけ、視線が泳ぐ。
ノブは観念したように笑って、
「じゃ、いただきます」
同じスプーンを手に取る。
「ちょっ……!」
止める間もなく、一口。
「……うまいな」
「だろ!……じゃなくて!!」
完全にペースを乱されるアキラ。
その様子を見て、三人は満足げに頷く。
「うん、いいね」
「青春だね」
「尊いわ」
「うるせえ!!」
店内に響く声。
けど――
その顔は、どこか楽しそうだった。
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デパート。
人混みの中を引っ張られるように歩くアキラ。
「ちょ、どこ行くんだよ!」
「いいからいいから」
アヤは振り返りもせずに言う。
たどり着いたのは――水着売り場。
「……は?」
足が止まる。
「アキラちゃん、次は水着買おうか!」
「は?さすがに無理に決まってるだろ!」
即答。
一歩後ずさる。
アヤは、やれやれと言わんばかりに指を振る。
「チッチッチ」
「うぜえな」
スマホを取り出して、画面を見せる。
「タンキニって知ってる?」
「タン……なに?」
「こういうの」
画面には、短パンタイプの水着。
露出も控えめで、ぱっと見はスポーティな私服に近い。
「ほら、下ショートパンツだし、上もそんなに出ない」
「……おー」
思わずまじまじと見る。
「確かに。これなら男物とそんなに変わんねーな」
ぽつりと本音。
アヤはニヤリと笑う。
「でしょ?」
ミカとナオも横から覗き込む。
「絶対似合うよね」
「むしろ普通のより良さそう」
「やめろって」
視線を逸らすアキラ。
でも、完全には否定しきれてない。
そのとき。
アヤが、ふっと横を見る。
「ノブっちも見たいでしょ?」
「……え?」
唐突に振られる。
ノブは一瞬固まる。
視線が――ほんの一瞬だけ、アキラに向く。
すぐに逸らす。
「……おう」
短く答える。
その声が、やけに素直だった。
「……っ!!」
アキラの顔が一気に赤くなる。
「な、なに普通に答えてんだよ!!」
「いや、だって……」
ノブは少し困ったように頭をかく。
「似合うと思うし」
「そういう問題じゃねえ!!」
完全にペースを崩される。
アヤは腕を組んで、うんうんと頷く。
「ほらね?」
「ほらねじゃねえ!!」
逃げようとするが、
「試着だけでもいいじゃん」
「いやだから――」
「減るもんじゃないし?」
「減るだろメンタルが!!」
即ツッコミ。
だが――
三人+一名の視線。
逃げ場がない。
「……ちょっとだけだからな」
観念。
「やった」
アヤが小さくガッツポーズ。
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試着室前。
カーテンの向こう。
「……まだか?」
ノブがなんとなく落ち着かない様子で立っている。
「男子がそわそわすんのやめなよ」
ミカがくすっと笑う。
「うるせえ」
ぼそり。
そのとき――
「……着たぞ」
カーテンの向こうから声。
一瞬、空気が止まる。
シャッ。
カーテンが開く。
「……」
「……」
「……」
全員、言葉を失う。
タンキニに短パン。
露出は少ない。
でも――
シルエットが、はっきり分かる。
健康的で、自然で。
そして、普通に可愛い。
「……やば」
ミカが小さく呟く。
「これは反則」
ナオも頷く。
アヤは満足げに腕を組む。
「でしょ?」
「……なんだよ」
アキラは落ち着かない様子で裾を引く。
「やっぱ変だろ」
ノブは――
少しだけ遅れて口を開く。
「……いや」
一瞬、言葉を探すように視線を逸らしてから、
まっすぐ見る。
「いいと思う」
「……っ」
(なんだよ、それ……)
今度はさっきよりも強く、顔が熱くなる。
「だからそういうのやめろって!!」
バッとカーテンを閉める。
外では、
「買いだね」
「買いだね」
「決定ね」
「勝手に決めんな!!」
中から叫び声。




