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作戦名(オペレーション):水着購入

前回登場しなかったアヤが暴走しているだけですので、飛ばしても大丈夫です。

――ピロン。

==============

アヤ:

明日新しくできたスイーツ屋いくわよ


アヤ:

ついでに夏服も渡すから来なさいよ


アキラ:

おう。サンキュな


アヤ:

休みだから例の可愛い服着てきなさい!これは命令よ!


アキラ:

はあ?まあ学校で着るよりマシだから別にいいけど

==============


休日。


待ち合わせ場所に現れたアキラは、少しだけ落ち着かない様子だった。


(……なんでこんな服着てんだオレ)


鏡では何度も見たはずなのに、外で着ると別物に感じる。


スカートじゃないにしても、明らかに“可愛い寄り”の私服。


周囲の視線が、少し気になる。


「――来たわね!」


いきなり腕を掴まれる。


「うわっ、アヤ!?」


「さあ行くわよ!」


「ちょ、引っ張んな!」


アヤは満面の笑み。


その後ろで、ミカとナオがニヤニヤしている。


「いやー、やっぱ破壊力あるね」

「ね、写真撮りたい」


「やめろ!!」


顔が一気に熱くなる。


---------------------

店内。


甘い香りが広がる、新装開店のスイーツ店。


女子率が高い。


(……場違いじゃね?)


そう思った瞬間。


「ご注文の品、お待たせしましたー」


テーブルに運ばれてきたのは――


「……は?」


明らかに一つだけ、サイズがおかしい。


「でっっっか」


アキラの前に置かれたのは、明らかにカップル用のジャンボパフェ。


他の三人は、普通サイズ。


「いやいやいや!!」


思わず立ち上がる。


「こんな食えねえよ!!」


アヤはしれっと言う。


「え?頼んでないの?」


ミカが肩をすくめる。


「店員さんのミスじゃない?」


ナオがくすっと笑う。


(ぜってえこいつらだろ!!)


ジト目で睨む。


でも――


「……まあ、いいけど」


スプーンを取る。


一口。


「……うまっ」


思わず本音が漏れる。


「でしょ?」


アヤが満足そうに頷く。


夢中で食べるアキラ。


その様子を――


パシャ。


「おい今撮っただろ!!」


「いいじゃん、可愛いんだから」


「消せ!!」


「やだねー」


わちゃわちゃ。


けど、問題は。


「……いや、無理だろこれ」


半分も減ってない。


むしろ、見た目より重い。


「もう無理!おまえらも手伝えよ!」


スプーンを差し出す。


そのとき――


「……アキラ?」


聞き慣れた声。


全員の動きが止まる。


振り向く。


そこにいたのは――ノブだった。


「……え」


アキラの思考が一瞬止まる。


(なんでいる!?)


ノブも同じく、固まっていた。


そして――


視線が、アキラの格好に落ちる。


「……っ」


ほんの少しだけ、顔が赤くなる。


「……なんでノブが?!」


アキラが先に叫ぶ。


ノブは慌てて視線を逸らしながら、


「いや、お前が呼んでるって聞いたんだが……」


「はあ!?」


ゆっくりと、首が横に動く。


アヤを見る。


アヤは、にっこり。


「やだなあ、サプライズよ」


「おまえなああああ!!」


「ノブっち、いいとこ来たじゃん」


ミカがニヤニヤ。


ナオも乗る。


「ちょうどいいよねー」


嫌な予感しかしない。


アヤが、すっとパフェを指す。


「それ、アキラちゃん食べきれないのよ」


「……はあ」


ノブは状況を理解しきれてない顔。


「だからさ」


にやり、と笑う。


「ノブっち、食べてあげなさいよ」


一拍。


「間接キス(ごほうび)よ?」


「「はあ!?」」


ハモる。


アキラの顔が一瞬で真っ赤になる。


「ちょ、ふざけんな!!」


「いや、でももったいねえし……」


ノブは少し困ったように頭をかく。


ちらり、とパフェを見る。


ちらり、とアキラを見る。


「……食うか?」


「聞くな!!」


即答。


でも――


少しだけ、視線が泳ぐ。


ノブは観念したように笑って、


「じゃ、いただきます」


同じスプーンを手に取る。


「ちょっ……!」


止める間もなく、一口。


「……うまいな」


「だろ!……じゃなくて!!」


完全にペースを乱されるアキラ。


その様子を見て、三人は満足げに頷く。


「うん、いいね」

「青春だね」

「尊いわ」


「うるせえ!!」


店内に響く声。


けど――


その顔は、どこか楽しそうだった。


--------------------

デパート。


人混みの中を引っ張られるように歩くアキラ。


「ちょ、どこ行くんだよ!」


「いいからいいから」


アヤは振り返りもせずに言う。


たどり着いたのは――水着売り場。


「……は?」


足が止まる。


「アキラちゃん、次は水着買おうか!」


「は?さすがに無理に決まってるだろ!」


即答。


一歩後ずさる。


アヤは、やれやれと言わんばかりに指を振る。


「チッチッチ」


「うぜえな」


スマホを取り出して、画面を見せる。


「タンキニって知ってる?」


「タン……なに?」


「こういうの」


画面には、短パンタイプの水着。


露出も控えめで、ぱっと見はスポーティな私服に近い。


「ほら、下ショートパンツだし、上もそんなに出ない」


「……おー」


思わずまじまじと見る。


「確かに。これなら男物とそんなに変わんねーな」


ぽつりと本音。


アヤはニヤリと笑う。


「でしょ?」


ミカとナオも横から覗き込む。


「絶対似合うよね」

「むしろ普通のより良さそう」


「やめろって」


視線を逸らすアキラ。


でも、完全には否定しきれてない。


そのとき。


アヤが、ふっと横を見る。


「ノブっちも見たいでしょ?」


「……え?」


唐突に振られる。


ノブは一瞬固まる。


視線が――ほんの一瞬だけ、アキラに向く。


すぐに逸らす。


「……おう」


短く答える。


その声が、やけに素直だった。


「……っ!!」


アキラの顔が一気に赤くなる。


「な、なに普通に答えてんだよ!!」


「いや、だって……」


ノブは少し困ったように頭をかく。


「似合うと思うし」


「そういう問題じゃねえ!!」


完全にペースを崩される。


アヤは腕を組んで、うんうんと頷く。


「ほらね?」


「ほらねじゃねえ!!」


逃げようとするが、


「試着だけでもいいじゃん」


「いやだから――」


「減るもんじゃないし?」


「減るだろメンタルが!!」


即ツッコミ。


だが――


三人+一名の視線。


逃げ場がない。


「……ちょっとだけだからな」


観念。


「やった」


アヤが小さくガッツポーズ。


----------------------

試着室前。


カーテンの向こう。


「……まだか?」


ノブがなんとなく落ち着かない様子で立っている。


「男子がそわそわすんのやめなよ」


ミカがくすっと笑う。


「うるせえ」


ぼそり。


そのとき――


「……着たぞ」


カーテンの向こうから声。


一瞬、空気が止まる。


シャッ。


カーテンが開く。


「……」


「……」


「……」


全員、言葉を失う。


タンキニに短パン。


露出は少ない。


でも――


シルエットが、はっきり分かる。


健康的で、自然で。


そして、普通に可愛い。


「……やば」


ミカが小さく呟く。


「これは反則」


ナオも頷く。


アヤは満足げに腕を組む。


「でしょ?」


「……なんだよ」


アキラは落ち着かない様子で裾を引く。


「やっぱ変だろ」


ノブは――


少しだけ遅れて口を開く。


「……いや」


一瞬、言葉を探すように視線を逸らしてから、

まっすぐ見る。


「いいと思う」


「……っ」

(なんだよ、それ……)


今度はさっきよりも強く、顔が熱くなる。


「だからそういうのやめろって!!」


バッとカーテンを閉める。


外では、


「買いだね」

「買いだね」

「決定ね」


「勝手に決めんな!!」


中から叫び声。


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