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冤罪遺伝学  作者: 早雲
第二幕
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15.衝動

 銃弾のような音を鳴らせて、シフトダウンし、アクセルを回す。エンジンが悲鳴をあげた。エンジンの回転数を示すタコメーターの針は赤を指している。構わずアクセルを手前に引き続けた。


 玉川上水を尻目にスピードを上げた。明らかに街中で出すスピードではない。だが、赤坂さんは自殺し、真崎さんは音信不通、その原因は私が進めていた事業の裏側で走っていたプロジェクト。そして私は同僚に裏切られて、トカゲの尻尾切りにあった。それだけのことがあれば、道路交通法ぐらい破っても良いような気がする。


 不思議な高揚があった。私は自分が拙い立場にいることをはっきり自覚しながら、胸が高鳴っていたのだ。なぜだろうか。


 謎が沢山ある。赤坂さんは本当に自殺したのか。シンセバイオのシェパードとは何を話していたのか。真崎さんの行方、本田君は何を考えて誰の指示で動いていたのか。そして、冤罪遺伝学とは何か。


 家を出る前に、セキュリティエンジニアの冬本にメールを打っていた。かなり省略した背景説明と『可能な限りすぐに会いたい』というメッセージ。


 バイクのシフトを蹴り上げた。スロットルを絞る。それにつれ加速度が増していく。

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