↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/20

その六

6967

 自分を支えるものを自分で創って下さい。でも創れないのです。自分を支える事が出来るものは自分では創れません。それでも創ろうとして下さい。それを創る、創ろうとする過程でないと、手に入らないものがあるからです。それが自分を支えるものです。自分を支えるものはそうやって手に入れる、否、与えられるものです。

 またも得られざるべしと知って猶(なお)求める。そこに降(くだ)ります。与えられるのです。


6968

 随分遠くまでやって来ました。でも、まだ家に帰る道を歩き始めるには早いでしょうか。まだ私は更に先に行かねばならないでしょうか。そうなのでしょう。帰りは多分筋斗雲(きんとうん)に乗った様に一瞬で着くでしょうから。だから息の途絶えるその瞬間まで先を目指して歩かなければいけないのですね。しかし流石(さすが)の私も疲れました。最早(もう)、家に帰りたいです。家に帰ったら優しいお父ちゃんが居て、お母ちゃんがお料理してくれていて、あの台所で二人が僕の旅の話を聴いてくれるんですよね。

 今回の旅は永かったです。もう家を出た時の事を忘れる程に。そうです、僕は気が付いたらお父ちゃんとお母ちゃんのあの家を出て旅する身になっていたのです。僕はずっと家に帰りたかったです。直ぐに踵(きびす)を返して家に向かいたかった。でも僕は僕の旅をする事を続けなければならないとお父ちゃんもお母ちゃんも僕に言っている様で、一度(ひとたび)生まれたからにはそれを続けなければならないと僕に言うお父ちゃんお母ちゃんの姿が瞼に浮かんで、それで帰る事が出来なかったのです。僕は正しい、僕がすべき事をしたと思っています。けれども本当にそうだったのでしょうか。若しかして僕は何処(どこ)にも出掛けず、ずっとお父ちゃんお母ちゃんと一緒に居られるあの家に居た方が良くはなかったでしょうか。そう思うのを今、とどめられません。

 あと少し、あと少しで、僕は自分の家に帰る事が出来ます。思えば旅の途上、僕はどれだけ僕の家の面影を探したことでしょうか。その僕の、お父ちゃんお母ちゃんと暮らした家まで、あと少しです。そうですね。僕は家を出て旅に就いたけれども、実は僕の家を後にして遠く離れて行ったのではなく、僕の家を目指して僕の家に近付いていたのですね。僕の目指していたのは何処(どこ)かも知らない、僕に何の関係も無い場所ではなくて、僕の大切な大切なお父ちゃんお母ちゃんが居る家だったのですね。だからお父ちゃんお母ちゃんはその旅を途中でやめてはいけないと仰ったのですね。分かります。それなら、分かります、心の底から納得します。それでこそ、僕の一生であるべきです。その旅こそ、僕が心の底から喜んで本気で辿(たど)り目指す事が出来る旅です。其処(そこ)こそ私の天竺であり天国です。あと少し、あと少し。僕は一歩を進める毎に元気になります。生きているとの実感が湧きます。僕はお父ちゃんとお母ちゃんの御陰で生きる事に迷わずに済みました。心の底から感謝します。やっぱり僕はお父ちゃんお母ちゃんの居るあの家の庭に生えた樹です。そう思います。


6969

 あなたが今大変なところを通っているならば、思ってみて下さい。今自分が深刻な病気の小さな子供を抱えていない事を、一刻も目が離せない容態の老親を介護する必要の無い事を、暫くは食べ物を買うお金に困っていない事を、堪えられない職場ではない事を、そして完全に未来への希望が『断たれていない』事を。

 そんな事を思った方が今のその困難な状況を堪え易いから言っているのではありません。油断しないというのは自分がその状況に無い時にもその状況に在る場合を忘れていないという事です。違いますか。だから現在自分を見舞っている否応(いやおう)無しに避けられない困難の事を思う時には、同じ自分が何故か免れている諸々の困難を忘れていない事が必要なのです。そうでないと真実に冷静な判断は下せません。後で自分が後悔しない決断に至る事が出来ないのです。大変ではありましょう。しかし正に試練の時ではありませんか。その状況でこそ発揮されるあなたの真価を自ら確認してみて下さい。そして後々まで信頼出来る自分の基礎を確立するのです。その為の、現在の苦しい状況なのですよ。


6970

 結果として敢行してもその前に一度躊躇(ためら)っただけでもう駄目、そういう場合があります。他人が自分を視ていてその実行前の躊躇一つを見せるだけでもう自分という人間を曝(さら)け出してしまっている、自分を視ている者にそこで自分という人間の正体を完全に明かしてしまっているのです。それだけで十分なのです。躊躇しても結局それを実践する場合、慥(たし)かにその人は卑怯者ではないでしょう。しかし私の言うのは自分という人間を底まで完全に見抜かれるという事です。

 そう思っていて下さい。大事な場面は音も無く、何の先触れも無く、やって来ます。その時に誰に見られ量られても後悔の無い自分で居られる様に。

 ブログは毎日更新しています。

https://gaho.hatenadiary.com/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。