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無口な隣の男子は推しのイケボに似ている  作者: 来留美


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4、奇跡のイケボ君ではなくアンドウ君です

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

「カレン、アンドウ君はアンドウ君だったの?」


 朝、学校に着いてから恒例の二人だけの女子会が始まるとリノちゃんが言う。

 いつもは、お菓子を机の上に置いて落ち着た状態から女子会が始まるのに、リノちゃんはお菓子を机の上に置きながら訊く。


 そんなに焦らなくても、、、。


「それが、、、」

「何よ? もしかしてチョコレートをあげてないの?」

「あげたんだけど、お礼は言われなかったっていうか、なんていうか、、、」


 リノちゃんに、どんな風に説明をすれば良いのか分からない。

 頭を撫でられて嬉しかったなんて言えないよ。


 それにチョコレートを食べさせてくれたなんて絶対に言えないよ。

 恥ずかし過ぎるよ。


「もう、それなら私が本人に訊くわ」


 リノちゃんは我慢の限界だね。

 リノちゃんの迫力に奇跡のイケボ君が負けなければいいけど。


 しかし今日の奇跡のイケボ君は来るのが遅いな。

 いつもなら来ているはずの奇跡のイケボ君は三時間目の授業中に来た。


 遅刻して来るなんて何かあったのかな?

 もしかして昨日のバイトを遅刻して怒られて遅くまでバイトさせられたの?


 ブラック企業でバイトしているの?

 私は心配しながら奇跡のイケボ君を見る。

 あれ?

 なんだか無理してる?


 髪の毛の隙間から見える額に汗が見える。

 隣の席の私だから分かるんだ。

 頬も赤いように見える。


 体調が悪いんじゃないの?


「ねぇ、大丈夫?」


 奇跡のイケボ君は大丈夫だと頷く。

 大丈夫なようには見えないよ。

 体調が悪いなら休めばよかったのに。


「ねぇ、こっちに顔を近付けて」


 私が言うと奇跡のイケボ君は、何の躊躇(ためら)いもなく顔を近付ける。

 私は奇跡のイケボ君のおでこを触る。

 やっぱり熱い。


「保健室に行こうよ」


 奇跡のイケボ君は首を横に振る。


「行かなきゃダメだよ」


 私は先生に“アンドウ君の体調が悪いので保健室に連れて行きます”と言った。

 保健室へ行き保健室の先生は留守だったので、ベッドに彼を寝かせて体温計で熱をはかった。


「熱が三十八度だよ。どうして学校に来たの?」


 私が彼に問い掛けても何も言わない。

 喋りたくないの?

 体がキツくて喋れないの?


「そんなに自分の体をいじめて何がしたいの? ブラック企業なんかで働かなくてもいいでしょう?」

「ふっ」


 私の言葉を聞いて彼が笑う。

 どうして笑うのよ。

 こっちは心配しているのよ?


「こっちは心配しているのよ? 笑わなくてもいいじゃない?」

「ごめん」


 彼は、それだけ言うと目を閉じた。

 キツそうだから、これ以上は何も言わなかった。

 言えなかったの間違いね。

 彼の声を聴いて痺れる感覚に身体が硬直する。 


 しかし、また“ごめん”の一言だから彼の声のサンプルは増えない。

 まだまだアンドウ君がツバサ君じゃないっていう確信は持てないよ。


 少ししてから私は教室へ戻った。

 彼は眠っていたから少しは良くなると思う。



「どうしてカレンだけなのよ?」


 リノちゃんが頬を膨らませて拗ねている。

 何故かというと、私が一人で奇跡のイケボ君の様子を見に保健室へ行くからなの。


 お昼ご飯を食べなきゃいけないから奇跡のイケボ君に届けるのよ。

 食べて寝れば病気は治るって言うでしょう?


 食欲は無いかもしれないから、食べやすいパンを買って持って行くわ。

 リノちゃんが一緒に行ったら、ツバサ君なのか訊いてしまいそうで迷惑になっちゃダメだよね。


 保健室に行くと彼は寝ていた。

 静かに近付き、おでこに触れる。

 熱は少しは下がったみたい。


 前髪を()けて、おでこを触ることにより彼の顔が見えた。

 いつもは隠れている目元が現れて顔全体が見える。


 案外、整っている。

 想像していたよりもイケメンなのかもしれない。


 いきなり彼の目が開いた。

 大きな二重の目に私は驚いて、おでこから手を離す。

 これは確実にイケメンだ。


「あっ、大丈夫?」


 彼は小さく頷く。


「パンを持って来たの。食べられる?」


 彼は首を横に振る。


「食べなきゃ元気にならないから一口だけでも食べて」


 彼は仕方なさそうに起き上がる。

 彼にパンを渡して私は自分のお弁当を食べようと、膝の上に置き蓋を開ける。


 彼が食べているのか確認をするために彼を一度見ると、彼は私のお弁当を見ていた。


「欲しいの?」


 彼は頷く。


「それじゃあ交換ね」


 私は彼のパンとお弁当を交換した。


「このパンは美味しいから好きなの」


 そう言って彼を見ると、彼は嬉しそうにしながら合掌をして、何を先に食べるのか迷っている。


「この玉子焼きは甘いからね。私は甘い玉子焼きが好きだからお砂糖を入れて作るの」


 私の言葉に彼は私を見る。

 何?

 甘い玉子焼きは嫌いだった?


 彼はお弁当を指差した後、私を指差す。

 その行動で何を言いたいのかが分かる。


「お弁当は、私が自分で作っているわよ。自分の好きな物を食べたいからね」


 彼は目をキラキラさせて、お弁当と私を交互に見ているから凄いとでも思っているんだと思う。


 彼は玉子焼きを、すぐに口に入れた。


「美味しい」


 彼の声は嘘のない本当の気持ちで言っているのが分かる。

 ツバサ君の声に似ているからなのか言われて本当に嬉しい。


 彼の声を聴いて顔を見ていると、ツバサ君じゃないんだと私の中で確信した。

 彼はツバサ君なんかじゃない。

 アンドウ君よ。


 彼は、お弁当を食べ終わると合掌をして蓋を閉める。


「キレイに食べてくれてありがとう。美味しかった?」


 彼は大きく首を縦に振り頷く。

 可愛いな。

 すると彼は枕元を探ってから個包装の飴を取り出した。


 飴を袋から取り出すとビー玉みたいな透明な飴が出てきた。

 彼はそれを私の口元に持ってくる。


 でも、その小さな飴を口に入れる時に彼の指が唇に当たってしまう。

 昨日のチョコレートは長方形だから大丈夫だったけれど、これは無理だよ。


 だから私は首を横に振る。

 彼は落ち込んでいる。


 私は彼の手から飴を取り口に運んだ。

 彼は私の行動の意味が分かったからなのか照れていた。


「美味しい。ありがとう」


 私は笑って彼に言う。

 彼も笑っている。


 それから彼は先生に帰るように言われ家へ帰った。

 今日はバイトは休むよね?

 元気に来週から登校してきてよね。


 アンドウ君。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。

~次話予告~

アンドウ君をツバサ君と同じように推すことに決めたカレン。

アンドウ君のことを知りたくて観察をする。

完璧すぎる彼だけど唯一残念な前髪を切るようにカレンは言う。

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