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無口な隣の男子は推しのイケボに似ている  作者: 来留美


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2、やっぱり奇跡のイケボ君の声は推しの声と同じなのです

楽しくお読みいただけましたら幸いです。

 奇跡のイケボ君の声を聴いた、あの日から未だ声を聴けていない。

 本当に奇跡のイケボ君の名がピッタリだよ。


 奇跡のイケボ君は授業中は真剣に先生の話を聞き、休み時間になると本を読む。

 誰とも話をせず、口を開かない。

 ツバサ君ではないと確信を持てれば奇跡のイケボ君と呼ぶのをやめて、アンドウ君と呼べるのに。


「リノちゃん、奇跡のイケボ君が何も喋らないからツバサ君なのか確認できないよ」


 私は昼休みに中庭でリノちゃんに言う。

 私とリノちゃんは、お昼休みは毎日、中庭でご飯を食べながら二人で過ごす。


「それはカレンが話し掛ければいいんじゃないの?」

「そんなの無理だよ。もしツバサ君だったら固まっちゃうもん」

「だから、さっきも言ったけど声優さんが、こんなところにはいないわよ。安心して会話をしてきなさい」


 リノちゃんだったら普通に話し掛けられるんだろうなぁ。

 でも私にはできないよ。


「カレン、これを食べて」


 リノちゃんがチョコレートを一粒、私の口の中に入れる。

 甘いけどフルーティー。

 オレンジが入っているのかな?


「美味しい。フルーティーだね」

「これ新発売のチョコレートなの。オレンジピールが入っているから、甘過ぎず食べ易いでしょう?」

「うん、もう一つ食べたいな」

「いいよ」


 そして、またリノちゃんが私の口の中にチョコレートを入れてくれる。

 このチョコレートを食べたら力がわいてきた。

 今日は絶対に奇跡のイケボ君の声を聴くぞ。


 お昼休みも終わり授業が始まる。

 奇跡のイケボ君は、、、寝てる?

 いつもは本を読んでいるのに。


 今日は寝てるの?

 先生来たよ。

 何で起きないの?


「アンドウ君」


 小さな声で呼んでも起きない。

 どうしよう。

 先生に怒られちゃうよ?


「ガッシャーン」


 みんなの視線が私に集まる。

 何故かって?

 それは私がペンケースを机から床に豪快に落としたからなの。


 大きな音を出せば、奇跡のイケボ君が起きてくれると思ったの。

 案の定、奇跡のイケボ君は起きてから驚いた顔で私を見ていた。


 恥ずかしくて顔から火が出そうだったけど、奇跡のイケボ君が起きてくれたから良かったよ。

 私は落としたペンケースや散らばったペンなどを拾う。

 すると奇跡のイケボ君も拾ってくれた。


「ありがとう」

「ん」


 奇跡のイケボ君の声が聴けた。

 でも『ん』だけじゃ分かんないよ。

 『いいよ』とか『うん』とかでもいいから、せめて二文字くらいにしてよ。


 授業が始まり先生のつまらない説明が子守唄に聞こえてきた。

 隣を見ると、やはり寝ている。

 寝かせてあげたいけど先生は、そんな風には思わないだろうから、怒られる前に起こさなきゃ。


 私はノートの(はし)を破り、言葉を書いて丸めてから奇跡のイケボ君に向けて投げた。

 奇跡のイケボ君の手の近くに転がり、私の手紙は彼の目を(ひら)かせた。


 気付いてくれて手紙を読み返事を書いている。

 そして彼の長い腕は私の机に届き手紙を机の上に置く。


 奇跡のイケボ君は身長が高く手足も長い。

 モデルさんのような体型が羨ましいよ。

 私は身長は低く手足も短くて机に届かないから投げるのに。


 私は丸まった手紙を開く。

 私が書いた質問に奇跡のイケボ君が返事を書いている。


『眠いの?』

『うん。さっきは起こしてくれてありがとう』


 奇跡のイケボ君はお礼を書いていた。

 それを声に出して言ってくれないのかな?

 それから手紙でのやりとりが始まった。


『夜は忙しいの?』

『バイトしてるから』

『無理したらダメだよ』

『そうなんだけど、やりたいことをやってるから』

『そうなんだ。でもペンケースを落とすのはしたくないよ』

『そうだよね。壊れたら困るよね』

『違うよ。皆に見られるのが恥ずかしいの』


「ふっ」


 私の手紙を読んで奇跡のイケボ君が笑った。

 笑い声でツバサ君かどうかは判断できないよ。

 一瞬すぎるし。

 笑いながら奇跡のイケボ君が手紙の返事をくれた。


『耳まで真っ赤だったよね?』


 私が奇跡のイケボ君を見るとクスクスと笑っていた。

 そこは“恥ずかしい思いをさせてごめんね”って書かなきゃいけないでしょう?


 私は奇跡のイケボ君に向かって怒っていることを伝えるように、睨んでから手紙を終わらせて先生の授業に集中した。

 寝てても起こさないからね。


 少しして奇跡のイケボ君が、私の足元に落とすフリをして消しゴムを転がした。

 それを拾うために私の足元へ来た。

 そして自分の席へ戻る時に言う。


「ごめん」


 私は彼の声を耳元で聴き電気が走った。

 痺れる感覚に身体が硬直する。 


 やっぱり間違いない。

 奇跡のイケボ君はツバサ君と同じ声だ。

 でも奇跡のイケボ君に確認なんてできない。


 そっくりさんかもしれないし。

 似ている顔の人がいるのなら、似ている声の人もいるだろうし。


 ただ似ているから同じだと勘違いしているだけかもしれない。

 だから、もっと、もっと、声を聴きたい。


 まだまだ奇跡のイケボ君の声のサンプルが少ないよ。

 ツバサ君の声のサンプルはたくさんあるのに。



「こんばんは」


 ツバサ君が出ているラジオが始まった。

 今日は水曜日。

 私が必ず聴くラジオ。


 ツバサ君と先輩の声優さんと二人の番組。

 先輩の声優さんと仲良さそうに話すツバサ君。


「私も、こんな風に奇跡のイケボ君と話せたらなぁ」


 ん?

 奇跡のイケボ君と?

 違うよ。

 ツバサ君とだよ。


 私の目標はツバサ君の声を近くで聴くことなんだからね。

 奇跡のイケボ君なんかじゃないわよ。


「今日、学校で、、、」


 今、ツバサ君が学校って言った?

 ツバサ君は年齢不詳なはずだよ?

 そんなことを言ったら学生だってバレるのでは?


 先輩の声優さんがツバサ君の年齢のこととか誤魔化していたけど、ツバサ君の発言がネットで話題になっていた。


 ツバサ君と同じ学校の子が羨ましい。

 いいなぁ。

 あの声を毎日、聴けるなんて私だったら幸せだろうなぁ。

お読みいただき、誠にありがとうございます。

楽しくお読みいただけましたら執筆の励みになります。

~次話予告~

カレンとリノの出会いのお話。

そしてカレンは奇跡のイケボ君の手から貰った甘酸っぱいチョコを食べて、ミッション成功しなくても奇跡のイケボ君が優しく微笑んでいたから、それで満足だった。

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