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6-5

 暴れる相手の体をコンパスで刺しながらのリバース、インディアンデスロック、さすまたを使った打点の高いドロップキックに、ホウキで相手の両腕を殺し受け身の取れぬ相手に対してのDDTや、フォークを使用しての地獄付きに、画鋲を口に含ませての串刺し式ドロップキック、尖った鉛筆を大量に床に並べ、その上に落とすブレーンバスターなどなど、しばらくB級ホラー映画のようなグロテスク映像が続くーー。


 競技参加者である2名が滝のように次から次に体中から鮮血を流し、モグラ叩きを行うかのように治して引っ込んでいた骨がぴょこぴょこと再び体から飛び出す。参加者から「腸を使って蝶々結びってできるんですかねー?」と出たり「へー脳みそって触られても痛みないのね、意外…」という楽しげな声が上がる。

 ゲームも佳境に迫り、キツケによる効果が切れ始めていた頃、挑戦者である雅が息を切らして部室に戻って来た。


「残念ながら姫香、11分11秒でアウトだ約束通り、幸に攻撃をしてもらうから」

「ゾロ目なら特別サービスで上米良先輩が受けてよ、ケチ」

「駄目だ。次は間に合うようにもっと脚を鍛えておきな」

「全く、いっつも思いますけど、人に対して当たりが強いから上米良先輩って友達がいないんじゃないですかね?」

 肩で息をした雅が横座りで水をぐいぐい飲みがら文句を言う。


「…いるぞ、私にも」

「へー意外ですね、友達なんてくだらない存在は要らないって言うのかと思ってました。それで、ちなみに誰なんですか? 私の知っている人ですか?」

 上米良が腕を組み、唇を動かすが口から言葉は出ずーー上米良は椅子に座るとなんとも言えない微妙な空気が流れてしまう。

「あ、あれ、先輩?」

 雅も聞いてしまった手前、気まずさに耐えきれなくなり頬を掻く。

「あ、あのー、私、先輩の後輩兼、友達みたいな…」

 気まずさから幸がぎこちなく右手を挙げた。

 幸が手を挙げた時、上米良と目が合い殺気のこもった目で睨まれる。


「クッ!!」

 幸の中にある恐怖心が長い眠りから、ようやく目を覚まし、挙げていた手を下ろそうとするがーー。

 幸は左手で太ももをグッと掴み、右手を震わせながらピンと伸ばした。

「私と先輩は年齢差はありますが友達ですよ、友達!」

幸もムキになり挙げた手を下げなかった。

「日比谷幸。それなら、私は友達か?」

 窓際で椅子に座り日光浴をしながらドーナツを食べてたミナホが聞いた。

「そりゃあ当たり前じゃないですか、楓ちゃんも大切な友達ですよ」

「そ、そうか…」


 ミナホが嬉しそうにドーナツをぱくついて食べる。

「ねぇねぇ、幸。そしたら私は?」

 雅からペットボトルをマイクのように向けられる。

「雅さんは当然、学園のアイドルですよ」

「おい、流れ的に違うだろコラ!」

 雅にペットボトルでポカポカと殴られながら幸は「冗談です。雅さんも大切な友達ですよ」と笑った。

「それで、上米良先輩のお友達って幸、以外だと誰なんですか?」

 雅が不意打ち気味に上米良に聞いた。

「しつこいぞ姫香。誰でもいいだろ」

「えー、それなら私や楓ちゃんのことは大切な友達だと思っています?」


 幸と同じくキツケによる効果が無くなっていてもおかしくないのに、殺気立つ上米良の側により失言を期待する記者ばりに、ペットボトルマイクをしつこく向ける命知らずの雅。

 雅にペットボトルを向けられた上米良がペットボトルをがっしり掴むと言った。「そんなことより、早く技を受けろ」と言い逃げてしまう。

「それは、いくらなんでもずるいですよ先輩。ねぇ? 楓ちゃんもそう思うよね?」


「私にとって上米良魔技はマシュマロだ。でも、幸のようにマシュマロでない奴がいるなら参考までに聴きたい」

「え、マシュマロってなに? なになに、楓ちゃん?」

雅がマシュマロについて詳しく聴く為、ペットボトルを上米良からミナホに向ける。

「マシュマロって言うのは、お前のことがーー」

「姫香!」

「な、なんですか上米良先輩。ヤリます? やるならいつでも相手しますけど…?」


 席を立ち威圧感滲み出る上米良にファイティングポーズを構えた雅だったが、上米良は雅を無視して幸に近寄り腰を下ろす。

「幸。どうやら、アイツは練習をサボりたいらしい。と、言うわけで、私がアイツの代わりに受ける。よろしくな」

「は、はい…よろしくお願いします」

 上米良から頭をワシワシと撫でられた幸は気恥ずかしくなり頬を少し赤らめる。


「ちょっと、サボりたいなんて一言も言ってないんですが? 勝手に受け役を取らないでくださいよ! それに、上米良先輩は反応が鈍感すぎで攻める幸もつまらないと思います!」

「鈍感だと? お前こそ、大したことでもないのに、攻められた時、ギャーギャーと猫のように騒がしいじゃないか。そんな奴とやっても幸は攻めにくいだろ」

「いいえ、死んだマグロのように動かないより断然マシだと思います!」

「何でもないことに、ぴょんぴょんとトビウオのように跳ねる姫香より、何事にも同時ない私の方が幸もやりやすいはずだ」


 両者火花を散らしていたが、その火の粉が幸にも向けられる。

「幸は?」「どっちとヤリたいんだ?」

「あ、あのーそれでしたら、2人共に受けてみては?」

 鬼畜なことを言ってのける幸だったが、その発言が出てしまったのは、たまたま、雅が学園から持ってきた道具が目に入ったからだった。


 竹串、フードプロセッサー、包丁。

 雅は先程引いたお題『調理道具』に対して、何故か3つも道具を持って戻って来ていた。

 雅、曰く、持ってくる道具に迷っていたら、調理部員の子達から次々と押し付けられるように渡されたとのことらしい。

「はぁ次々とですか…」

「そうよ。なんか、私のお玉使ってくださいとか、私の菜箸使ってくださいとか、もー凄くて、それで時間掛かったて言うのもあるんだけどーー」


 雅が調理室でのできごとをうんざりした口調で話す。

 話す雅の手の平、から赤い血が出血しているのが目に入り、幸は指摘する。

「ああ、これ? まぁ、なんて言うのか包丁の試し斬りも兼ねての人避けの血みたいな」

 雅が何でもないように、手をひらひらさせた。

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