第47話「プレミア価格」
「プハー! あー臭ッ! あー痛ッ!!」
ゲイルの解呪によって、ようやく呪具3連コンボから解放されたシャリナ。
キラキラと汗が輝き、すっきりした顔だ。
「あ、それ買い取ってくれよ」
「あっほぉ! 誰が買うか!!」
バチコーン!! とゲイルに投げ返すシャリナ。
肩を怒らせてむっちゃ怒ってる。
「いや、だって、中古じゃん───……汗ついてるし」
くんくん。
「嗅ぐな! アホぉぉ!!───だいたい、こんな美少女が使こうた品やで! 逆に値段も跳ね上がるわい」
「そーいう需要ないから」「美少女?」
うっさいわ!!
「もうええ! 帰るで! ウチ、もうお腹いっぱいやわ!!」
汗だくのビッチョビチョ。
たしかに、シャリナでなくとも、これは帰りたいだろう。
ゲイル達も消耗しつくしている。
モーラの魔力も枯渇してまだまだ回復しきっていないし、ゲイルも呪具を結構使ってしまった。
……それにしても、バフとデバフがあったとはいえ、コカトリス一体にベビーコカトリスの群れを全滅させるとは……。
「改めて思うけど───アンタの呪具、性能ぶっ壊れてるわね」
「そんな大したことないよ? 性能よりもデザイン重視だし」
「それはない」
腕力5倍だけで、どれほどの価値があるのか、ゲイルはわかってるのだろうか?
そんな性能───……アーティファクトでもあるかどうか……。
「それに、いいことばかりでもないよ? 毒耐性だって、呪具を装備してるときは無効化されるけど、傷口の毒が残ったままだと、解呪して呪具を外した途端、毒が体に回るからね」
「え?! そうなの?!」
それは初耳だ。
そもそも、好んで呪具を装備するような酔狂な奴は早々いない───。
「疲労だって消えるわけじゃないよ? あれは呪いの作用で疲労がないように錯覚させてるだけで、体には着実に負担が───」
バッターーーーーーーン!!
「「あ」」
「い、い、いだだだだだだだだ!」
突如、バッタンと倒れたシャリナが激痛で転げまわる。
そりゃそうだ……。
腕力5倍の敏捷2倍でベビーコカトリスの群れ相手に暴れまわったのだから……。
「ぐぉぉおおおお! これも呪いかぁぁあああ! おのれゲイルぅぅぅうう」
「いやいや、俺関係ないし───」
「いやいや、関係はおおいにあるでしょ!」
だが、シャリナはここで根性を見せると、
ギギギギギギ……! と錆びついた機械のような音を立ててシャリナが立ち上がる。
「くっそー……いったいわぁ! せやけど、ウチはこんなもんで負けへんでー」
「「お、おぉー」」
ぱちぱちぱち
「……なんせ、最後までやり切ったらギムリーんとこに払う報酬が半分でええらしいからな」
ウケケケケ。
「そこかい!!」「そーいう魂胆だったのね!!」
思わずズッコケるゲイルとモーラ。
依頼人自ら協力するからどーにもおかしいと思ったら───なるほど……。
そりゃー意地でもやり切ろうとするわけだ。
「やっかましわ!! お前ら冒険者が塩漬け放置してるのも事実やろが!」
「それ俺たちに言われてもな―」
「そーよ。この町に来たばっかりなのよ?」
ゲイル達が来るまでにいた冒険者たちがどうだったか知らないけど、
ここで石化してるってことはそれなりに頑張ってはいたのだろう。
もっとも、コカトリスの巣になっていたというのが想定外だったわけだが───……。
「………………あれ? コカトリスの───巣???」
「どうしたのゲイル?」
な、なんだろう。
すごく違和感がある───。
さっきも感じた違和感だけど───……そう、卵を見た時に感じた。
「…………あ」
卵。
営巣地───……。
牝鶏とくれば。
『───コカァァッァアアアアアアアアアアア!!』
「………………そりゃー父ちゃんがいるわなぁぁぁあああああああ!!!」
さっき倒したばかりのコカトリスの死骸の傍で怒髪天をついているさらに巨大なコカトリスの雄がいた!!




