第45話「雛祭」
「どわぁっぁあああああ!! 走れ走れ走れ!!」
「ちょっと! 押さないでよ!! 狭いんだからぁあ!」
「アッホぅ! そないデカいもんぶら下げとるからやろが!!」
それは関係ないでしょ!!
モーラ先頭、ゲイル、シャリナの順で逃走開始!
これは位置関係上仕方のないことではあったが、非常にまずい!!
「ちょ! おまえらどこ行くねん? そっち出口ちゃうぞ?!」
「いや、そんなこと言われても道わかんないし───!」
「なら、シャリナさんと場所変わった方が───うぉ、せまッ!」
むぎゅうううう!! と、無理やり先頭に行こうとするシャリナと、通路の身体がつっかえて身動きのできないモーラ!
「ちょ! どこ触ってんのよ!!」
「俺じゃねぇよ!! いだ! いだだだだ!!」
「どけっちゅうとるやろ!! むぐ───な、なんやめっちゃ柔らかい」
ああああああもう!!
「ぷはっ!……ッ?! あッほぉ、ここ廃坑にした通路やぞ?! 行っても行き止まりやっちゅうねん!!!」
「し、知らないわよ!!」
モーラの胸の間から顔を出したシャリナがムッキー!! と、怒り心頭。
しかし、こればっかりは仕方のないことだ。
シャリナだってパニックになってゲイル達を誘導していなかったのだから。
「あああああああ、やばい! やばいやばい! 追って来てる!! なんでぇ?!」
ピヨピヨピヨ!!
ピヨピヨピヨ!!!
「あ、ああ、あああああ、あれじゃない?! ホラ、生まれたばかりに見たものを親と勘違いする的なぁ──────」
ピヨヨヨォォォオ!!
石化した冒険者を咀嚼しながら、涎をまき散らしつつ突っ込んでくるコカトリスの雛。
「「…………」」
「うん、ないわね!!」
あれは親を見る目じゃない!
それだけは3人の意見の一致をみると、さらに逃走開始!
「ど、ど、どうすんだよ?! 行き止まりなんだろ?!」
「だからって、ここじゃ戦えないわよ!!」
「ええから走れ! 力の限り走れ!! 食われてもウチは責任とらんでぇぇえ!」
うぉっぉおおおおおおおおおお!!
3人が一塊になって鉱山の奥へ奥へ!
そして、
「ちょ!? 行き止まり?!」
「だから言うてるやろ!!」
「じゃ、どーすんだよ!?」
ちょっと広めの採掘跡。
ホール上になったそこは、朽ちた採掘道具以外には、トロッコの跡が残るばかりだ。
「四の五の言うな! 男なら、戦わんかい!」
「アタシ女なんですけどぉ!」
「ウチも女や!!」
「俺は呪具師だ!」
だーーーーーーーーーもーーーーー!!
「なんやねんこのパーティ!!」
「「アンタが連れて来たんだろ」でしょ!」
やっかましいわ!!
「ええい、こうなったらやるしかないでぇ!」
「無茶だぞ! 何匹いたんだよ?!」
「少なくとも、30匹以上はいたわね」
それでもやるんじゃぁぁ!!
「先頭はウチが張る! お前らは支援せぇ!」
「「それしかできないっつーの!!」」
あーもーーーー!!
「きたぁぁぁあああああ!!」
ピヨォォオ!!
一番体格のいいコカトリスの雛の一匹───『ベビーコカトリス』が、背を低くして突っ込んできた!
親譲りの凶暴さは食欲に後押しされて、さらに凶悪に!
「おらぁぁあああ!」
───ゴッパァァッァアアアアン!!
シャリナの大降りがスマッシュヒット!!
雛とはいえ人間よりもやや大きいくらいのベビーコカトリスが一撃のもとに粉砕される。
「どうじゃぁっぁああ! ウチのハンマーは岩をも砕くでぇ!!」
「お、おぉー」「言うだけはあるわね──────って、まだきたぁぁあ!」
一番槍が粉砕されたとて、ビビるようなモンスターではない。
これがせめて成鳥であれば、ひょっとすると力量を感じ取って逃走したかもしれないが、悲しいかな───これ、赤ちゃんコカトリスですものぉぉ!!
「うらぁぁあ! おらぁっぁあああ!」
ブォン、ブォォオン!!
シャリナのハンマーが凄まじい音を立てて空気とベビーコカトリスを粉砕していく。
一匹、二匹───三匹、四匹!!
「どんどんこいやぁっぁああああ!」
ピヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨヨ!!!
「って、来過ぎじゃぁぁあああ!!」
「うわ! うわ!! 飽和するぞ?!」「く──……もう少し耐えて!」
シャリナのハンマー捌きは的確にベビーコカトリスを粉砕していくも、それでも数が多すぎる!!
せめて、支援をしたいと思ってもモーラの支援魔法もそこまで便利なものでもない!
──発動には時間がかかる!
けど……今ッ!
「お待たせぇ! はぁぁぁぁっぁぁぁあああ!」
カッ──────!!
「全能力向上!」
モーラの超十八番の全能力向上魔法!
からのー……!
「&……敏捷増加!」
薄暗い鉱山がモーラの魔法で光り輝く!
そしてその光の粒子がシャリナに降り注ぎ───……。
「お、お、お、おおおおお! まーた、漲ってきたぁっぁあああ!」
さっきの腕力向上とは違い、魔力を注ぎ続ける限り能力は向上していく。
ネックは上昇速度だが……!!
「チビのコカトリスなら、シャリナさんの一撃で十分よ───だから、敏捷をあげたわ! あとは、ダメ押しの全能力向上よ」
「おっほぉ! これならいけるでぇぇえ! おらぁっぁあああああ!!」
ブババババババババババ!!
シャリナのハンマーの振り幅がすごい!!
まるで、竜巻のように、高速で振りぬかれるハンマーの一撃一撃に、ベビーコカトリスが面白いくらいに叩きつぶされていく。
さらにさらにと、モーラの支援魔法でぐんぐん、バフがかかり、シャリナの戦闘力が目に見えて向上していく!
速度はもちろんのこと、腕力、攻撃力、そして、防御力まであがり、まさに無敵─────────!!
…………なんだけど───。
「何匹おんねんーーーーーーーー!!」




