第44話「討伐証明採取」
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『聖女召喚されたけど、二人もいらないそうです〜実はチハたん(九七式中戦車)持ちで、燃料無限なんですが。好きに生きますね〜』
よろしくね!!
「ニ、ニヒヒ───ら、楽勝……」
ボトボトボトボトボト……。
その返り血の中でシャリナが引きつった笑いを浮かべると、瞬間、シュ~♪ と筋肉がしぼんでいき、ふらふらと座り込む。
「いやいや、死にかけてたやん!」
「……そうよ! めっちゃ危なかったからね!! ゲイルの呪具がまだ作用してたから助かったようなものを───」
たしかに、モーラの言う通り上級モンスターのコカトリスにしては動きが鈍かった。
だからこそ支援魔法も間に合ったし、シャリナの強引な攻撃も通用した───本当にギリギリのところだったのだ。
「うっさいわ! ちょっと油断しただけや!」
「それが一番ダメなの!! 一瞬の隙で命を落としちゃうんだからね!」
キーキー! とまぁ、よく回る舌でシャリナに食って掛かるモーラ。
「ま、まぁまぁ、モーラもそのへんで───結果オーライってことにしとこ」
「いやいやいや、何をハッピーエンドみたいな空気出してるのよ! だいたい、毎回毎回、アンタはアンタで、その呪具どうなってんのよ?!」
「せやせや! なんで、【麻痺】とか【防御無視】がコカトリスに効くねん?! 使い捨てのデバフアイテムがボスモンスターにまで効くなんて聞いたこともないでぇ?!」
えぇ~……俺ぇ?
「いや、普通だよ? 王都の墓所にいた、フワフワしてるゴーストみたいな奴の遺灰から作った呪符を付けただけだし──」
ほらこれ───【麻痺】属性と、
ゴーストの壁抜けを応用した【防御無視】
「いや、え? ちょ───……え? そ、それって」
「ぼ、防御無視のゴーストってなんやねん??」
しかも、王都……??
「え? ホラ。よくいるじゃん? なんか、黒いマント着た骸骨みたいなの」
「「黒いマントの骸骨……??」」
思わず顔を見合わせると───タラ~リと冷や汗を流すモーラとシャリナ。
え、えっと~……。
「……も、もしかして、それって──────鎌とか待ってるやつ?」
「……それに、不気味なカンテラ持ってたりする奴ちゃうやろな?」
ゴクリと唾を飲み込むモーラとシャリナ。
二人の想像するものはどうやら一緒らしいが……。
いやいや、さすがにアレなはずは──。
「え? あーそれそれ。な~んか、デッカイ骸骨みたいななのが、時々壁とかすり抜けてくんの───」
がんっ!! ズルぅ!!
「「それ! 死神じゃん!!」」
「え? デスジャン? 革ジャン的な奴なのあれ?」
ちゃうわぁ! アホぉぉぉおお!!!
デッカイ鎌と、不気味なカンテラを持った、黒い頭巾被った……死を司る神───。
「死神!!」
「それ、死神ぃぃぃいい!!」
「ちりがみ?? あー、確かに」
うんうん。
「ばっか!! 死神つってんでしょ!!! なにが『うんうん』よ!! それ、災・害・指・定・種・の───『死神』よ!! し・に・が・み!! ふつうは地上には出てこないけどぉぉぉぉおおお────神の一種なの!! 亜神よ、亜神」
えー? あれが神ぃ??
「大したことないよ? なんか、いろんな地下墓地で見かけるし、急に壁から出てきてドキっとするくらい───」
「アッホォォオオ!! アンタ、亜神に目ぇつけられてるってことじゃん!! 何したのよッッ!」
ゲイルのぶっ飛び加減に頭を抱えるモーラ。
だって、腐っても神の一種である死神と何度も遭遇しているというゲイル───……もちろん、死神は世界に一体しかいない。
「解呪して、呪具にしたよ?」
カイジュシテ、ジュグニシタ。
ジュグ……「じゅぐ」って……。
呪具ぅぅううう?!
「ファァァッァァアアアック!! あんた、ファァッァァアアアック!!!」
「コイツ、アホか?! 何をシレっと神様素材にしとんねん! つーか、これ神様から作ったんかい!!」」
よりにもよって、神様を解呪ぅ?!
そんでもって、使い捨てに呪具にって、えぇーこれ、神様が素材なのぉ?!
コカトリスの残骸からポロリと落ちたダーツをみて、慌てて距離をとるシャリナ。
だって、神様素材だもん───なんというパワーワード。
「そんなすごい奴かなー? なんか、言いたそうにモゴモゴしながら、『寿命がどうのー』とか、言ってた気がするけど?」
「アンタぁぁぁああ!!」
「アホかぁぁぁぁあ!!」
アカン。
コイツ、アカン……。
多分、ゲイル──────とっくに寿命が来てるので、死神がお迎えが来てるに違いない……。
あるいは、普通に死神を怒らせてる??
……だって、死を司る「神」ですもの───。
それを呪具にしちゃってるんですもの。
彼が墓所に出没するのは死者を冥界に連れていくためというが──他にも、生者の前に現れるときは、その寿命が尽きると同時に連れ去るためともいわれている。
それゆえ、死を恐れる権力者は死神の存在を忌み嫌い───モンスターとして扱ってはいるが……。
「…………あーダメ。なんか、アタシの知ってる常識って、ちょっと基準が間違ってたのかしら」
「モーラのぉ、そら普通の感性やで。ウチなんか、長年生きてきてこないなドアホウ初めて見たわ。なんやねんこいつ───頭おかしいんんちゃうか?」
それは否定できないわね……。
「なんでよ!? 否定してよ、モーラっ!!」
いやいやいや……。
だって、神様を素材扱いとか、もう。なんていうか、もう……。
「──自分の行動を省みてから言いなさいよ」
「だから、普通の呪具だって」
普通の呪具は死神を素材にしないから……。
使い捨てにするレベルじゃないから……。
「どーりでボスモンスターにも効くわけやで……」
「二人とも大げさだなー。それより、これでクエスト完了だろ? 帰ろうぜー」
あっけらかんとしたゲイルに、ガックリと肩を落とすモーラ達。
「それよりってアンタ……。はぁ、」
「もうええわ……はぁ、」
二人で深いため息をつくと、
「とりあえず、ゲイルの言葉じゃないけど───これで鉱山が使えるんでしょ?」
「せやな……。色々あったけど、正体不明のモンスターはコカトリスやったっちゅうことやな───倒してしまえば呆気ないわー」
ウチも冒険者デビューやなーと、屈託ない笑い声をあげるシャリナ。
ゲイル達は「はいはい」と適当に流しつつ、コカトリスの素材を採ってさっさと帰ることに。
冒険者の救助はギムリーに要報告だ。
「なー、モーラ。コカトリスって、食べれるのか?」
「どうかしら? 討伐部位くらいしか興味ないわね」
さすがにこの大物だ。
一気に持ち帰るのは無理だろうと思い、獣除け薬品だけを蒔いて討伐部位だけをはぎ取る。
もちろん、頭のトサカだ。
「食えるわけあるかッ、あほ! 猛毒やっちゅうてるやろ」
いまだにビクビクと震えている蛇の部分をゲシゲシと蹴りながら手持ち無沙汰のシャリナ。
さすがに素材採取まで手伝う気はない様だ。
そもそも、前衛とはそういうものでもあるけどね──。
「猛毒かー。鶏みたいなのになー」
「そうね。でも、な~んでなんでこんなんとこに潜んでたのかしら? あ、そっち剥いで」
「ほいほ~い。ヨッと───……言われてみれば、たしかにこの巨体に鉱山は狭すぎるよな」
「んね~。まぁ、鳥小屋とでも勘違いしたのかしらね。モンスターの考えることはよくわからないわ」
「あー鳥小屋か。そーいや、鳥小屋みたいな匂いするね。なんていうか、糞の匂いというか───」
「卵の腐ったような匂いというか……」
ぱりっ。
「ん? パリって……モーラ、なんか踏んだ?」
「あら? ホント。って、なにこれ───」
素材をカバンに詰めていたモーラが踏みつけた何か。
それを何気なく拾って検分すると───。
「卵の……殻?」
「にしては、デカくない───? まるで、コカ………………」
…………え?
「な、なぁモーラ」
「ん~? なによぉ、さっさと回収して帰りましょうよ。この鳥小屋みたいな匂い───もうウンザリ」
……うん。
「その、さ。……と、鳥小屋って何のためにあるんだっけ──」
「はぁ? そんなの決まってるでしょ──牝鶏に卵を…………」
……卵?
「え?」
ドンッ。
二人して最悪の想像に至った時、
突如モーラにぶつかるシャリナの小さな体。
「あ、あかん……」
「シャリナ?」「シャリナさん??」
ぶんぶん、小さく首を振ったシャリナが引きつった顔で言う───。
「あれはアカーーーーーーン!!」
──ピヨッ???
シャリナの絶叫が響き渡った時、そいつが暗がりから現れた。
石化した冒険者をぼりぼりと齧りながら、ピヨピヨと───……。
無数の卵を背景に、そいつが現われた!!
一ひき、
二匹……三から─────────無数!!
ヒヨコのような上半身に尾には小さな蛇───。
まごうことなき、小さなコカトリス……。
───ピヨピヨプピヨピイピヨぉぉぉおおおおお!!
「「「こ、ここ、ここって営巣地かぁぁぁああああああああああああああ!!」」」
ピヨヨヨヨヨヨヨヨぉぉぉおおおおおおおおおお!!!
次の瞬間、無数の小さなコカトリスの群れがゲイル達に襲い掛かってきた!!
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