第42話「強敵の気配」
「な、なんやこれわぁ?」
「げッ……! これ全部、種類が違うぞ?!」
鉱山内のちょっとした広間には、まるでダンスホールかとも見まがうほどに人、人、人──もとい、石像だらけ!
冒険者としての本能がチリチリと疼くモーラ。
「ちょ、ちょっと、普通じゃないわよ? これって……ま、不味いんじゃない?」
いや、モーラだけでなく、ゲイルもシャリナもさっきまでのオタクの空気は鳴りを潜めている。
これだけの石像が広がる光景はまさに異様だ……。
しかも、そのどれもが今にも動き出しそうな程の精巧な作りで───……。
「な?! こ、こいつ知ってる顔やで?!」
……は?
「ど、どういうことだよシャリナ?」
「知り合いの顔の石像があるの?!」
じり……と、後ずさるシャリナは緊張の面持ちで、槌を構えると、恐る恐るその石像に近づく。
「ま、間違いない……。こ、こいつも……こいつも知っとる!!」
「へ? それって、どーゆー……?」
「誰かがモデルに──……」
「アッホォ!! こいつら、ファームエッジの冒険者やでぇ!!」
……は、
「「はぁっぁあああ?!」」
ってことはまさか……。
「うそ……! みんな石化してるってこと───???」
タラリと冷や汗を流すゲイルとモーラ。
そして、シャリナも加えて──思わず顔を見合わせると──……。
「「「ゆ、行方不明になった冒険者たちって、まさか──……」」」
ッッ!
「これ、全部生きた人間かよ?!……くそ! どーり精巧なわけだよ!」
「せやかて、これはなんやねん? 石になるってどういうことやねん?」
じっとりと汗を浮かべたシャリナの声が震えている。
前衛を張ると息まいてはいたがシャリナは冒険者ではない。こんな緊張の場面に慣れているはずもないのだ。
「決まってんだろ! モンスターの仕業だよ!」
ようやく事の重大さに気付いたゲイル達。
バッ!! と、全周警戒。
即席のパーティとは思えないベテランの動きで、全員が死角をカバーしあう。
出口付近はモーラ。前方と側方はゲイルとシャリナが見張る。
「ちっ。これはまずいぞ、モーラ! そんなことができるモンスターなんて限られてる!」
「えぇ……! もれなくA級以上──バジリスクか……」
ゴクリ……。
モーラもゲイルも知っている。こんな凶悪なモンスターなんて、早々いないことを。
そして、あたりに漂う獣臭──。
……鳥小屋のような匂いを嗅げば、およそあたりはつく。
「ゲイル……」
「あぁ、わかってる───」
元Sランクのゲイルとモーラ。
この二人は知っている───……。そう、このモンスターを二人をして知っている!!
「敵は───」
そう、
「敵は──────…………」
ケェッェエエエエエエ!!
「「コカトリスだッ」よッ!」
ガシャーーーーーーン!!
直後、広場の天上をぶち抜いて巨大なモンスターが出現した!




