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完璧淑女の公爵令嬢、普通に卒業しただけなのに“あの令嬢”扱いされ、気づけば“星剣”と呼ばれていました  作者: 翡翠


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第56話 管理できないものは、関係を保て



 王都アルヴェイン、王城。


 会議室。


 重い空気が漂っていた。


 円卓の中央に、地図が広げられている。


 アストレア公爵領。


 その一部が、淡く光っている。


「……確認する」


 王が口を開く。


「これは何だ」


「神域です」


 宰相が即答する。


「……領地ではないのか」


「現時点では、領地と神域が重なっています」


 一拍。


「ですが」


「分離が進行しています」


「……」


 王が目を細める。


「原因は」


「セリア・アストレア」


 短い答え。


 誰も否定しない。


「……神竜」


「常駐」


「……人の神」


「常駐」


「……古竜」


「常駐」


「……」


 王が静かに息を吐く。


「……全部いるのか」


「はい」


「……」


 沈黙。


 重い。


 だが、事実だ。


「公爵家は」


 王が問う。


「独立を通達してきております」


 宰相が答える。


「理由は」


「管轄外になるため」


 沈黙。


 完全に合理。


「……」


 王が目を閉じる。


 考える。


 だが。


 答えは早い。


「……拒否した場合」


 短く問う。


「無効です」


 即答だった。


「理由は」


「強制力が成立しないためです」


「……」


 軍務卿が口を開く。


「軍を出せば」


「侵入できません」


 宰相が遮る。


「境界が成立していません」


「……」


 沈黙。


「では」


 王が言う。


「承認した場合」


「関係は維持されます」


 一拍。


「外交的に」


「……」


 王がゆっくりと頷く。


「……選択肢はないな」


「はい」


「最適解は一つです」


「……」


 王が立ち上がる。


「宣言する」


 全員が姿勢を正す。


「アストレア公爵領の独立を」


 一拍。


「承認する」


 静かな声。


 だが。


 絶対的。


「名称は」


「聖域領」


 宰相が答える。


「……そのままだな」


「機能を示しています」


「……」


 王が小さく笑う。


「……良い」


 一拍。


「ならば」


「関係を定義する」


 視線が地図に落ちる。


「敵ではない」


 一拍。


「管理もしない」


 さらに一拍。


「だが」


 顔を上げる。


「関係は維持する」


 それが結論。


「……なあ」


 軍務卿が小さく言う。


「何だ」


「これ、国か?」


 沈黙。


 そして。


「……違うな」


 王が答える。


「何ですか」


「場所だ」


 一拍。


「神の」


 それ以上の言葉は不要だった。


「……」


 宰相が静かに言う。


「他国が動きます」


「分かっている」


 王が答える。


「だが」


 一拍。


「早い者勝ちではない」


「……はい」


「関係だ」


 それがすべて。


「……」


 窓の外。


 遠く。


 見えないはずの方向。


 だが。


 誰もが“感じている”。


 そこにあるものを。


「……なあ」


 軍務卿が言う。


「何だ」


「王より上か?」


 沈黙。


 長い沈黙。


 そして。


「……違う」


 王が言う。


 一拍。


「比べるものではない」


 それが最も正確な答えだった。

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