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完璧淑女の公爵令嬢、普通に卒業しただけなのに“あの令嬢”扱いされ、気づけば“星剣”と呼ばれていました  作者: 翡翠


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第51話 こちらで少し過ごしてからがよろしいですわね



 アストレア公爵邸の庭園。


 午後の光が差し込む中、ゴブリンたちは端にまとまって座っていた。


 静かだった。


 暴れる様子はない。


 武器も持っていない。


 ただ、周囲を見ている。


「……落ち着いていますね」


 リリィが小さく言う。


「はい」


 ノエルが頷く。


「完全に非敵対状態です」


「……」


 カイルが腕を組む。


「……本当にゴブリンか?」


「はい」


「種としては変わっていません」


 一拍。


「行動原理のみ変更されています」


「……」


 それが一番怖い。


 セリアが近づく。


 ゆっくりと。


 穏やかに。


「こちらで過ごすのは問題ありませんかしら」


 優しい問い。


 ゴブリンたちが一斉に頷く。


 強く。


 何度も。


「まあ」


 セリアが微笑む。


「でしたら、少し休んでいかれるとよろしいですわ」


 それだけで決まる。


 ここが居場所になる。


 一時的に。


 庭の中央では、エル・セラフィアが静かに座っている。


 その隣にアウレリオン。


 少し離れてセレス。


 全員が“見ている”。


 だが干渉しない。


 必要がないからだ。


「……なあ」


 カイルが言う。


「何だ」


「これ、どうする」


 当然の疑問。


「このままというわけにはいかないだろ」


「……はい」


 ノエルが頷く。


「長期的な配置が必要です」


「配置って何だよ」


「管理です」


 一拍。


「社会的な」


「……」


 レオネルが静かに言う。


「……領地だな」


「はい」


 ノエルが即答する。


「最適解です」


 その時。


「公爵領に参ります?」


 セリアが振り返る。


 あまりにも自然に。


「……」


 全員が黙る。


 早すぎる。


 だが。


 正しい。


「広いですもの」


 セリアが続ける。


「こちらより過ごしやすいと思いますわ」


 ゴブリンたちを見る。


「よろしいかしら」


 問い。


 だが。


 答えは決まっている。


 全員が頷く。


 迷いなく。


「……決まりだな」


 カイルが小さく言う。


「はい」


 ノエルが頷く。


「移住です」


「……」


 レオネルが目を閉じる。


「……領地が変わるな」


「完全に」


 ノエルが答える。


 その規模は、すでに国単位。


「では」


 セリアが言う。


「少しこちらで休んでからにいたしましょう」


 一拍。


「急がなくてもよろしいですもの」


 その言葉で。


 空気が緩む。


 ゴブリンたちが、ゆっくりと横になる。


 安心している。


 完全に。


「……なあ」


 カイルが言う。


「何だ」


「ゴブリンが寝てるぞ」


「……ああ」


 レオネルが頷く。


「安全だと判断したんだろう」


「……」


 それが一番おかしい。


 セリアはそれを見て、満足そうに頷く。


「よろしいですわね」


 その一言で。


 全てが決まる。


 一時滞在。


 そして。


 公爵領への移住。


 種族の在り方すら。


 静かに変わっていく。


 この場所から。

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