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完璧淑女の公爵令嬢、普通に卒業しただけなのに“あの令嬢”扱いされ、気づけば“星剣”と呼ばれていました  作者: 玉響すばる


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第45話 人の神もいらっしゃるのですね



 アストレア公爵邸、応接室。


 静かな空気の中に、わずかな緊張があった。


 エル・セラフィアが席についている。


 人の姿で。


 完全に自然に。


 その前で、セリアが紅茶を注いでいる。


 いつも通りに。


「……」


 レオネルが小さく息を吐く。


「……まだ増えるのか」


「はい」


 ノエルが即答する。


「外部要因が発生しています」


「……来るな」


 カイルが窓の外を見る。


 空が変わる。


 光が差す。


 だが、自然ではない。


「……顕現だ」


 ノエルが言う。


 短く。


 確定的に。


 次の瞬間。


 応接室の空間がわずかに歪む。


 そして。


 “現れる”。


 一人の存在が。


 人の形を取って。


 光を纏いながら。


「……なるほど」


 その存在が周囲を見る。


 すべてを一度に認識するように。


「お初にお目にかかります」


 セリアが自然に挨拶する。


 変わらない。


 何も。


「セリア・アストレアと申しますわ」


「……知っている」


 存在が答える。


 静かに。


「認識している」


 一拍。


「お前は」


 言葉が定義になる。


「神竜に認められた存在」


 空気がわずかに揺れる。


 エル・セラフィアが視線を向ける。


 否定しない。


 修正もしない。


 それで十分だった。


「まあ」


 セリアが小さく頷く。


「そうですの」


 受け入れる。


 いつも通りに。


「……」


 存在が一歩進む。


「我は人の神」


 一拍。


「人の意志、秩序、定義を司るもの」


 短い説明。


 だが、完全。


「まあ」


 セリアが微笑む。


「人の神もいらっしゃるのですね」


 それだけだった。


「……」


 わずかな沈黙。


 そして。


「……名を持つ」


 存在が言う。


「呼称としての」


 一拍。


「アウレリオン」


 その瞬間。


 空間が安定する。


 神の名が固定される。


「アウレリオン」


 セリアが自然に呼ぶ。


 迷いなく。


 ためらいなく。


「はい」


 存在が応じる。


 それで関係が成立する。


「……」


 カイルが小さく言う。


「……軽いな」


「はい」


 ノエルが頷く。


「正常です」


 アウレリオンがセリアを見る。


 評価するように。


「……定義する」


 短く言う。


「セリア・アストレア」


 一拍。


「我と同位とする」


 空気が止まる。


 完全に。


「……」


 レオネルが目を閉じる。


 理解している。


 それが何を意味するか。


「まあ」


 セリアは小さく頷く。


「分かりましたわ」


 あっさりと受け入れる。


 それで成立する。


「さらに」


 アウレリオンが続ける。


「セリアへの反抗は」


 一拍。


「我への反抗と同義」


 定義が確定する。


 逃げ場はない。


 上書きされる。


「エル・セラフィア」


 視線が向く。


「……同意する」


 神竜が答える。


 短く。


 確定的に。


 それで揃う。


 神竜。


 人の神。


 両者の一致。


「……」


 カイルが小さく呟く。


「……終わったな」


「はい」


 ノエルが頷く。


「完全に」


 セリアは紅茶を差し出す。


 自然に。


 アウレリオンへ。


「どうぞ」


 神へ。


 いつも通りに。


「……問題ない」


 アウレリオンが受け取る。


 それで終わる。


 神格。


 定義。


 世界の構造。


 すべてが。


 日常の中に収まる。


「……なあ」


 カイルが言う。


「何だ」


「もう何でもありだな」


「……ああ」


 レオネルが頷く。


「全部来る」


 その中心で。


 セリアだけが、穏やかに微笑んでいた。

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