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完璧淑女の公爵令嬢、普通に卒業しただけなのに“あの令嬢”扱いされ、気づけば“星剣”と呼ばれていました  作者: 翡翠


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第28話 理解は途中で放棄されました



 古竜が去った後、王都郊外には何事もなかったかのような静けさが戻っていた。


「楽しかったですわ」


 セリアが満足そうに言った。


 それが、すべての原因だった。


「……なあ」


 カイルがゆっくり口を開く。


「何だ」


 レオネルが短く返す。


「今のを、どう説明する?」


 沈黙が落ちる。


「……出来ないな」


 即答だった。


 リリィが少し遠くを見ている。視線が合っていない。


「リリィ?」


「はいっ……」


 返事はするが、焦点がどこにも定まっていない。


「どうかしましたの?」


 セリアが首を傾げる。


「い、いえ……ちょっと、考えていただけです……」


「何をですの?」


 言葉を探す。だが、見つからない。


「……やっぱりいいです」


 諦めた。


 ノエルも同じだった。表情は変わらないが、視線がわずかに遠い。


「ノエル?」


「問題ありません」


 即答する。


「……整理は?」


「途中で打ち切りました」


 淡々とした返答。


「……打ち切り、か」


 カイルが小さく笑う。


「正解だな」


「どういうことかしら?」


 セリアは本気で分かっていない顔をする。


「簡単な話だ」


 カイルが肩をすくめる。


「考えるだけ無駄ってことだ」


「まあ」


 セリアは小さく頷く。


「難しいことは考えない方がよろしいですものね」


「……違う」


 レオネルが小さく言う。


「難しい、ではない」


 一拍置く。


「意味がない」


 その言葉に、全員が黙る。それが最も正確だった。


「……理解は可能だ」


 レオネルは続ける。


「だが」


 一瞬だけ目を閉じる。


「価値がない」


 リリィがまた遠くを見る。


「……あ、これですね」


「何がだ」


「遠い目になる理由です……」


「……分かるか?」


 カイルが聞く。


「分かりません!」


 即答だった。


「でも、分からないって分かりました!」


「……それでいい」


 カイルが頷く。


「それが一番正しい」


「まあ」


 セリアが微笑む。


「では、次へ参りましょう」


「……もう行くのか」


 レオネルが呟く。


「はい」


 当然のように答える。


「空は見ましたもの」


 その一言で、すべてが終わる。


「……なあ」


 カイルが小さく言う。


「何だ」


「慣れると思うか?」


 レオネルは少しだけ考える。


 そして。


「無理だな」


 断言した。


 リリィは遠くを見る。


 ノエルも同じ方向を見る。


 理解しようとして、途中でやめた者の目だった。


「……行きましょう」


 誰も反論しない。


 できない。


 セリアだけが、いつも通りだった。


 それが、一番の異常だった。

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