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魔眷のミナト  作者: 少佐
9/11

ロリポップの依頼書

ーーーグランディオーゾギルドーーー


 中へ入り、依頼掲示板の前に立つ。


 ずらりと並ぶ依頼書。


「……えっと」


 5つの依頼。まず一つ目はワイバーン討伐・素材採取の依頼。


 そう言われたが――


 目を走らせる。


 そして。


「……あ」


 一枚の紙で、手が止まった。





 依頼主:ロリポップ





 ――いや、絶対これだ。





「……ロリポップって」


 思わず小さく呟く。


 どう考えても、さっきの鍛冶屋の店主だ。


 声と名前が、全然合っていない。









最初の一つは――ワイバーンの討伐。



 空を裂く咆哮。


 急降下により最高速度で振り下ろされる鉤爪。


 空を飛び火を吐く。



 ――速い。



 一撃で致命傷



 ミナトは、半歩ずらす。



 風圧が頬を裂いた。



 直後ワイバーンは上空へ



 炎が降る。



 無数の火球を剣で弾く。



 この剣はロリポップさんが取りあえずの剣として貸してくれた。



 煙が立ち込め、視界が奪われる。



 ――来る。



 煙を裂いて、影が突っ込んできた。



 鉤爪と剣が鳴り響く。

 


 ――重いッ!



 腕が軋む。が、ミナトが一枚上手だった。


 ワイバーンの重さをいなし、衝撃音の余韻とともに一撃、二撃と斬り込む。


 翼と足から緑色の血を流す。



 ワイバーンは咆吼を放ち。大技へと移る。



 ミナトは地に立つワイバーンへ最速の剣技を繰り出し重い一撃を放つ。


 パチパチという音とともに先ほどまでたっていた場所は焼け焦げた森へと変貌していた。



 致命傷を負ったワイバーンは翼を広げ、空へ。


 

 逃げる気か。


 届かない距離。



「……逃がすかよ」



 深く息を吸う。


 狙いを定め、ワイバーンの首元へ。


 わずかに揺れる軌道を読む。



 ――今だ。



 振りかぶる。



 そして。


 剣を、投げた。



 空気を裂く音。



 一瞬の静寂。



 刃が突き刺さる。




 血飛沫が舞い、地へと叩きつけられた。



 力なく横たわるワイバーンへ



「っしゃあああ!!」



 勝利の雄叫びが、森に響いた。






 受付に素材を運び込むと、周囲がざわついた。


「おい、あれ……ワイバーンじゃねぇか」


「マジかよ、一人でやったのか……?」


 カウンターへ素材を置く。


「依頼の納品、お願いします」


 受付の女性が一瞬目を丸くし、それから慌てて書類を確認した。


「か、確認します……少々お待ちください」


 奥へと消えていく。


 その間も、周囲の視線は途切れない。


 少しだけ、むず痒い。


「……やるじゃねぇか」


 背後から声。


 振り向く。


「ライトさん!」


「ワイバーン討伐か。普通はパーティーでやるもんだぞ」


 呆れたように笑う。


 だが、その目はどこか楽しそうだった。


「腹減ってねぇか」


 ふいに、ライトが言う。


「奢ってやる。祝いだ」


「ほんとですか!?」








 ギルド併設の食堂。





 肉の焼ける匂いと、ざわめき。


 冒険者たちが酒と料理を囲んでいる。


 ミナトの前に運ばれてきたのは、大皿の肉料理だった。


 思わず目を輝かせる。


「食え食え。ワイバーン倒した祝いには安いもんだ」


「いただきます!」


 かぶりつく。うまい。


 疲れた体に染み渡る。







「で?」


 ライトがフォークをくるくる回しながら言う。


「なんでワイバーンなんか受けたんだ」


「えっと……鍛冶屋で、新しい剣を探してて」


「ああ」


「その店主に、依頼を紹介されて」


 ライトの手が止まる。


「……誰だ、その店主」


「ロリポップって人で――」


「くくっ...あの、くそじじぃか」


 納得したように笑う。


「知ってるんですか?」


「そりゃな。ギルドにお抱えの鍛冶屋だ」


「で、どんな内容だ」


 ミナトは、依頼書の話を簡単に説明した。


 討伐が2つ素材採取が2つ。


 そして――最後の一つ。


「盗賊の捕縛、か」


 ライトは小さく呟く。


「はい...」


「あいつらしいな」


「え?」


「いや、なんでもねぇ」



 一瞬だけ、何かを考えるような顔をした。



 そして。


「その最後の依頼、いつ行く?」


「えっと……まだ決めてなくて」


「なら」



 フォークを置く。



「俺も付き合ってやる」


「ほんとですか!?」


「ちょうど暇な日がある」


 軽く肩をすくめる。


「それに――」


 一瞬、視線を上げる。


「少し気になることもある」


 その言い方に、引っかかるものを感じた。


 だが。


「……お願いします!」


 ミナトは深く考えず、頭を下げた。


 ライトは、にやりと笑う。


「決まりだな」








残りの依頼は、




 魔物の討伐。


 素材の回収。



 どれも、苦戦するほどのものではなかった。









 そして――最後の依頼書。



 内容は、単純だった。



 鉱石および魔物素材の奪還。


 ならびに、盗賊の捕縛。



 指定された場所は、中都市の外れ。


 森を抜けた先。

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