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魔眷のミナト  作者: 少佐
8/11

中都市ウィンブルク

森を抜け数日。ミナトは国境を管理する中都市付近まで来ていた。


明らかに森に入る前より強くなっているな。何度も死にかけた。いや――ほとんど死んでいた気すらする。結局なんだったのか、、……まぁ、なんとかなった。強くなれたのは事実だ。結果としては、悪くない。


道中では、かつて苦戦していたオオカミの群れも――そして、魔獣ミーティグリオン(通称:ミーちゃん)


――あの、見た目はただの可愛いウサギのくせに、やたら俊敏で厄介だった魔獣も。今では、軽くあしらえる。



カン!カン!


警備兵「次の者!」




~中都市ウィンブルク~




都市へ入るための検問。国境付近の都市では、珍しくもない光景だ。


ミナトは列に並び――前の男に声をかけた。フードを深く被り、背には死神のような鎌。



「すみません!これって列に並んで待てばいい感じですか?」

「あ? ……あぁ。初めてか。なら後ろついとけ」

「あ、はい...」



ゆっくりと進む検問はじれったくも感じるが大事なことなのだろう。……よりによって、ずいぶん怖そうな相手に声をかけてしまった。

死神男は気だるげな話し方で何か不安をあおる雰囲気を帯びていた。


「……ほら、俺たちの番だ」


え、一緒に入ってくれるのか!なんか怖いけどいい人ぽいな。


男は黒いカードを差し出す。――それだけで通過。質問も、確認も無し。


(なんだあれ……!?)


――――――――――――――――――――――――


「そのカードって何なんですか?」


「これはギルドカードだ。……お前何も知らねぇな。」


「はい!村出たばっかで……今勉強中です!」


「……はは、いい機会だ。教えてやる」


男――ライトは語る。

俺の名はライト。冒険者には必須のギルドカード。チーム、情報、そして――この都市を仕切る。その名もグランディオーゾギルド。長いからグランギルドってよばれている。「お前も旅人なら後で登録、ついていってやるよ」あとは国を出たいならさっき通った内検問所のちょうど東にある外検問所に行くといい。それと、お前さん武器に覇気が無いぞ死んでんだろ。新調しとけ。



こうしてミナトは、ライトに案内され――ギルド登録を終え、宿へと辿り着いた。

「……いい人だったな。怖いけど。」


部屋に入り、椅子へ腰を下ろす。そういえば武器が、っていってたな、


ズズッ――


剣を抜く。――黒く、焼け、錆びていた。


マジかよ 黒猫の戦い以降。解体用のナイフで道中の魔獣を倒していたため全く気付いて居なかった。なぜ使わなかったかと思うかもしれないが、剣に触れた瞬間、あの黒い瞳が脳裏に浮かび。ぞわりと、嫌な感覚が指先を這った。


剣は次の日にと考えミナトはライトさんおすすめの料理店へと向かった。







翌朝。ミナトは鍛冶屋を探し、街を歩く――

いや、走り回っていた。

さすが中都市だな。噴水に空を走る箱のような乗り物。すべてが、初めてだ。完全に観光気分。

あまりに広く綺麗な町並みに子供のようにはしゃぐ。


――そして。


「あ、鍛冶屋」




カランカラン




店に入ってみるとみたことの無い武器もズラリと壁に掛けられたり、樽の中にぎっしりと刀が入っていたりした。

「いらっしゃい」

渋い声が聞こえてきた。

現れたのは――小柄でピンク髪三つ編みツインテールのかわいい店主。(情報量が多い……)


なにこれ武器に集中できない...


「あの...」

「どんな武器がいい」

「あ、今使っている武器がこれなんですけど……」


ミナトは目がぐるぐる混乱しているのを必死に捕まえ、本題に入る。


「うわ、なんだこれ……」

「黒猫の魔獣切ってからこうなって……」

「へぇー…特殊な魔獣かもな」



修理不可。

処分決定。



「魔力総量は? エンチャントは使えるのか」


「実は魔力が無くて剣技のみで戦ってます」


目を丸くした店主はにやりと笑い、奥の鍛冶工房へと消えた。


「……やっぱ魔力ないと厳しいのかな」


数分後。


ドン!!


「これだ」



 布越しでも分かる。


 異様な気配。


 滲むような赤い光。


 そして――わずかに浮かび上がる、棘の輪郭。


「……これは」


 思わず、息が漏れた。


「魔剣――レーヴァテインだ」


 その名を聞いた瞬間、心臓が強く打つ。


 理由なんて分からない。


 だが――


 分かる。


 “普通の剣じゃない”


「……これを、売ってください」


 絞り出すように言った。


 店主は、わずかに笑う。


「売ってやってもいい」


 一拍。


「――条件付きだがな」


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