8日目 ダウンロード&インストール
《「まぁ、大抵のことは、なるようにしかなりませんでの。でき得ることから手をつけなされ。」》
アオイと名乗る女性の横にある映像を見ながら、イングはあいた口が塞がらなかった。
間違いなくナン姉とワドル卿だ・・・城か何かの屋上らしい。
「リアルタイムの衛星からの直上映像です。音声は女性の甲冑の音声振動をレーザーでスキャンし増幅したものです。マスターのいる城塞のほぼ真上なので、屋上と思われます。」
アオイは表情を変えることなく、淡々としている。
「衛星はマスターの支援・護衛のため、常にマスターの上空400kmに待機しています。」
補足説明も淡々と表情を変えずにアオイは言った。
今では、AIアオイの周りに数枚の映像があり、何かの状況を示しているっぽい。
目の前の光景もそうだが、何より驚いたのはアオイの言っている事が全て理解できることだ。
ーーーー少し前ーーーーーーー
ヴン!とまた、聞き慣れない音がして、あのAIのアオイが居る白い仮想空間が現れた。
ーーん? AI? 仮想空間? 俺は、なぜこんな言葉や概念を俺は知っているんだ?
「基礎的科学知識および一般情報、これまでのログ情報をナノマシンを介して海馬と大脳言語野にダウンロードし、必要なショートカットを書き込みました。これで、艦内のデータバンクにリアルタイムでのアクセスが可能、マスターは現代人と同じ情報・前提のもと思考が可能になりました。」
AIアオイは、休めの姿勢のまま、淡々と報告した。
それを聞くと、とてつもなく奇妙な感覚になった。見たことも聞いたことも、考えたことがない概念さえも、俺は知っている。
何だコレは?
知らないが、知っている。見たことないが知っているぞ・・と、みるみる青ざめていくと、AIアオイが
「情報・思考速度の急激な増大による思考無限ループを検知しました。防止のため、当面は単位時間あたりのアクセス量が制限されます」
と言った。
それはありがたい。頭が焼き切れるからな・・って理解できているんじゃないか・・。
さっきの意識が切れる前のやりとりも、夢ではなく、現実で仮想空間内での出来事だったんだな・・
・・・・・
・・俺ばかり・・なんなんだ・・一体! 一瞬、間欠泉のように赫と怒りがこみ上げてきたが、すぐに平静をとりもどした。
誰彼かまわず噛みついても仕方がないか・・状況も変わらんし・・・
まぁ、ワドル卿もなるようにしかならないと言っていたしな・・・
ふーーーーーっつ。と大きく一息ついてみた・・・・よし!
今できることから手をつけようか。
兎にも角にも、状況把握からだな。。。
イングはこの状況の基本情報を思い出してみた。




