7.侯爵家次男ルーク
ルークは、王都警備の早番の任務を終え、侯爵邸へと向かっていた。
普段は騎士団の寮で暮らしているため、実家の侯爵邸には、今では極たまにしか顔をださないようになっていた。
(なんだって、俺がこんな事を。兄貴のやつ)
領地に居る兄から、手紙が届いたのだ。
親父が勝手に婚約者を決めたらしく、俺に家の様子を見て来るように言ってきた。
どうやら兄には、領地に思う相手がいるようだった。
(それに婚約相手は、キンバル伯爵令嬢というが、キンバル伯爵家に令嬢なんていたか?
息子なら知ってるが。)
そんな事を考えていると、侯爵邸の前に馬車が停まっているのが見える。
家紋のないシンプルな馬車だが、どこから見ても高級なものとわかる。
(なんだ?)
屋敷に入るが、玄関ホールには誰も居ない。ますます異変を感じ取り、急いで応接間へと向かう。
応接間に入ると、そこに居る人物に度肝を抜かれる、と同時に怒声が響く。
「リリアーヌが居ないとは、一体どういうことだ!」
顔を赤くし、怒りを露わにした国王陛下がそこにいた。
「お前達は、お前達は何をしてくれたのだ!!
余の、余の娘に、許せん!」
「とにかく、一刻も早くリリアーヌを探し出せ!!」
(よの むすめ? よの むすめ?!)
(国王陛下の娘だって!?)
サァーッと、まるで音が聞こえるかのように
そこに居る者達の顔から、血の気が引いていくのがわかった。




