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欠落女子と高嶺の花  作者: 古宮ふえ
第一章 人生を謳歌する手前
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期末テスト勉強会(2)

 理科は、役立つと思う。水圧や重力、科学ジョークなどいろいろな用途がある。だからこそ、物理と化学は頑張るべきだ。たぶん。


「悠音ー、わかんねー。てか、理科なんて将来使わないっしょ」

 

 高園と勉強会するのは、2回目。相変わらず、全然進んでいない。


「将来使うかどうかなんて関係ないって前回も言いませんでしたっけ? というか、ノート見たらどうですか? 理科は受けているんでしょう?」


 高園は、かばんからよれよれのノートを取り出すと、「はい」と渡してきた。

 読めということかな。

 私は、ペラペラとノートをめくる。

⋯⋯読めない。


「読めないですね」

「だろ? ノート見て復習できないの」


 読めるように書けよという言葉を寸前でぐっと飲み込む。また少し、私の人生経験値が増えた気がした。

 私は、あらかじめ用意していた、理科のノートを取り出す。こんなこともあろうかと、持ってきていたのだ。


「どうぞ。これ見ながら復習頑張ってください」

「んー、ありがと」

 

 2人分のノートを差し出す。高園は、何とも言えない顔で受け取ると、ノートを見始めた。


「字、綺麗すぎじゃね?」

「そんなことないです」


 どうやら、綺麗な部類に入るらしいが、高園は自分の字が汚すぎるので、自分より綺麗なやつには誰にでもそう言うだろう。

 そんなことを考えていると、なぜだろう。やけに高園が軽薄そうな男に見えてきた。


「それ見て復習頑張ってくださいね。応援はしてます」

「そっかー。ま、これで復習できるし。マジサンキュー」


 そう言うと、ノートをよいしょよいしょ見ながら、勉強を再開し始めた。心なしか、前よりも手の動きが速くなっている気がする。

 私もやろうっと。


◆◆◆


「何か食べますか」


 今回は私から聞いた。理科はあまり得意な方ではないので、考えていると甘いものが無性に食べたくなるのだ。


「食べるー。俺も疲れたし。前と同じやつでいい?」

「はい」


 呼び鈴を鳴らし、注文を済ませる。


「お腹すいたの? 悠音」

「理科は苦手なんです。やってると、脳が乾いてくるというか。甘いものが食べたくなるんですよ」


 私から言ったことを不思議に思ったのだろう。高園はそう聞いてきた。

 しばらくして、注文したものが届くと、それを頬張る。食べたものを飲み込むと、高園に話を振ってみた。


「お菓子系だと何が好きですか」

「んーと、ポテチと団子と、あとプリンも好きだしパフェも。アイスも全般好きだなぁ」

「そうなんですね」


 多いな。高園は、話し終えると食べ始めた。そして、何回か会話を挟みながら、お菓子を食べ終えると、また勉強に戻った。


 今日は、前と違って、5時になるまでお互いに、あまり話さなかった。

 なんだか、ちょっと寂しいような気がしたのは内緒だ。

 周りの人たちの声が、雑音のように大きく聞こえていた。


◆◆◆


 今日で、勉強会をするのは2回目だった。理科は割と得意な方で、分かるところが多いので、ノートを取るときの字は汚いし読める人は少ない。俺は今回も懲りずに、悠音に教えてもらう作戦をしたが、悠音はノートを持ってきていたようで俺の作戦は見事打ち砕かれた。

 ⋯⋯が、悠音のノートは、誰が見ても「きれい」と、呟いてしまうほど、わかりやすくまとめられていた。

 これはこれで収穫だ。ラッキー。

 そもそも、私物を触れられてラッキーなのだ。俺は、ノートを机に置くと、チラチラ見るふりをしながら、几帳面なその字を眺めた。

 何回見ても、綺麗なノートだなぁ。

 悠音は「そんなことない」なんていう顔をしていたように思うが。

 今回は、悠音がそばにいないし、ノートを見ながらなので、手をこの間より早めに動かしながら、勉強をした。


 しばらくすると、悠音は「何か食べますか」と、聞いてきた。悠音から話を振るなんて珍しい。そう思ういながら店員を呼び、注文を済ませる。


「お腹すいたの? 悠音」

「理科は苦手なんです。やってると、脳が乾いてくるというか。甘いものが食べたくなるんですよ」


 ふと、先ほど思ったことを聞いてみる。

すると悠音は、自分のノートに視線を落とした。そして、口を開くと怪訝そうにその端正な顔を歪めるが、遠目からみても分かるくらい、量をこなしていた。 

 それからは珍しいことに、悠音から話を振ってくれていた。「お菓子系だと何が好きですか」とか、「アイスは何味が特に好きなんですか」とか。ちょっとした雑談なんだろうけど、俺のことを知ろうとしてくれてるのかな、なんて、思っちゃう。他の人にはしないでねなんて、言えばよかった。


 それからは、どうだったかな。頬張り終えたあと、お互い特に何も言わず、勉強を再開した。

 何か話そうと思って、口を開いた。そして、「ねぇ」という言葉が喉まで出かかった⋯⋯が、悠音の顔があまりにも真剣なもので。とても声をかけれる雰囲気ではなかったので、言葉を飲み込み口を閉じた。


 周りの笑い声が雑音のように聞こえたような気がする。悠音をチラチラと見ていると、その雑音は、だんだんと小さくなって。俺の耳には、悠音がシャーペンを動かしながら、ページをめくる音しか聞こえなかった。



だんだんと恋愛要素が増えている……はず!!

最後まで読んでいただきありがとうございました!!ぜひ、次回も読んでください!!

よろしければ、アドバイスや感想などをいただけると!

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