表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欠落女子と高嶺の花  作者: 古宮ふえ
第一章 人生を謳歌する手前
3/12

期末テスト勉強会

 

 なんのために勉強をするのか。数学なんて、将来役に立つのか。考えたことくらい、あると思う。

 

 「将来役に立つかなんて、関係ないんですよ。今を耐え忍ぶためだけのものです。きっと」

「や、国語とか英語は将来役に立つかもしれないし……」


 私達は、一学期期末テストに向けて、自習カフェで勉強中だ。なにせ、高校に入って初めてのテスト。しかも、内申点もある。


「そうですか。ところで、今何ページ進みました? 開始から2時間経ってますが」

「……」


 詰まっている。さすがに、1ページも進んでいないことはないと思うが。


「……大問1個」

「……?」


 聞き間違えでなければ、高園は大問1つしか進んでいないことになる。⋯⋯え? 確かに、やっている教科は数学で苦手な人も多いはず。いやでも、大問1個は少なくないか⋯⋯?  


「勉強、苦手なんですか」

「……」

「そうですか」


 どうやら、勉強は苦手らしい。私は、自分のを中断すると、高園にちょっとだけ教えることにした。   


「どこで詰まってるんですかね」

「ここと、ここと、ここの計算とあとーー」


 多かった。高園は、そもそもこの単元の問題を解くための考え方を理解していなかった。他クラスで知らなかったが、授業中は、数学の時間は嫌過ぎてサボっているんだと。

やばい。



 しばらく教えて、高園の勉強が一区切りついた頃。


「あのさ、何か食べよう。俺もう疲れた」


 高園は、そう言うと机に突っ伏した。


「でも、まだ3時間しか経ってません。定期テスト近いですし。勉強しないと留年しちゃいます」


 勉強し始めたのは、12時から。13時になるまでに一回お昼ご飯は食べてあるし、5時くらいまでは水分だけとって勉強する予定なのだが。


「定期テストって、来月だよ? 悠音は勉強始めるのが早すぎるって」

「そうでしょうか」


 1ヶ月前から始めるのは早いと言われてしまった。普通だと思うんだけど。

 ただ、ここで高園をいたわれない私ではない。私は、今日まで生きてきたことにより、経験値を得ている。


「なら、仕方ないですが、お菓子か何か食べましょう。なにがいいですか」

「甘いのー!!」

 

 疲れたら甘いものが食べたくなる気持ちはわからなくはない。でも、元気よく「甘いのー!!」なんて、言ってるのは、少々子供っぽいと思う。⋯⋯が、喉まで来たその言葉を私は、ぐっと飲み込んだ。


 完全に疲れきっているのか、机に突っ伏しているのを横目にとっとと注文する。プリンとパフェを2個ずつ。


「あと、2時間です。頑張ってください」

「ねー、悠音。俺もー無理。頑張れない」

「頑張れないんじゃない。気合と根性で頑張るんですよ」


 「うわっ。脳筋だ」と、聞こえたような気がするが、気にしないようにする。私達のもとに注文したものが届くと、それを頬張るため、勉強する手を止めた。


「ん、甘いなこれ。美味っ」

「それはよかったですね。では、勉強も頑張れそうですよね」

「……」


 何言わないは、「はい」と言っているのと同じとどこかで聞いた。パフェとプリンを食べ終わると、私達は勉強に戻った。


◆◆◆


「つかれたぁ」

「お疲れさまです」


 一通り勉強が終わり、時間になると、カフェを出て、家に向かって帰っていた。


「ゆーねは、なんでそんなに勉強できるの?」

「そういうものじゃないですか。わからないことがわかったときって楽しいですし、新しいことを知れるのも嬉しいじゃないですか」

「おー、俺と悠音では脳みその作りが違うんだな」


 なんだかんだ、高園は2ページやっていた。すごい⋯⋯と思う。


「そんな焦んなくていいのにー」

「勉強して損はないですから」

「その考え方俺できねー」


 「根っからの真面目ちゃんかよ」なんて、ぼやきながら、分かれ道でさようならをする。高園は、中学の頃は1週間前から勉強していたそう。私的には遅いと思うが、これが普通なのかもしれない。


 私は、一人で夕方の道を歩きながら、明日は英語をしようかななんて思う。

 あ、ちなみに数学は今日でテスト範囲の勉強が終わってしまった。後はとき直しを後日するだけだ。


◆◆◆


 少しだけ、今日はズルをしてみた。ただほんの少し、一目惚れした悠音との物理的な距離感が縮まってほしかっただけ。


 勉強は、ある程度できる。悠音ほどではないかもしれないが、そこそこ頭も良かったし、中学では基本五教科で450点以上取ることが、当たり前だった。


 今回は、ただ勉強できないふりをしたのは、優しい悠音が教えてくれる、なんて考えを含んだ計画だった。実際、教えてくれた。


 ⋯⋯が、問題を見ながら教える。物理的な距離が近づくということは、必然的に悠音の声も近くで聞こえるということ。

 耳の保養だったが、過剰摂取しすぎると致死量になる。


 だから、俺は疲れたと言い、自分が恥ずかしいわけでもないのに、何故か火照る顔を隠すため、机に突っ伏した。で、「疲れたぁ」なんて言った。

 

 今日は、チートデーだった。生真面目な表情で勉強したり、パフェを食べながら顔を綻ばせる彼女を見れた。いやもう本当にマジで最高だった。⋯⋯が、俺の心が持たなそうなので以降は控えようと思う。


 額に手を当てながら、空を見る。


 一体いつになったら、俺に振り向いてくれるかなぁ。

 

 出会ってちょっとしか経っていないのに、そんな事を思ってしまう。


 夕日が沈みかけ、少し空の上の方が藍色がかった時。「はぁ」と吐き出したため息は、夏とは思えないほど不思議と白く見えた。

読んでくれてありがとうございます!!できれば、アドバイスをいただければ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ