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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
君がために在る世界、誰がために去る未来 第四節

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インターバル


制御端末コンソール?」


 突如として光塔を撃ち上げた後にアクセス・・・・が可能となった各〝拠点核クリスタル〟の実態は、端的に言い表すと大体そのようなものであったらしい。


 念話越しに伝達された情報をオウム返しにすれば、ゴッサンは『あぁ』と首肯の声音で応じて……しかしまあ、言わずもがな俺一人に構ってはいられないだろう。


『悪いが、暫く全体指揮に掛かる。お前さんは────』


「こっちこそ悪い。了解、待機しつつ俺の方で思い付くことは試しとくよ」


 然らば律儀に断りを入れてくれる大将殿に了を返して、俺は念話の繋がりから一時的に意識を離した。一人一人を細々と指揮するわけではないにしろ、三百人を取りまとめるのは言わずもがなの大仕事である。


 こちらから悪戯に話しかけるのは、まあ少なくともタイミングを考えるべき。


 耳を澄ませても予感を探っても、状況推移に従って舞台に訪れた静けさが揺らぐ気配はなく……拠点防衛戦略遊戯タワーディフェンス風に言えば、戦波ウェーブの切れ目というやつか。


 ゲーム勘、およびアルカディア勘が言っている。


 イベント開始から、もうすぐ三十分……逆に言えば馬鹿ほどアレコレ起きた上で三十分も経っていないのかってな具合だが、早くも最初の休憩タイム到来────


 と、いうよりも。


「……ここまでが、導入部分チュートリアルってことですかね?」


「あるいは、導入部分オープニングってとこだろ」


 大体そんなとこだろうと、西の只中にて東の身内カナタと呟きを交わし合う。


 先程まで俺を構い倒そうとしていたバラスト氏は、現場まとめ役を任されているオジジさん……愛称ではなく正式名称オジジな【大金持】殿の下へ集合済み。


 途中でヒョイと拾われた雫ちゃんさんが「ひゃわぁあぁ……!」と悲鳴を上げながら恐竜に拉致されていく様が生暖かい視線と共に沢山の注目を集めてくれたので、畏怖諸々『なにアレやべー』みたいな職人様方の目は大分……まあ、


 そこそこは、落ち着いてくれている。


「やっぱ、非戦闘系プレイヤー目線だとバケモノ感が際立つんだろうな……」


「…………そうですね。はい」


 然して苦笑いを呑み込みながら思ったことを続けて呟けば、隣のカナタ君からは微妙な反応。なんだね君その『見る側のジャンルを問わず極まってバケモノですよ』みたいな声音と目逸らし仕草は。お前だって最早ギリこっち側だろ────


 なんて、戯れは置いておき。


「カナタ、なんか指示は受けてるか?」


 イベント開始前の事前ミーティング時にて、ある程度の現場即応指揮権限を序列持ちとして任されている身。基本的に『周りから指示を求められたら自分で考えて迷わず使え・・』と極めて重い信頼感を預けられている身の上であるゆえに。


 とりあえず、すぐ隣。


 横にいるカナタに確認すれば、後輩二号は首を横へ振り……なんというかゴッサンの言っていた通り、当然の如く俺に指示を求めるような目で向けるので。


特記戦力カナタにも指示が降りてないってんなら、まだ全体的に指揮の手が回り切ってない……したら一旦アレだ、外で戦ってた連中に合流して伝言を頼む」


「はい。なにを伝えれば?」


「……南北のゴチャ混ぜ状態で防衛してたはずだけど、部隊分け済みの南面子は内側に移動して城塞の傍に。んでー……バラけてる北面子は現状維持で警戒待機」


 俺が識る【総大将】様の性格やら性質を『記憶』の限りトレースして捻り出した指揮おねがいを、流石に自信満々は無理だが不要な畏れはナシに伝えていく。


「あ、大前提。各々もう指揮を受け取ってる状態だったら伝えなくていい。そん時は状況把握と共有だけして戻って来てくれ。後から指揮が飛んできた場合も……」


 自分としては相応しいとは思えぬ職務。


 けれども、事実としての立場を踏まえ堂々を努めるまま……。


「勿論、そっちに上書きで。その後はゴッサンの指揮に従うように。オーケー?」


了解オーケーです!」


 俺は俺としてゴッサンからの事前指揮を遂げれば、会心の笑みを一つ残してカナタは彼方へと駆けて行った。何故そんなに嬉しそうなのか。


 玩具を投げられた犬が如く……といった様子の後輩二号を見送って────




「どんな感じです?」


 すっ飛んだりカッ飛んだりはせず、テクテク歩いて知人たちの傍へ。


 短い道中『あの人って普通に歩けるんだ……』みたいな極めて不本意な視線を無数に頂戴していた気がしないでもないが、ここ最近は切り替えに定評のある俺。


 クールにいこ────


「ひぃっ……!?」


 そうさ。幼女に悲鳴を上げられたとて気にせず努めてクールに振る舞おう。


 さておき、


「おんおん、おつかれさんだよハル坊」


「ハル坊……」


 西陣営、緑に輝く〝拠点核〟こと巨大な浮遊結晶体の前。


 アクセス可能となった角錐から展開する、アルカディアプレイヤーであれば馴染み深い半透明の窓……即ちシステムウィンドウを読み耽っていたオジジさんは掛けた声音に数秒を置いて反応すると、俺を労いながら身体をずらしてくれた。


 見てごらん、ということだろう。


「えー、どれどれ……?」


 然らばと、覗き込ませていただけば……。



 00:32:19 ──── Westool(ヴェストール) ──── 201/201


 ◇陣営専有得点:0P  ◇全体共有得点:1153P


 -Apport Articles-


 【基本木材×1】 1P 【基本石材×1】 1P 【基本鋼材×1】 1P

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 ──────── ──────── ──────……

 ──────── ──────……

 ──────……




 ………………うん。


「なにこれ?」


 口から零れたのは、至極単純な困惑一つであった。






ちなみにですが、別に作者わたしが描写を面倒臭がったとかではなく実際あのように『名称未記入欄』が延々と下へ下へ続いており無限にスクロールできるらしいです。

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― 新着の感想 ―
まぁ、貴方ほどの自由度高いバケモノ()適性は片手…では足りないとしても誰が見てもアタオカではありますから…。まだ少し自己肯定感が低いんですよねぇ…。過去もありますけど、【Arcadia】初めてからも即…
倒してポイント貯めてそこから防御固めろと。
2026/06/09 18:47 しおりすぐ無くす読書好き
更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 敵を倒してポイントを稼ぎ、城塞を修復していく そんな感じかなぁ
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