余暇、転換、点火
────そして、それから数分後のこと。
つまりは、おおよそ〝敵〟の向かう先が割れたゆえに今後の……穴掘りタイプから先鋒タイプと続いた各種類の特徴も踏まえて、今後の対応を決するべく。
ようやっと、もといイベント開始から僅か二十分程度で総勢四百名の完全組織化を成し遂げた、我らが参謀様【侍女】様ヘレナ様も合流 with 俺タクシーした後。
「────そ」
端的に言う。新生『四柱戦争』は、彼女に改まっての挨拶さえ許さなかった。
状況推移に次ぐ状況推移……即ち〝道〟の掘削のみに役割を特化していたと思しき巨大ミミズ型の盛大な登場を経て、開通した入場口から溢れ出した半人型小型エネミーの大群────から連なる次の状況が、たった数分足らずで訪れたから。
起きたことは、至極単純。
「え?「は?「なんか、なにッ……!?「ちょちょちょちょちょちょッッ「ちょっとゴメン展開の速度というか「ペース早ない!?────
複数地点で展開する各戦場を筆頭に、困惑多数。
「「「「「────もう新型ァッ!!?」」」」」
つまりは、そういうことである。
◇◆◇◆◇
「…………………………どういう、アレなんすかねぇ……?」
然して、開戦よりトータル十数分後。
必要性を鑑みた上で依然として待機を告げられている特記戦力および特殊戦力の内、初期地点にて職務としての『暇』を務めている俺は、沈黙に飽きてポツリ。
同じく傍で待機している相棒、ミナリナ、ういさんと序列持ち的な意味でもクラン的な意味でもな身内四名と仲良く椅子────気遣い痛み入るというか、
「さささどうぞどうぞ! クラウンさんもついでに!」
「立ちっぱなしもアレでしょう! クラウンさんもついでに!」
「お座りなすってくだせぇ! クラウンさんも! ついでに!!!」
……みたいなノリで周囲の仲間たちが用意してくれた『いちばんすわりごこちのよさそうながれき』長椅子に仲良く腰を下ろしながら、展開が早いというか諸々の違和感を以って進む現状に、我慢できず誰へともない問いを零していた。
なお、ネタとはいえ執拗に【星架】を「ついでに」扱いした下心諸君の顔はバッチリと『記憶』している。この後も暇と機会があれば、戦争における戦死者の割合で少なからずの数字を占める〝同士討ち〟についてレクチャーしに行くとしよう。
────さておき、
重ねて、東陣営初期地点。拠点核が存在する広場の端……つまりは壁際にして城塞壁の上こと物見台……なんて名前を付けられるほど整えられちゃいない単なる上端の厚み部分だが、とにかく地上十数メートルの見晴らしより。
「んー……や、まあ、そりゃ戦争だし?」
俺の呟きに、ミィナが。
「……敵が一種類だけ、なんてわけがない、けど」
繋げて、リィナが。
「そうですね。…………ですが、それにしても極端と申しますか……?」
のほほんと、我が師が。
「そう、ですよね…………────っぁ、また……?」
そして、我が相棒が。
各々の声音で各々の言葉で、同意を示す最中……ソラさんの反応通り、まただ。
また。見守る先で、件の大穴から湧き出す〝敵〟が一斉に毛色を変える。
先鋒を務めたスマートゴリラから、数えて三度目。
混じるだの追加だのといった形ではなく、そっくり切り替わる形で登場して俺たちを最初に驚かせた群団Ver.2────四足側面に死ぬほど凶悪な武器を装備して拠点核一直線を継いだ〝狼型(?)〟からの、地響きを上げての大行進を演じていた今しがたのVer.3ことゴツゴツ鎧を纏った〝サイ型(?)〟からの……コレ。
敏捷型、膂力型に引き続き、いよいよ空まで飛び始めたVer.4。
それまでの展開をぶっちぎって盤面を塗り替えてくる節操のなさに、そりゃ疑問も違和感も湧くだろうといった具合。然らば、それらの感情と併せて。
「……………………ど、っこいしょっと」
何やら殺る気が満点であることだけは理解できる、デカい鉤爪を装備している〝蝙蝠型(?)〟……ザックリ遠目判断だが、おそらく一体一体のサイズは大体一メートル強程度であろう、低空飛行する新顔の大群を眺めつつ。
「ゴッサン?」
俺は、待機を言い付けている大将殿へと声を掛け、
『………………ぁー、そうだな、あの程度なら対処は効くだろうが……』
一拍の、検討を経て。
『────ま、特効札を持ってんのに切らねぇのもアホらしいか』
「了解。────ついでに、ちょっとした盛り上がりでも作っとくか?」
決して平和ではないにしろ今の画に暇を見てしまうのは、ゆうて俺だけ……こちらにいる側だけではないだろうという確信を、僭越ながら持たせていただき。
念話越し、軽々に『んじゃ頼むわ』と笑うゴッサンへ重ねて了を返しつつ。席に座るままの女性陣に「んじゃ行ってきますわ」と片手を上げつつ────
「《転身》」
俺は転身の鍵言を口にすると共に、喚び出した小さなサイコロを手に笑った。
「なんか動きが無ぇなぁ……」から突如ぶちのめされるのがTDの醍醐味(ド偏見)




