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────と、いうことで。
「いくぜ野郎共ァッ‼︎「開戦じゃぁ!!!「塵殺!塵殺!「vEは心が軽ぅい‼︎「今の内に格好付けとかねぇとなぁッ!「俺らでも無双できそうな今を逃すな‼︎「我らが勇姿をミナリナに捧ぐ「いや剣聖様に「いやソラちゃん「いやハルちゃ────
「…………大丈夫か? 東陣営」
文字通りに全力を尽くした赤青ちみっこ二人組を抱え、我らがイスティアの初期配置地点。城塞の東端へと舞い戻れば、展開されている光景は『地獄』の一言。
足踏みナシの、躊躇もナシ。
思い思いの雄叫びを上げては出陣していき、地属性魔法士が生み出したスロープを駆け上がっては恐れる様子もなく〝壁〟の向こう側へと身を躍らせる前衛戦士たち。まさしく戦闘狂陣営と呼ばれるに相応しい有様を見て……。
なんというか、こう、彼らの世間体を危ぶむ俺に。
「んまあ、いつものことじゃなーい?」
「見慣れた景色」
「そっすか……」
両脇。米俵二人が『なにを今更』みたいな反応を当然の如く寄越してくるので、今更を重々承知している俺としては『そうですか』と納得する他ない────
と、地に足を付けて言葉を交わしつつミナリナを解放した折。
『ミィナとリィナを含む序列持ち、そんで戦士枠以外は一旦待機しろ』
東陣営にて選抜された一般枠三百名の内訳は、八割方が近接戦闘に特化した戦士タイプ。即ち先の号令でイスティア初期地点からは人員の大部分が出陣済み。
然らば残る魔法士枠や、ロッタよろしく特殊技能枠および文官補佐枠を兼任する戦力、おおよそ五十人程度が留められた場に【総大将】の遠隔指揮が響く。
「ハルっ!」
「おう、サポート助かった。流石は俺の相棒……っとと」
その始まりを聞きつつ……一時帰還した俺を迎えに駆けてきて、控え目ながら勢い余ったフリをする可愛いパートナーの身体を受け止めつつ。
視線の先。すりガラスの如く、乱反射する光の屈折にて不透明ながらも向かいを見通せる金剛大障壁の奥。壁を乗り越えては二手に、つまり北東および南東へ分かれた各百名強の戦団の行く手────緊張なく見守る俺たちの視界内。
『砲火力諸々も温存する。アレの対処は役不足だ』
それは、押し寄せる無数の気配を正しく読み取っていたゆえ。念話越しゴッサンが断言すると同時、四方から一斉に夥しい量の青い燐光が噴出して夜闇を奔る。
まあ、予想通り。
「…………朽像さん、くらいでしょうか?」
「お、ソラも勘が磨かれてんな」
遠距離からの目視、そして隠す気もなく存分に発散されている気配および殺意の〝圧〟から読み取るに、湧き出した〝敵〟連中の戦力想定は大体その程度。
即ち、落ち着いて対処可能であるなら全く脅威にはならない程度────
『前線から情報共有だ。小物の特徴は半人型、四足駆けに特化した犬と猿の中間みてぇな外見で、面白れ……わかりやすい報告を例に挙げると、細長いゴリラ』
つまり、猶予なく囲まれ物量に圧し潰されでもしない限り、
「んふっ……」
「細長い、ゴリラ……」
オジジが冗談を宣い、孫役二人が笑いを零す程度の余裕は今もあるということ。
『特筆点として、なにやら『鎧』みてぇな装甲を着てるみてぇだ。それ自体は大した強度でもない上、立ち回りも着飾る系のエネミー基準では相当に獣寄り』
とはいえ、真面目な局面には変わりない。そこは疑うべくもなく調整を間違えない【総大将】が連ねる情報を、取り零さないよう聞き頭へ叩き込んでいる折。
「────ただいま戻りました」
「ぁ、おかえりなさい」
音もなく、摺り足の如く。極まった『縮地』により瞬間移動めいて帰還した我が師【剣聖】が、穏やかな微笑と共に俺たちの傍へと降り立った。
さて、少々どころではなく遅かったが……。
「お散歩でもしてきました?」
「あら……ふふ、ばれてしまいましたね」
意識の二窓程度、思考操作とかいう現実では縁のないファンタジー技術を日夜鍛錬しているアルカディアンには造作もない。聞き逃さず取り零さずゴッサンの戦況共有を受け取りながら戯れを向ければ、ういさんはコロコロと微笑んだ。
小さな悪戯がバレた、子供のように。
「手は出しておりませんが、戻りながら〝穴〟の様子を間近で見て参りました」
そして、無力な子供では到底のこと成し得ない無茶苦茶を、事も無げに言う。
「…………えぇ……あの」
「……よく、手を出さずに間近で見てこれましたね?」
俺が見た限り、掘削役の巨塔ミミズが開けた大穴から群団……共有情報曰くスマートゴリラが湧き出してくるペースは、秒間数十は下らない濁流模様。
然らば決して『お行儀よく』ではなく正しく『溢れ出している』わけで、そんなところへ接近しようものなら飛び散った奴に捕捉されそうなもんだが────と、
そこで気付く。
これは、単に悪戯がバレた【剣聖】様の白状などではなく……。
「はい、それはもう────こちらを見向きもしませんでした。一匹たりとも」
あくまでも、パーティプレイを意識して精進する彼女の〝報告〟なのだと。
「「「「………………」」」」
然して、ういさん以外。誤らず報告と受け取り思考を回す俺たちは、個々のラグはあれども……個々に積んだゲーム経験および知識から、ほぼ同時。
「ゴッサン?」
おそらくは同じ推測を浮かべながら、代表して「聞いてた?」と声を飛ばすのをミィナに預け、大将からの反応を待つ。────さすれば、応は十数秒後。
『アイリス越し、ヘレナの奴とも協議した』
齎された解答は、陣営トップ個人からではなくレイド全体の頭脳陣から。
『前線からの報告と併せて、現状ほぼ確実と見ていいだろう。少なくとも今いる小物連中が目指してるのは────俺らプレイヤーじゃぁなく、四方の初期地点』
それは、至極わかりやすい状況証拠から導き出された現状の解。
『十中八九、各陣営の〝拠点核〟が狙いだろうぜ』
つまるところ、実に拠点防衛戦っぽくなってきたなという具合である。
TD好きです。なおド下手。
ぶっちゃけまだ始まってすらいないけども、
ハチャメチャに勘の良い人には既に全貌がバレてそう。




