幕間
然して、渦中を演じて恥ずかしながら。従来のトーナメントに代わる三日間の公開演目は、仮想および現実の両世界にて好評のまま幕を閉じた。
会場は常に則りイスティア戦時拠点内のインスタンスフィールドで行ったのだが、演者も抽選来場者も東陣営に限らなかったゆえ規模は中々に盛大。
一対一形式のトラデュオめいてガチ寄りな殴り合いがウケたのか、早くも次回以降の恒例化を望む声が大量に寄せられているらしい────楽しませられたのは喜ばしいことだが、その次回以降が一体どうなるかも知れぬ状況では……。
まあ、なんとも言い難いなということで。
「お、んじゃ遂に?」
「えぇ、決まった。隅々まで、ようやく」
とにもかくにも、今回を無事に乗り切らねばってな今である。
新四柱への繋ぎとして世間への娯楽提供を果たした後日、現実世界にて昼食時。最近は多忙にて中々プライベートレストランへ顔を出せずにいる南陣営代表様の時間が空いたとのことで、久々に席を共に出来た一時のこと。
「これで正解かどうかは……本番を迎えてみないと、わからないけれど」
「ま、なんとかなるだろ。なんとかしようぜ」
おおよそ、三週間弱。
あっちへこっちへ、どっちへそっちへ、行き交い飛び交う情報やら連絡やら事情やらを従え纏めて統括して、本当に文字通り漸くのこと。
新四柱へ挑む選抜面子『1000+10名』が、決定したとの報を受けたのだ。
「結局、職人枠は何割にしたんだ?」
「二割」
「おぉ、ガッツリ割いたなぁ」
「戦場……〝城塞〟の規模がわからないから、どうしても『必要最低限』のラインが算出できない。だから、これでも手が足りなければ諦められる線引きにした」
「成程?」
なお場には共有する側される側、つまりアーシェと俺の二人きり。
我らが四谷レストランシェフ千歳和晴こと和さんは俺らの昼食を用意するだけして「用事があるから」と自室へ颯爽と引っ込んだし、ニアは親友とデート中。
後者に関しては、攫われ際に犯人こと三枝さんから迫真のドヤ顔を贈られた。
別に無限に睦まじいのは結構だが、やられっ放しは癪なので後ほど先日の星空イベントで撮った水着ニア(照れ顔)とのツーショットを送り付けておこうと思う。
────さておき、
「おそらくの『対エネミー』で、なおかつ『城塞』の『防衛戦』……間違いなく〝工兵〟の出番はあると思うけれど、流石に参加枠の三割以上も必要だとは……」
「思えないから、もしそうで失敗したなら設計者のせいにする?」
「する。悪いのは、欲しい情報を全て開示してくれない意地悪な神様のせい」
「清々しいなぁ」
例によって、あの【剣ノ女王】様が言っていること。
そして、その言葉の裏には我らが【総大将】や【侍女】様などなど参謀役たちの深い深ぁ──────……い思惑が、それこそ俺の頭では及び付かないようなアレコレに至るまで内包されて結論の過程と根拠を形作っているのである。
序列持ちとて、そんな頭脳陣に戦略云々の判断を預けている大勢の内一人。然らば、いつもの如く報告に対する反応など納得を置いて他にない。
ゆえに、特に疑問もツッコミもないまま報告を受け入れて箸を置く。
「一応だけど、特記戦力面子に変更は?」
問えば、俺を置き去りに早々と食べ終えていたアーシェは薄く微笑み、
「ない。────大変な思いは、一緒にしてもらう」
「っは、了解。今の内から気合い充填しとくよ」
対面のテーブル越し。卓に手を突き背伸びをして、俺の頬を優しくつついた。




