表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
君がために在る世界、誰がために去る未来 第四節

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1227/1297

それはそれとして恋模様


 ────なんて、確かに着実に成長こそしてはいるものの。


「っふべ……」


 柄じゃないという事実が消えることはないし、疲れるものは疲れる。


 主に男性陣との殴り合い交流会が前半、主に女性陣との談笑(?)交流会が後半。四時間強にも及ぶファンサを誠心誠意遂行した後、自室に引っ込み即倒。


 この気疲れだけは、薄れこそすれ無くなることはないのだろう……なんて、既に完全克服は諦めている疲労感を放散すべく、俺はベッドに沈み込んだ。


 まだまだイベント時刻は夕方にも満たず、眠ってしまうには早過ぎる。この後も例によって予定は満杯、意識を落とすことなく、早々に復活せねば────と、


「……そんなになるまで、毎回よく頑張るねー」


 活力の求めに応じるかの如く、うつ伏せで突っ伏した俺の後頭部へ言葉と共に労い・・が……即ち、くすぐるように優しく頭を撫でる細い指先が降ってくる。


 然らば、


「頑張ってるつもりはー……別に、ないんだよなぁ」


 首を捻り視線を飛ばした先。


 倒れ込んだ俺の、すぐ隣────当たり前のような顔でベッドに腰掛けている藍色娘は、返す言葉に「なに言ってんだコイツ」みたいな表情を浮かべた。


「や、頑張ってるじゃん?」


 そうして首を傾げつつ、俺の頭を撫でる手を止めないまま。


「頑張っては、いないんだよ。うん、少なくとも今は。なんというか、俺も俺で好きにやってる結果として勝手に疲れてるだけ……みたいな感じ?」


 自分でも上手く言葉にできないような内心を聞かせてみれば、忽然と現れた……わけではなく、当然のように俺の自室で俺の帰りを待ち受けていたニアは、


「なーにを言ってんのかな、キミは」


「なーにを言ってんだろうな、俺」


 わっかんねーとばかり適当に笑うものだから、俺も釣られて笑ってしまった。


「────ま、いいや。とりあえず休憩でしょ?」


 といったところで。撫でる手が止まりポンポンと背中を叩かれ、今度は俺の方が求めを察して身体を転がす。うつ伏せから横向きへ、そしてそのまま……。


「そうな。まあ、十分くらいは……?」


「活動時間と休憩時間の比率、もちょっと考えたら???」


「……じゃあ、十五分で」


 適当な問答をしつつ、()()()()()()()()()()


 然して、細っこくも柔らかなニアの両脚を当然のように────しかし実際は、()()()()()()()()()()()に従うまま枕にさせていただき目を閉じる。


 目蓋に隠れる前の光景は、大人しく言うことを聞く俺を見て楽しげなニアの顔。


 ……そうとも、まだ暫くは()()()()()()()()()()()()()()()を継続せねばなるまいて。今でこそ機嫌良さげだが、ここに至るまでの最近は大変だったのだ。


 なにが理由で、なにがあったかなど言うまでもない────



 勿論、ソラがプロポーズを受諾してくれた流れから連なるアレやコレやである。



 端的に言って……まあ、翌日に俺とソラの二人で報告をしてからの動揺っぷりがヤバかった。置いてかれたとか、取り残されたとか、大体そんな具合。


 どこか清々しい顔で報告をするソラを見て、


 素直に喜ばしそうな顔で祝福するアーシェを見て、


 そんでもって言葉にできない嬉しさは間違いなく在れども、ニアを前に一体どんな顔をしていればいいのやらと板挟みで風邪を引きそうになっている俺を見て。



 ────…………………………………………そ、……っか…………。



 ……と、ぽつり。


 なんと言うべきか、ひどく心細そうに呟いたニアの声音が今も忘れられない。


 そう、片時も忘れることなどできないまま……────全身全霊の献身というか、誠心誠意のフォローというか、粉骨砕身の甘やかしを捧げた結果。


 俺だけではなく、ソラとアーシェも含め三人掛かりで大立ち回りをした、結果。


「んでー? この後の予定はー?」


「あー、とりあえず次は既存メンバーに挨拶して回って……鉄さんに夜のシフト・・・・・確認しなきゃいけねぇのと、なんかノノさんに『お手すきの際に』って呼ばれてる」


「わー大人気だぁー」


 ようやく、ここまで。ほんのり普段よりも機嫌良まで、持ち直せたわけで。


 ソラたちの手助けも有難く頂戴したが、言わずもがな元より俺の罪。ニアの心が弱いわけでも、不安定なわけでも、我儘なわけでもありはしない。


 三人それぞれに想いを渡すと決意した時から、こういった局面が訪れることだって当然のこと考え想定はしていた────ゆえに、()()()()()()()()()()


「それとか、あれとか、全部こなした後はー……」


「あとはー?」


「多分、少しだけ時間が空くかなぁと」


「へー、そうなんだ」


「うん」


 俺は、俺の心が望むまま。


「だから…………ぁー、その、なんだ。そればっかで悪いけど、散歩でも」


「デートなら行くーっ!」


 三人それぞれ一人一人を、遠慮なく容赦なく矛盾なく。


 誰にも憚ることなく思い切り……────無限に、贔屓していくのだ。







まだプロポーズ時に設定した見極め期間の1/5程度しか経ってない事実。

即座に応えたアーシェと約半年で心を決めちゃったソラさんが強過ぎる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あなた方出会ってから一年でですからねぇ…。これに関してはお二方が早いだけでこう、ニアちゃ様が遅いというわけでは…。…いやまぁ、一目惚れという点では一番最初に意識し始めたのはニアちゃ様ですか。一番長い間…
いや〜、やっぱりそうですよね。 姫様は即決、ソラさんも返答済み、となるとニアちゃん的には焦るというか置いてかれたような感覚になるだろうなとは思っていたので、ちゃんとそこのケアが描かれて嬉しいです〜! …
ニアちゃんが一目惚れというマジの純粋な恋心一本槍で混沌の中に居るの改めてすげ〜の心。
2026/05/22 16:33 しおりすぐ無くす読書好き
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ