和気藹々アップデート
────で。
「おぉ………………え? 良くね……?」
「…………うん。流石アイドルというか、美的センス凄いね」
わいのわいの、卓を囲んで賑わうこと三十分ほど。
要求に従って各々アレやコレやと意見なり何なりを思うまま並べていき、それらをリィナが統合した結果、出来上がった一つのデザイン案。
その予想を上回るクオリティに、まず俺とテトラが素直に感嘆を零せば……。
「……本職じゃない、こと、あんまり褒められても、困る、けど…………ん」
やはりというか、どうあっても本人の中で『齧った程度』の範疇なのだろう。リィナ自身はデザインに限り大して自信を持っていなかったようだ。
ので、褒めそやせばコレこの通り。しおらしく照れる様子が普通に可愛らしい。
とはいえ────
「リィナちゃん、とっても素敵ですよ……!」
「ええ、本当に。こうしたものには疎いですが、それでも見事に思えます」
俺やテトラのみならず、ソラさん&ういさんの反応も上々。カナタも感心満点といった具合にふんふん頷いているし、とりあえず既存面子は満場一致で花丸だ。
そんでもって、
「はっはーん参ったかぁ‼︎ 流石あたしのリィナちゃんだぜドヤァ……!!!」
まあ、とりあえず何もしてないのに壮絶なドヤ顔を披露しつつリィナに抱き着いて普通に嫌そうな顔で拒否られている残念ちみっこは置いとくとして……。
「いいんじゃないか。まだ外野に近い新入り視点、君達らしさも感じられる」
おそらく唯一この場で完璧な客観的視点を持てているであろう囲炉裏も、外から見ての意見として『良』をリィナに伝えていた。
実際、そういう奴のサラッとした肯定が一番ほっとするものだろう。
「…………ん、うん」
然らば結局そこまで絶対的な自信はないのだろうが、それはそれ双翼の片割れにして元トップアイドル無敵の青色ちみっこ様である。称賛と肯定の受け取り方など、それこそ誰より長けているプロであるからして……。
「それじゃ……コレで、良ければ?」
照れ顔を引っ込め、いつものダウナー顔を取り戻しつつ視線一周。最終確認とばかり俺たちの表情を順に見ていき────こくり、小さく頷いて。
「……わかった。丁寧に進めるから、暫く待ってて、ね」
決定したデザイン案の記されている用紙をクルクルと巻き取り、大事そうに抱えて、ぽつりぽつりと了の音。これにて正式に『依頼』受領と相成った。
……本人の知名度だけで国内有数のブランドに成り得る、リィナこと【天羽理奈】へ直々のデザイン依頼。冷静に考えれば相応の代価を支払って然るべきだが、
「お代は〝兄〟で。よろしく」
「これがなけりゃ、いくらでも拝んで崇めて然りなんだけどな……」
と、半ば予想はしてたがツケは全て俺持ちらしい。ソラさんですら半笑いの様相、何も言わず『頑張れ』みたいな目で見てくるだけなので救いはナシだ。
────さて、
「と、いったところで……どうする? 他、なんかするか?」
不意に湧いた丁度良いレクリエーションは、そこそこの盛り上がりを見せて無事に了……となれば、特に何も予定していなかった宙ぶらりん時間へ逆戻りだ。
こうして集まっているのだし、せっかくなら何かしら皆で遊ぶ流れが好ましいのでは────と、俺と同じ思考の者を確認する意味で言葉を投げてみれば、
「すみませんハル君。この後、現実の方で私用がありまして……」
「おっと……あぁ、いえいえ、そんな全然。突発集会でしたし気になさらず」
まず一人、お師匠様が申し訳なさそうな顔で挙手。
「ごめん先輩、僕も用事。夜なら全然付き合えるんだけど」
「あぁ、はいよ。同じく気にしなくていいぞ。睡眠時間は大丈夫か?」
「だから、ちゃんと寝てるってば」
二人目、テトラが続いてサラッと挙手。そして────
「すまないが、俺も今日はここまでだ。明日以降なら幾らでも付き合おう」
「あら、俺たちではなく?」
「違うな。残念ながら俺一人の私用だよ」
「急に強ぇじゃんスンって返しやがって腹立つ」
三人目、金髪イケメンが締めに挙手。
更に続く者は……────いない模様。ミナリナは遊ぶ気満々というか『用事ない奴は逃がさねぇぞ』みたいなノリでいるのが顔見りゃ一目瞭然。
まさか男子は俺一人ですかと男子(?)に目を向ければ、カナタは『大丈夫ですよ』と薄っすら苦笑いと共に首を振っている。信じてたぞ後輩二号。
で、ソラさんが一日オフなのは当然のこと知ってる。
つまり残るは俺含めて五人。然らば、どうすっかね……──
「では、その……名残惜しくはありますが」
「あぁ、はい、ほんと気になさらずね。各々。あとはこっちで……」
────ってのは、まあ。
「……? え、なにジッと見て。見惚れるのは仕方ないけど鑑賞料は取るよ?」
「…………こっちで、適当に面倒は見ときますんで」
「っはぁー??? あたしの台詞ですけどぉ? 大先輩ぞ平伏したまえ後輩君」
この通り、既に勝手知ったる親しき仲。つまり肩肘張るような理由も皆無。なるようになるの精神で気楽に流されておけば、一日なんて瞬く間だろう。
……なお、
「よし……────じゃ、カナタ。とりあえず赤い方の接待は任せる」
「え? ……え??? え、待ってください、話し合いましょう」
「ほら俺、もう青いのに憑かれてるから……」
「んふふ……べたー」
「なんだよカナカナ仲良くしようぜーっ!!!!!」
「いえ、あのっ……ちょ、せ、先輩ッ……俺には荷が重いですって……!?」
「最悪あれだ、ソラさんに投げていいから。最悪な」
「おいそこのサブマスそろそろ言いたい放題に物申す舐めんなよー!!!」
「あ、はは…………ふふ」
諸々、無事に済むか否かは、また別の話だが。
こんなクラン毎日ログイン不可避でしょ。
エンブレムお披露目回はべたーってしてる子が頑張ってからの後日だそうです。




