終える物語。続く物語
──【急募】仮想世界の水中戦で最強になる方法【青源の深域】Part.1──
1:人間豆
誰でもいいから教えてくれ!!!!!
俺も序列持ちの方々と仲良くなりたい!!!!!!!!!!
もといヒーローたちの力になりたい!!!!!!!!!!!!!!!!!
2:ZIPer
豆は地面に埋まってろ
3:ゆうやけ
煩悩が先行しているの大減点ですよ
4:kokokoi
そんなんだから豆なんだよ
5:天王星
なにがPart.1だよ続くと思ってんのか煩悩豆太郎
6:男陀仏
気持ちは分かるけど似たようなスレ乱立しすぎなんですわー
7:チエリリ
【急募】じゃないんだよね。
8:BLT
有用な情報を持ってたとしてクソスレに書き込んでる場合じゃないんだよなぁ
9:kuromame
ほんとだよ。同じ豆として恥ずかしい
10:あずき
お豆の風上にも置けませんよ
11:醤油
豆類メッチャいるじゃん草
12:kuromame
>>11
そういう君も高確率で原材料が豆なの草
13:あずき
これは豆もやし生えますね
14:Kaku
まーたクソスレ立ってると思って覗いたら豆スレだった件
15:百太郎
なんにせよ豆にせよ、まずは1のスペック提示。話はそれからだ
16:BLT
飛んだ?
17:天王星
だーから非匿名掲示板で適当なスレ立てはやめとけと
18:人間豆
>>15
イスティア所属
レベル112 STR=AGIの汎用ビルド軽戦士 野太刀メイン
魔法は微妙 水と土の二つ持ってるけど両方サポ運用止まり
基本ソロだけどアンガルタくらいならギリいける
元々ちょろっと遊び程度に水中狩りとか嗜んでたから現時点でも多少はイケる
こんな感じです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
19:天王星
ふぁっっっ!!!??
20:kuromame
こっわガチ豆やんけ。おちょくってすいませんでした殺さないで
21:人間豆
例の御触れ見てから段々と乗り気になっちゃって!!!!!
別に本気で相乗りできるかもとかは思ってないけど!!!!!!!!
いい機会だし頑張ってみるのも良い思い出になるかなって!!!!!!!!!
22:百太郎
流れ変わったな
23:kaku
まーたクソスレ立ってると思って覗いたら良スレの気配が匂い始めた件
24:一二三
レベル110オーバーって最古参じゃね。嘘じゃなけりゃ普通にガチ勢じゃね
25:天王星
非匿名かつアルカディアンで嘘つきは無い寄りでしょ
無名の在野ガチ勢なんて珍しくないしマジでわ?
26:怒喜怒喜
とりあえずラファン倒そう。しれっと情報公開されてたし
27:人間豆
>>26
それねラファン帰宅したら凸する予定!!!!!
ソロで無理だったらパーティ募集するわ!!!!!!!!!
28:kokokoi
このガチ豆様ずっとうるせぇな……
29:百太郎
楽しくなってきたから支援するけど、真面目にやるなら少し落ち着こうぜ
30:Yes麺
アー麺
31:人間豆
すいませんした。割かし真面目に頑張るつもりなんで応援よろしく頼んます
32:ZIPer
まさかの盛り上がりを検知
33:ダダイ
なにこれ。豆の成長を見守るスレッド?
34:ゆうやけ
やる気と煩悩に満ち溢れたガチ豆さんが豆もやしを目指すスレらしいです
35:ダダイ
意味不明で笑う
36:あずき
いいですね、どんどん豆もやし生やしてきましょう
──────……
────……
──……
◇◆◇◆◇
────【青源の深域】攻略失敗、からの情報共有会議、からの天国と地獄ホワイトデーを経て。時間は足早に過ぎるまま、それから更に十日が経過した。
攻略面子の序列持ちは、多忙を縫ってのラファン討伐ツアーに大忙し。然らば当然のこと、移動係に名乗りを上げた俺も俺とて大忙し。
慌ただしく駆け抜けていく日々は爆速の様相。他にも引き受けた依頼やら雑用やらを遂行しつつ、相棒の特訓にも付き合っていれば体感速度は倍々ゲーム。
ゆえに、マジで気付けば二桁も日付が消し飛んでいた、今日この頃。
世間も世間で、他ならぬ【剣ノ女王】名義で出された御触れ────要約すれば『幅広い意味で協力を求む』の声明に沸き立ち大変な賑いを見せているが……。
まあ、それはそれとしてだ。三月も後半の夜────
「 祝 ! ! ! 自 由 ッ ッ ッ ! ! ! ! ! 」
俺は『東の円卓』にて、騒々しいデシベルを叩き付けられ顔を顰めていた。
ゆうて過密スケジュールには慣れたもの。激務を遂行しながらも、まだ大して疲労は溜まっていなかったのだが……まさしく、今この瞬間に大きな疲労を感じさせられた気がする────ってのは、この場に在って俺だけに限った話ではなく。
「うるっさ……」
「本当にな……」
自分の席、即ち畏れ多くも東陣営序列第三位の椅子に腰を落ち着けるまま。思わず呟けばノータイムの同意が隣から齎された。三位の隣、つまりは────
「……察するに、昨日から、ずっとコレか?」
「……あぁ、昨日から、ずっとコレだ」
今しがたド級に疲れる音圧を叩き付けられたばかりの俺に倍する……いや、倍どころではない疲労感を浮かべて序列第二位の席に納まっている【無双】殿。
我が親愛なる友、囲炉裏が零した瀕死の声音である。
────然らば、先程の騒音が何者由来かなど言わずもがな。
「テンッッッション低いなぁ野郎どもぉっ!!! もっと祝いなさいよ崇めなさいよ! 今日この日から始まる、ミィナちゃん真なる自由の日々をぉあッ!!!」
テンションに任せて行儀の悪さ限界突破。椅子に座るでも床に立つでもなく卓上へ仁王立ちオンステージ、完全に無敵化している赤色ちみっこに他ならない。
……いや、まあね。気持ちはわかるってか、無理もないと理解はできる。
できるんだが……────
「………………コイツ、真なる自由とやらに解き放って大丈夫なのか?」
「………………ダメだろうな。助けてくれ」
「いやぁ…………」
なんというか、ご愁傷さまというか、合掌というか。
今日この日から……否、昨日から始まってしまったらしいコレこの様子が末永く続くのだろうと思うと、悟ったような目をしている親友が可哀想。
いや、ほんと、赤色のテンションも理解はできるんだけどもさ。
────なんせ昨日、アイドルとしての卒業ライブを終えたばかりなのだから。
即ちトップアイドル【才門 未奈】および【天羽 理奈】としての活動に、昨日。ミィナとリィナの二人が、この上なく……盛大に、終止符を打ったばかりなのだ。
あぁ、知っているともさ。俺も行ったし、囲炉裏も行ったんだから。
俺はリィナに招待されて、囲炉裏はミィナに招待されて、二人揃って『ほぼ個室みたいなVIP席だから』と騙されて足を運び扉を開ければ〝こんにちは〟である。
去年の初夏。アーシェ企画の別荘行きで顔を合わせた以来のリアルイケメンに俺は面食らったし、囲炉裏の方も面食らっていた。当たり前である。
そんでそのまま「久しぶり、だな……」からの「お、おう……」と得も言われぬ気まずい挨拶を挟みつつ野郎二人並んでのアイドルライブ鑑賞会である。
控えめに言って神みたいなライブだったせいで気付けば二人で肩を組んで盛り上がっていたが、それも含めて帰宅した後に割かし許せねぇよなと俺は憤った。
いろんな意味で、大事故リスク極高のイタズラをされたわけだからな。
アイドル初心者、ライブ初心者の野郎二人を相部屋に放り込んで完全放置とか極悪犯罪者のソレだろ────と、正直なとこ久々の鷲掴みも辞さない心持ちで。
今日、今の呼び出しに応じたのだが……。
「……まぁ、俺を助けている暇はないか。君も」
「ほんとそれ。助けてくれ」
動に対する静、もとい騒に対する静。
夕食後にログインした瞬間のこと。昨日の今日でミィナから飛んできた『集合!!!!!』という喧しい招集令を受け取り足を運んでみれば、コレ。
言葉なく飛び付いて来たかと思えば、今も当然の権利が如く。
俺の膝上に乗っかって『褒めろ褒めろ褒めろ撫でろ撫でろ撫でろ』と無限にゴロゴロ喉を鳴らしている青色然り。そんでもって、ご覧の通りの赤色然り。
昨日、おそらく人生最大級に『頑張った』のであろう達成感とか。
昨日、おそらく人生最大級に感じたであろう開放感とか。
昨日、おそらく人生最大級に抱いたであろう……避け得ぬ、寂寥感だとか。
自分たちが決めて記したピリオド。自分たちが決めて引いたゴールライン。自分たちが決めて歩み出した新たなスタート────そういうの、諸々沢山。
俺には推し量れないであろう様々な感情の大波が、今。ミィナとリィナの胸中で一体どれほど暴れ狂っていることか。量れないなりに、おおよその想像は付く。
付いて、しまうものだから。
「…………ハル」
「はい」
「…………後生だ。俺一人に預けてくれるなよ」
「まあ、はい。そうな……安心しろ、元々そのつもりで来たから」
俺も囲炉裏も、早々にデシベル圧に屈しつつ。
「テンションひッッッッッくいなぁ野郎どもぉっ!!! 今日は夜更かしだよ悪い子しちゃうもんねぇ!!! 絶対に逃がさんからな付き合えぃッ!!!!!」
「…………、……、……、……、……………………、……」
対極の様相。されど姉妹(姉妹じゃない)らしく、そっくりな様子で……。
つまるところ、俺たちの体力および精神力事情など今に限り知ったこっちゃないといった様子で、荒ぶりに荒ぶる赤青ちみっこ二人組を────
「はぁ……全く」
「はぁ……ったく」
今日ばかりは文句も鷲掴みも先送り。
野郎二人で励まし合いつつ甘やかすべしと、覚悟を決めざるを得なかった。
おつかれミナリナ。ご愁傷様ハルいろ。
ということで、ここから唐突に異色の四人ぶらり旅編が始まりません。
やることは決まってるから巻きで行くよ巻きで。




