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アルカディア ~サービス開始から三年、今更始める仮想世界攻略~  作者: 壬裕 祐
君がために在る世界、誰がために去る未来 第一節

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持ち帰った成果


 さて。


 連ねて重ねて、そんなこんなで更なる翌日。


 イベント後の諸々整理やら体感数日ぶりとなる相棒との逢瀬。加えて例の物・・・に関して当然の難航に立ち向かってくれている専属魔工師殿とのブリーフィングから始まり、忙しなく様々な用事をこなしていれば丸一日など冗談抜きで秒。


 意識的には間断なく迎え迎えられの無限コンボ。朝に目覚めてから朝食を取る間もなく宿舎より外出、お次のタスクは何だろなといえば────



「────……………………………………いや、すげぇなコレ」



 初めて足を踏み入れたタイミングという意味では現在の家、四谷宿舎よりも付き合いが長い『豪邸』と称すべきガチ邸宅内。我が親友こと四條楓嬢の自室にて。


 朝っぱらから始まった()()()()()()()()()()()という名の『鑑賞会』約四時間超の再生を終えて、改めての感想を我が貴重なる野郎友達こと遠山俊樹がポツリ。


 データ再生時間の終端へ至り沈黙したスクリーンを他所に、呟きを零した俊樹のみならず友人たち全員の顔を見回してみれば……。


「…………とりあえず、しっかりエンタメの体は成してるようで安心したわ」


 当事者たる俺が自分で言うのはなんだが、映画を一本見たくらいの疲労感なんてものじゃないだろう。これは所謂、厳選見所集・・・・・なのだから。


 先日のイベント期間内でリィナと二人、どうにかこうにか見せるべき部分の選定および再現収録は終えられたのだが……ぶっちゃけ、構成は割とメチャクチャ。


 俺は映画監督どころか、物語云々を頭の中で描いたことさえないド素人。


 映像撮影自体は自前および身内の反則能力をフルに用いて、またアルカディア自体の理解不能な技術力を存分に頼って完璧なクオリティが保証されていたが、重要シーンの中から更に重要な絵を切り取るなんて取捨選択ができるはずもない。


 ゆえに、迫真ぶっ続け・・・・・・


 静でも動でも問わず、目を離したらアカンとだけは誰にでも察せられるだろう見所の無限連鎖。端的に言って、見ていて非ッッッッッッッッ常に疲れる。


 そんなものを、栄養補給あさめしと並行して四時間超に及び一気見したのだから……。



「「「……………………………………………………」」」



 まあ、うん。映画好きで暇な時には一日中名作マラソンをしていることも珍しくはないという稀有な例外こと俊樹は置いといて、だ。


 楓を含む女性陣三人が、満足を通り越して腹一杯といった様子で伸びているのも仕方ないってか当然の結果。俺が原因ではあるが素知らぬフリで合掌である。


 まあ、楽しめたであろうことは間違いない。その点は安心だ────と、


「お前コレ、結局どうやって撮ったんだ?」


「ぁー、っとなぁ。まずリィナの魔法で室内を全面暗室……ってか、投影する映像の光やらで家具が浮かび上がったりすることもない完全な『闇』に固定して」


「いきなり意味わかんねぇけど……あ、アレだよな。こう、視界自体を……?」


「そう、幻惑の星魔法で俺らの認識自体を弄った。システムさえ騙せる完全ぶっ壊れなもんで、この通り『録画』も恙無くってな感じだ」


「ほーん………………つまりお前ら兄妹が手ぇ組んだらヤベーってことだな」


「真顔で兄妹ソレやめろ────とまあ、そんな感じとして。あとは本当に見たまんまだぞ、まさしく今のコレみたいにスクリーンをイメージして『記憶』を転写した」


「はぁー……音までバッチリ再現できちまうのマジヤベーよな……」


「音どころか、なんか録画中は現場の空気まで完全に再現してたぞ。空気の匂いというかなんというか、誰彼から叩き付けられてた圧だの諸々とか」


「……どういう幻術なんだよ」


「……そういう幻術なんだよ」


 俊樹の問いに答える形で、収録環境の解説共有。


 全く道理を蹴飛ばすことをやっているし、調整・・の要を感じて何度も何度も何度も何度もリテイクしたりと、しんどい作業には違いなかったが……。


「最悪、寝っ転がってても問題ナシってのは疲労蓄積的な意味で有難かった」


「あぁ、まあ、編集段階ここ空間画角・・・・を固定すりゃいいだけだかんな……」


 とまあ、そういうことで。記憶再現収録にも慣れ切った後半に関しては、俺もリィナも気の抜き方を心得ていたため力まず気張らずスムーズに進行した。


 ニアは頻繁にスヤスヤだった。寝顔が無限に可愛いかったので無罪ヨシとする。


「録画機器なんざナシで機能提供は全部アルカディア持ちの馬鹿水準……画質だのなんだのさえ()()()()()()()()()()()んだから、マジで意味わからん。最高」


「それな。……そりゃ、アルカディアのアーカイバーが氾濫して既存の個人配信業が下火になるのも頷ける。誰でも最高クオリティをお約束、だもんな」


 俊樹が崇める通り、四谷の提供するアルカディアの録画配信システム群はドン引きするまでに『最高』だ。比喩ではなく、意味不明な録画媒体およびその操作性や編集自由度、全てにおいて既存技術を過去とする質が担保された『最高』性能。


 正直なとこ、尽きぬコンテンツを内包する『異世界アルカディアのアレコレを好きに映像化できる最高の環境』これだけで一部界隈は初期費用三百万の元を取って余りある。


 普通に考えて、PCその他コンテンツ整備に要する器材群を『それなり』のスペックで揃えようとしても数十万程度。更に上を見ればキリがない世界だ。


 本来なら配信サービス一括りだけで莫大な金を集められるはず……なのだが、運営開発こと『四谷』は初期購入費用以外で資金徴収の姿勢を見せない。


 さて、それは代表である徹吾氏の意向なのか……俺やアーシェが知らされている、というか仄めかされている〝誰かさん〟の気ままによるものか────



「……………………のぞみ君」


「お。大丈夫か」


 なんて、男二人。なんともはや今更のこと過ぎて感謝は出てきてもツッコミは出てこず揃って暢気に呆れていると、一抜けで復活したらしい女子の声が転がった。


 然して、梶沢美稀は自分に凭れて目を回している親友かえでの頭を撫でつつ。


「とりあえず、最低でも一時間くらい削りたい・・・・


 端的に、これからの意向を提示してきた。


 先程まで、長らく待ち侘びていた未知に次ぐ未知に次ぐメチャクチャおよびムチャクチャな情報ラッシュに目を輝かせ夢中になっていたオタクとは思えぬ冷静っぷり。であれば、俺は頼もしい限りと笑みを返しながら……。


「同意だ。及ばずながら俺にも監修させてくれ」


「お願い。削るべきじゃない部分の判断には貴方が必要」


「勿論だとも。……ま、()()()()()()()()()()()()()()()()に頼むのもアリだが」


「…………冗談やめて。()()()()()()()()


 俊樹とは別方向で、慣れ親しんだ会話展開。


 我らがチームの実質的なリーダー役にして技術的な意味でもセンス的な意味でも核に違いない眼鏡美人様は、今日も今日とて美稀さんである。



 ────と、いったところで。


「さて…………翔子さん? それ以上こっち・・・に画角を回したら罰金な」


「っひぇ……! や、ちょ、な、なんのことかなぁー……!?」


「バレないと思うの無理があるだろ。同じ部屋の大スクリーンぞ」


 密かに快復し、スクリーンを映していたスクリーンに直結された編集機器に悪戯中・・・。アルカディア占有不可能技術である『空間録画』内の画角を弄り、おそらくは再現映像録画中の〝俺たち〟を覗き見ようとした葦原翔子に釘を刺しつつ。


「楓? 楓さーん、大丈夫かー、おーい」


「だ、だいじょぶ……だいじょぶですっ……!」


 親友の甘やかしが効いたのか次いで復活の兆しを見せた、限界オタク筆頭もとい我が親友こと我がマネージャー様に声を掛け……斯くして、いざ。



「んじゃ、早速だけど始めるか────目標は今日明日にて完成。頼むぜ諸君」



 俺自身も同行するデスマーチPart.2の音頭を取った。






描いたか描いてないか覚えてない(おそらく描いてない)のだけれど、アルカディアもとい【Arcadiaアルカディア】は初期購入費用三百万円を除き、月額利用料および通信料および電気代・・・および五年に一度の定期整備費用等の追加課金が存在しないそうです。


もし在るみたいなことを描いてたらソレは無能わたしの情報統制管理ミスなので要ご報告。最初から今まで変わることなく語られるまでもないアルカディア世界の常識。



なにがどうなってんだろうなぁ。











どうでもいいけどチラッと遥かな未来で重要となる伏線g

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― 新着の感想 ―
何に繋がって何を動力に動いてるんだろなぁ
アルカディアほしいいいいいいいい
どれだけの伏線が一話一話に張り巡らされているのか.........
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