02【キサラとアカリ】私の宝物(学園GL)
【登場人物】
キサラ:本作の語り手。金髪ピアスな女子高生。
アカリ:キサラと親しいクラスメイト。小動物系。
※本エピソードにはGL描写が含まれます
※本作は文章表現の練習を目的とした習作・掌編です。本エピソードは一場面を切り取ったものです。
アカリちゃんが丁寧に畳まれたハンカチをゆっくり開くと、現れたのはバラバラにほどけたビーズのキーホルダーだった。
先週、フリーマーケットで二人で購入したお揃いのものだとすぐに分かった。アカリちゃんに視線を戻すと、沈んだ表情でキーホルダーをじっと見つめていた。
「慌てて家を出た時にキーホルダーがドアに挟まって、ビーズが取れちゃったの。ごめんなさい」
アカリちゃんは申し訳なさそうに頭を下げる。気落ちしなくて良いのに。
「家にお邪魔したい」と落ち込んだ声で電話をかけてきたのは、これが原因だったのかと納得した。繊細なアカリちゃんらしい。
「あまり落ち込まないでよ、アカリちゃん。またお揃いを買いに行こ?」
「……うん、そうだね」
アカリちゃんの目が潤みはじめ、気まずくなったのか俯いてしまった。どうしよう、無神経なことを言ってしまったかもしれない。
「……アカリちゃん、無理してるでしょ? 本当のことを教えて?」
アカリちゃんは眉根を寄せて、言いにくそうにしている。私は目を細めて笑いかけた。アカリちゃんの雰囲気が、少し柔らかくなる。
「私とキサラちゃんに似合うものを選んだから、キサラちゃんとの繋がりがバラバラになっちゃった気がして。……ごめんね、そんな訳じゃないって分かってるのに、少し感情的になっちゃった」
本音を言って恥ずかしくなったのか、頬を赤らめて視線を彷徨わせている。本当のことを聞けて、私は嬉しいよ。アカリちゃんの柔らかい髪を撫でた。
私のキーホルダーだって、2人で真剣に悩んで選んだものなんだから、大切に決まってる。同じ立場だったら、きっとアカリちゃんに謝ってただろうな。
「壊れたキーホルダー、見せてもらってもいい?」
白いハンカチの上に宝物のように置かれたキーホルダーを見る。ビーズが照明の光を浴びて、色とりどりに輝いていた。
私も色違いだけど同じデザインのキーホルダーを持っている。ビーズは幸い割れていないから、私のものを見ながら直せないだろうか。
「私の方こそ無神経だったよ、ごめんね。ほら、私のキーホルダーを参考にして、いっしょに直そうよ。最近、ビーズアクセサリー作りに興味あったんだよね」
「うん。……ありがとう」
アカリちゃんに明るい笑顔がもどる。
……やっぱりあなたには、その顔が似合うよ。
キーホルダーは星モチーフと、月モチーフの部分がある。星は私、月はアカリちゃんに似てるって言って、これを選んだんだ。
「じゃあ私は月を直すから、アカリちゃんは星をお願い」
「……手伝ってくれてありがとう。がんばるね!」
作業を始めたはいいものの、私もアカリちゃんも素人。ああでもない、こうでもないと二人で悩んだ。小さなビーズは指先で掴みにくいし、力加減を間違えるとどこかへ飛んで行ってしまう。ミニテーブルから落ちたビーズを探すのは、二人がかりでも大変だった。ひとつのビーズをワイヤーに通すだけでも一苦労だ。
2人で黙々と作業すること1時間。アカリちゃんは星の形になりつつあるビーズを大切そうに撫でていた。
「ビーズで形を作るのって簡単そうに見えるけど複雑なんだね。丁寧にしないとすぐにばらけちゃう」
「うん。でも面白くなってきたかも。今度のアカリちゃんへのプレゼントは手作りビーズアクセサリーにしようかな」
難しいところは手芸に詳しいお母さんにやり方を教えてもらって、なんとか形になったときには日が沈みつつあった。
「がんばって直したけど、ビーズが足りなかったから月が欠けちゃったね。星も少し角が丸いかな?ミニテーブルの下にもなかったし、似たビーズを買いに行く?」
「ううん。これで十分」
アカリちゃんは出来上がったキーホルダーを大切そうに胸に抱く。
「これは、私の宝物。キサラちゃんとの大切な思い出が、たくさん詰まっちゃった」




