七. 鳥は一羽だけ
「な、言ったろ?」
ラフガは得意そうに笑った。
「アイツは、来た」
ヒビキは青バラに囲まれて微笑む獏を映した空中窓を見ながら、バカにしたように笑う。
「違うね。
あいつには、最初から選択肢なんてなかった。
青バラ畑に現れなかったら、その時点で、ぼくは奴を殺してた。
きっと、本能的に奴はそれを察知したのさ。
挑む・逃げるのツーアクションのうち、逃げることはできなくなったから、自動的に挑む──青バラ畑に来るしか、道はなかった。
……それだけだ」
呆れたように、ラフガは檻の中で笑った。
「オマエってさぁ……オレがいうのもアレだけど、もっとスナ……」
ヒビキは無言でラフガのほうを見た。
「な、なんだよ……」
浅くしか開いていない目で、ヒビキはどうでももよさげに笑う。
「ぼくの目は、やがて、見えなくなる……。
だけど、この世界でなら──幻を見ていられる。
ぬくもりのある、幻を……」
ラフガの隣にもう一つ、檻がある。
「シエル──あいつのつけた、名前……」
シエルは檻の中に倒れ、気を失っている。
いや、違う。眠っているのだ。
「幸せな、夢を──幻を。アンキ……」
眠りの幻術に囚われたシエルの見る夢は……
「鳥になって、自由に大空を。君好みの幻だろう?」
だけど、シエルの寝顔は、どこか寂しげだ……
ヒビキは溜め息をつく。
「何が、気に入らない?」
シェ
シエルは夢の中、たった一羽で空を飛び続ける──……
ラフガはそんな二人を微妙な表情で見つめている。




