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BLUE ROSE  作者: うさぎさん⭐︎
第三章 青いバラが咲いている世界に

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一. 強者と勇者


 鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ、形はクマに似て、悪い夢を食うという、中国の想像上の獣──。

 それが、獏。

 動物国にいる、サイに似た生き物とは違う。

 現実に存在する、有り得る獏ではなく──

 有り得ない、獏。


 ヒューマンとバードピープルから産まれた、有り得ないはずの少女。

 シエル。

 風の魔法を使い、風の暗獣を召還し──

 人をたくさん殺した。

 自分が、生き延びるため──

 

 そして、陽姫と呼ばれるラフガ。

 ──彼女を拉致したヒビキ……


 ボクは勇者で、シエルは闇姫……。

 ヒビキに勝たなければ、この国は滅びる。

 そうしたら、どうなるんだろう。

「──関係ない。ボクは元の世界に戻るだけ」

 不可能だ。実現不可能だ。ただの浪人生が、幻術士と戦い、囚われの姫を助けるなんて。

 第一、なんのメリットがある?

 それは、実現できることだから、意味があるんだ。

 姫を救い、勇者としてもてはやされて、なんの価値もないこんな自分が、自信を……つけられるような。

 自分という存在のレベルが上がるような──……そんな気になれそうだから。

 だから、意味がある。

 死んでしまったら──そこに、なんの意味がある?

 絶対にクリアできないゲームなんて、誰がプレイする?

 束の間の幻を見たいから──現実から目を背けていたいから、だから有り得ないゲームにも、この世界も、利用価値がある。

 リスクだらけの世界。白い死に神の待つ塔。

 そこに、なんの意味があるっていうんだ?

「……シエル」

 ボクが帰ったら、彼女もこの国ごと死ぬんだろうか。

 でも、それは仕方がないことだ。

 他を殺し繋ぎ止めていた命が、ついに途切れる日が来た──……

 それだけのことじゃないか?

「ボクは、関係ない……」

 巻き込まれただけじゃないか。

 他力本願だよ。

 なんでボクが、こんな関係ない世界のために、リスキーゲームをしなきゃいけない?

「助け、求める相手、間違ったんだよ、シエル……」

 弱者は強者に殺される。

「もっと、強い勇者、召還しなきゃだめじゃないか……。

 こんな、弱い──ボクなんかじゃなくて……。

 こんな、先も見えない、なんの取り柄もない、身勝手で、日々に押しつぶされそうな──ボクなんかじゃなくて……」

 それこそ、あのヒビキみたいな……

「強者を……」

 ねぇ。シエル?

 一体、ボクの、どこが勇者なの……?


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