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六. ヒビキとラフガ
ヒビキは溜め息をついた。
失望を赤い瞳に浮かべ、目の前の宙に浮く──それまで獏の姿が映っていた、鏡にも似た、幻術の四角い窓のようなものを消す。
後ろを振り向くと、檻の中に赤毛の少女がいる。
「残念だね、陽姫。
見たろう、あれが『勇者』さ。あの分じゃ、あいつは君を見捨てて元の世界へ帰るね」
ラフガは噛みつくように言う。
「来る‼︎ オレは、アイツを信じる‼︎」
「…………幸せに育った姫は、おめでたいね」
「ヒーローを演じる? それのどこが悪い?
誰だって大なり小なり、演技くらいする。それだって自分の内だろう? なら、何が本当の自分だ?」
ヒビキはラフガに向き直ったまま、目を狭めている。
「アイツは──オマエが考えているような、それだけのような──そんなヤツじゃない──‼︎
きっと、アイツは、来るッ‼︎」




