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BLUE ROSE  作者: うさぎさん⭐︎
第二章 夢を食べる獏がいるのなら

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四. 優しい獏にはなれないから


「で、えーと…・・」

 自分でティーポットから茶を注ぎたし、二杯目の茶を飲むシエルを見ながら、獏は言う。

「な、なんだっけ? ……あ、そうだ、あのさ」

 獏はまた何かを描いてシエルに見せる。

「コレ!  こんな感じのホワイトタイガーが、なぜかボクを乗っけて王様のトコに連れてってくれたんだよね」

「ふーん? あたし知らない」

 横を向いて、そっけなくシエルは言った。

「……そうか。なんだったんだろう、なんか、一瞬、白い髪に白い肌に赤い目のイメージの、誰かが頭に浮かんだんだよね……。

 誰か──ヒューマンだと思うんだけど……うーん…………たぶん、会ったことのない……」

 シエルは何か言いたげに獏を凝視する。

「な、何……?」

「なんでもない」

「んー……」

 獏は上を向いて側頭部を掻くと、ティーカップに残った茶を飲み干す。

「大体君の事情はわかったよ。大変だったね……よく、がんばったね、シエル」

 シエルは目を見張った。

 下を向いて、唇を噛む。

「獏は……どう思う?

 ……あ、あたしじゃなくて! ラフガ姫のこと……」

「ラフガ姫? んー」

 腕組んで、天井を睨むようにして獏は言う。

「よくわからないんだ……。どこかで会ったような気がするのに……。何か、巨大なテキストが……えーと……」

「いい!」

 シエルがそれを止める。

「お、思い出さないほうがいいよ、たぶん無理に! い、いやなことは……‼︎」

「嫌なことだったのかなぁ?」

 首どころか背中まで傾けるようにする獏に、シエルは早口に言う。

「そ、それより! 獏のこと聞かせてッ‼︎」

「……え?ボク……?」

「そ、そう! 獏の世界のこと !獏の国のことッ‼︎」

「んー。なんか最近ボクの国は不況不況っていわれててさぁ……」

 シエルは息を吐いた。

「やっぱり、真の楽園なんて、どこにもないのね……」

「あ、いや、でも、ボクの国は今んとこ戦争のない国やってて!

 不況不況っていっても、やっぱり豊かな平和な国だと思う。

 でも、特に外国ではテロ、内紛、戦争──貧富の差が選しい国……いろいろある。

 ボクの国は……少なくとも、ボクは、平和な国だと思う……。

 うーん、ボクがのほほんとしてるからかもしれないけど。もちろん、いろいろ問題もあるし。すべての人が幸せになれる国……なんてのは、不可能かもしれないけど……」

「でも──悪夢を食べる獏がいるのなら……」

「え?」

「それは、救いかもしれない……。

 悪夢を──悲しみを、食べてくれる優しい獏がいれば……」

 獏の唇がぎこちなく動く。

「ボクは、人間だから……。誰もの悪夢を食べる優しい獏にはなれないから……。

 だから、ボクは……。ボクは……学校を辞めて……だけど、大学に行って……先生になって……そして……」

 泣きそうに顔を歪め、獏の言葉は途切れる。

「…………」

「獏?」

「ごめん、なんでもないんだ。

 ラフガ姫……捜しに行かなきゃ……」


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