第1話 かっわいい!
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家に戻ると、水着は洗濯され、陰干しされていました。お母さんが、洗濯してくれたようです。
フグちゃんが、こちらを見ています。
かっわいい!
私が、まだ乾いていない、ひんやり水着に着替えていると、
「アユなの?」
裏庭からお母さんの声がしました。
私は、水着姿で、裏の部屋の掃き出し窓の所に立ちました。
「そうよ。また、泳いでくるから」
お母さんは、麦わら帽子をかぶって、裏の畑の手入れをしていました。
「コウも一緒なの?」
「うん。お姉ちゃんの友だちも、リクちゃんもいる」
私はそう言ってから、ドン・ジョンソンでおにぎりをいただいたこと、自分が倒れたことを、さらりと話しました。
お姉ちゃんがカッパーさんに相撲しようと誘われたことは、夕飯の時に、ゆっくり面白く話そうと思って、黙っておきました。
「倒れたんなら、泳いだりしないで、おとなしく、コウと一緒に日陰にいなさい」
「うん! わかった!」
全然、わかっていなかったけど、私は元気に返事しておきました。
泳ぐし、お姉ちゃんと日陰にいるつもりもありません。
「ドン・ジョンソンには、お礼に、野菜を持っていくわ」
お母さんの足下のカゴには、ほどよく熟したトマトやピーマン、ナスがいくつも入っていました。
私は、水着の上から、黒のTシャツを着て、黒の短パンを穿きました。
重ね着というか、カモフラージュというか。
ビーチサンダルに足をつっかけようとしたら、そこにアゲハチョウがとまっていて、私はドキリとしました。
見ようによっては花飾りにも見えます。
でも、私にはちょっと……。
「アゲハさん、お願いです、私、それを履いて、川に行きたいの」
私は、そっと言いました。
すると、アゲハチョウは、そっと飛び立ってくれました。
「ありがとう」
私は小さな声で言いました。




