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第87話

「ノベト...私を救ってくれた存在...そして私が愛おしく思う存在...そんなあなたに私の怒りをぶつけるなんて...」


オデルリアが右手を掲げ、私に向けた。


「最高じゃない!」


地面から無数の巨大な植物が飛び出し、私を襲ってきた。

頭、腕、腰、脚。

私は体を跳ね上げ、その場をすばやく離れた。


「へぇ、なかなかやるじゃない。」

「少し鍛えたからな。」

「じゃあ、これはどう?」


オデルリアは右手を指揮者のように振った。

すると地面からさらに多くの植物が湧き出し、私を追ってくる。

私はそれを避けながらオデルリアに向かって跳んだ。


「まさか、それらを誘導して私にぶつけるつもり?」

「できればそうしたかったけど、無理そうだな。」

「当然よ!」


オデルリアの前に巨大な木の壁が突然現れる。

前には壁、後ろには迫る植物たち。

私は腕をクロスさせてその壁に突進した。

木製の壁を突破したと思った。

だが、そうではなかった。

壁は予想以上に分厚く、途中で止まってしまった。


「アハハハハハ!その程度で壊せると思ったの?私の力を甘く見ないで!」


木が生き物のように動き、私の体を締めつけてくる。


「ねえ、ノベト...今すっごく楽しいの。でも怒りはまだ収まってないの。もう少し付き合ってくれる?」


やはり精霊、その力は圧倒的だ。

このままだと原形をとどめないほど押し潰されるかもしれない。


自由自在、硬化、拡大。

私は体を硬くし、巨大化させた。

ゆっくりと、ゆっくりと。

木の壁を突き破るまで。

気がつけば、私は精霊樹と同じくらいの大きさになっていた。


ホルダーの森での研究のひとつは、自由自在の能力を使っている時にどうやって鎧を維持するかだった。

その結果、魔力を消費すれば鎧も自由自在に伸縮できるようになった。

もちろん、魔力が尽きてベトの姿に戻れば意味はないが。


「オデルリア、お前の怒りを受け止めるのもいいけど、そろそろ魔力が尽きそうだ。終わりにしよう。」

「そう簡単にいくと思う?」

「関係ないさ。」


私は巨大化した体で精霊樹に強烈なエルボーアタックを叩き込んだ。

オデルリアがたじろぐ。


「ちょ、ちょっと待って...ノベト何をする気なの?」

「精霊樹を壊す。」


なんとなくだが、精霊樹を壊せばオデルリアを大人しくさせられる気がした。


「じょ、冗談でしょ?それ、私の体そのものなんだけど?しかも精霊樹って簡単に壊せるものじゃないのよ!」

「やってみれば分かるさ。」


私の魔力が先に尽きるか、精霊樹が先に壊れるかの勝負だ。

二発目のエルボーアタックが精霊樹を揺るがす。


「そうはいかないわよ!」


慌てたオデルリアは植物と木々を大量に召喚し、私の巨大な体全体を縛った。

まるで全身ギプスをつけた患者のようだった。


「はぁ、はぁ...」


オデルリアはかなり力を使ったのか、息を切らしていた。


「オデルリア、今からでも俺の話を聞いてエルフの村に謝りに行かないか?」

「いくらノベトの言葉でも、それは無理。だって、今すごく楽しいんだもの!」

「なら、もっと楽しませてやるよ。」


私は自分を包むすべての植物に万物修復を使用した。

本来ならゆっくり成長するはずの植物たちを、精霊の魔力で無理やり成長させて攻撃してきたのだ。

だが、成長前に戻せば、ただの地中に眠る種にすぎない。


私を縛っていた植物と木々は元に戻り、再び地中へと戻っていった。


森には巨大化した私と精霊樹だけが残された。


「どうしてこんなことが...私を超える力なんて...私は精霊なのに...」

「言っただろ。鍛えたんだ。」


私は黙々と精霊樹へエルボーアタックを繰り出した。

オデルリアはその下から必死に妨害しようとするが、私は万物修復で無効化し、再びエルボーを打ち込む。


どれほど経っただろうか。


ピキッ、と精霊樹にひびが入る音が響いた。


「ひいっ!」


オデルリアが怯えた声を出す。


「オデルリア。」


私は動きを止めて彼女に言った。


「これを壊したら、お前はどうなる?」

「...精霊の力を失って、長い間回復に専念することになるわ。」

「つまり、孤独になるわけだな?」

「...そうね。」

「正直、オデルリアにそんな風になってほしくはない。でも、たまには周りの声にも耳を傾けてみないか。」


精霊という存在は、まるで言うことを聞かない子供のようだ。

怒ると好き勝手に行動する。

問題は、そのブレーキがないことだ。

正しいことを言っても、圧倒的な力で押し切ってしまう。

それが正しいとは私は思えない。


見た目は成熟しているように見えても、そうではない。


荒療治だったが、こうでもしないと話を聞いてもらえない。


「うええええええん...」


突然、オデルリアがわんわん泣き出した。

私は慌てて元の姿に戻った。

オデルリアは私に飛びつき、強く抱きしめた。


「どうして...私はただノベトに会いたかっただけなのに...エルフたちは嘘ばかりついて...だからちょっと叱っただけなのに...どうしてノベトは私に怒るの...うわあああん...」


精霊が涙と鼻水を垂らしながら私にしがみついている。

私は彼女の背中をやさしくたたいた。

なんだか、どこかで見たことがあるような光景だ。


「じゃあ、俺の言う通りにしてくれるか?」

「...ひとつだけ条件がある。」


今さら?


「今すぐ、あなたの上で寝かせて。」


私は笑いながら頷き、了承の意を示した。


ただしベトに戻るには服を脱ぐ必要があるため、オデルリアには一度精霊樹に戻ってもらうよう頼んだ。


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