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第34話

先を歩く執事の声すら低く、無表情だった。

ビエラは私を手に持ったまま、黙々とその後を追っていた。

彼女の手つきは丁寧だったが、その指先は冷たかった。


そして到着した一室。

その扉を開けた瞬間──あの“感覚”が蘇った。

言葉にしがたい不快感。まるで、異物が空間そのものに巣くっているような……寄生する“汚れた魔力”の匂い。


部屋の奥には、フェレオラの娘が横たわっていた。

髪は生気なく垂れ下がり、吐息はあまりにも微かで、布団すら揺らさなかった。

まるで“呼吸”ではなく、“記憶”だけで生きているかのようだった。


「この子が、私の娘だ」


フェレオラはそう言った。

声は低く、重かった。さっきとは違う、喉元に絡む石のような、長年の“罪悪感”のにじむ響き。


「数多くの者が訪れた。高位治癒魔法使い、大司祭……誰が来ても無駄だった」


その言葉に、ビエラが静かに尋ねる。


「それは……いつからですか?」

「今からおよそ二年前だった」

「その頃、この屋敷でおかしな行動をした者や、失踪した者はいませんでしたか?」


フェレオラは一瞬ためらい、目をそらして答えた。


「……カルロスという下男がいた」


その名に聞き覚えはない。だが、ビエラの目が鋭くなったのを見逃さなかった。


「彼は庭や馬小屋の管理をしていた。無口で、真面目だった。だが3年前、突然姿を消した」

「……彼は消える前、私の元を訪ねてきた」


その語り口は、まるで告解のようだった。

フェレオラは壁を見つめながら、ゆっくりと思い出すように語った。


「彼はこう言った。『私は魔道至上教の信者です。この村もその教義に従うべきです』と」

「私は馬鹿げた妄言だと思い、笑い飛ばそうとした。だが、その時──彼は“娘”を口にした」


「“娘の未来を思うなら、今、選択を”と」

「そして、それきり彼は姿を消した。ほどなくして、この子は倒れた」


沈黙。

空気が、重く沈んだ。


ビエラはしばらく黙っていたが、静かに口を開いた。


「この病は、誰かに植えつけられたものです。自然な病気ではありません」


フェレオラは彼女を見つめた。


「今、この子の中で蠢いているもの──それは“寄生型の魔力”です。

私の妹も、これと同じ病で命を落としました」


その言葉に、フェレオラの瞳が大きく揺れた。

そして彼女は、深く息を吸い込んで言った。


「だが今回は違う。このベト……この魔道具なら、きっと娘を救えるはずだ」


ビエラはそう言って、静かにうなずいた。

フェレオラは、それに応えるように、深く頭を下げた。


「……娘を、頼む」


フェレオラはビエラに深く頭を垂れた。

ビエラは真剣な面持ちでうなずき、私を床にそっと置いた。


「彼女を、このベッドに寝かせてください」


その声は毅然としていたが、微かに震えていた。

フェレオラはメイドに命じて、娘を丁寧に私の上に寝かせた。


──そして、俺は彼女の“意識の深層”へと降りていった。


超深層潜入ちょうしんそうせんにゅう、発動。

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました。

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