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第24話

「さあ、今日の戦果を祝って乾杯だ!」


ベルゲが音頭を取った。


「飲もう!」

「食おう!」

「ワッハッハッハ! これだよこれ!」


スレイン、メンデイン、ラルフェイルらも続いて歓声を上げる。


ギルドに盗賊を引き渡して報奨金を受け取ったベルゲたちは、そのまま酒場に直行し、料理と酒を注文した。10人のエルフたちは料理と酒が出てくるそばからどんどん平らげていく。空いた皿と空の酒器が次々と積み上がっていく様は圧巻だった。


その光景を見ていると、存在しないはずの胃袋が鳴るような感覚がした。

……ふいに、人間になりたいと思ってしまった。

彼らと一緒に美味しい肉料理を味わい、酒を酌み交わし、くだらない話で笑い合えたら、どれだけ素晴らしいだろう。

ほんの一瞬だけ、そんな欲が過った。


「フェレオラに来ても、いつも金が足りなくてこんな贅沢できなかったが、今回は運が良かったな!」

「本当だな! 店主、酒をもう一杯!」

「こっちは肉だ!」


エルフといえば野菜中心の生活をしているイメージだったが、それは誤解だったらしい。以前、パンテエルにそのことを聞いてみた時のことを思い出す。


「何言ってんだ? 力を出すには色んな栄養が必要だろ。草ばっか食ってたらこんな身体になれるわけねーだろ? 肉は必須だ、酒もな!」


……思い返せば、自分が偏見を持っていたのかもしれないと反省した。


とはいえ、ちょっと騒がしすぎるか? フェレオラに入ってからは目立たないように“念話”の使用を控え、ベルゲたちにもその旨を伝えてあった。


「酒だー! もっと酒をー!」

「もっと肉をー! 持ってこい!」


……食い過ぎじゃないか?


「それにしてもベルゲ、ギルドで依頼を断ってたけど良かったのか?」


モレスが肉を咀嚼しながら尋ねる。


「うん、念のため最下級ランクの冒険者登録はしたけど、俺たちは村を守るだけで十分だからな」

「まあ、今の俺たちなら何でもできそうな気がするけどな」

「ここまでやれば十分だよ、モレス。俺たちの目的は違うだろ?」

「そうだな……」


モレスは少し残念そうに溜息をついた。

さっきギルドで懸賞金の処理をしていた時、受付嬢がベルゲたちの実力を見て依頼をお願いしてきたのだが、ベルゲは内容も聞かずに断った。

最優先はあくまで村に必要な物資を買うこと。そのために時間を使いたくなかったからだ。


「よし、今日は存分に食べて、明日買い出しに行こう」


そのとき──


「おいおい、ちょっと待てよ。お前らだな?」


店の入り口から不満の混じった怒声が飛んできた。

場が一気に静まり返る中、視線を向けると、顔が赤くなったスキンヘッドの大男とその取り巻きがこちらへ歩いてきていた。10人ほどか。どう見ても頭は良くなさそうな面々だ。


「俺の獲物を横取りしたの、お前らだよなぁ? この耳長どもがよぉ」

「同業者か。獲物ってのは?」

「お前らが渡したあの盗賊共だよ、元々俺たちが狙ってたんだよ、この耳長野郎!」


……ストレートな挑発だな。パンテエルがピクリと反応する。


「すまないな。行商人たちが危険だったもんでね、放っておけなかったんだ。よければ俺たちが飲食代を出すから、よかったら一緒にどうだ?」


ベルゲは紳士的に対応する。さすがは村長候補。こんな挑発でムキになるようなエルフではない。


「……そうかい。じゃあ、酒でもいただこうか」

「店主、彼らに酒を頼む」


木のカップを受け取ったスキンヘッド一味は、酒の色を見て満足げに笑った。


「くはは、気前がいいな。けどなぁ……」


視線を交わし合った一味が、突然エルフたちの頭にカップを叩きつけた。

パリン、と音を立てて酒が飛び散り、彼らの髪を濡らしていく。


「俺たちの面子が潰されたんだ! こんな酒や飯で済むと思ってんのかよ!」

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