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第21話

エルゼリアはぽかんとした表情でオーデリアを見つめていた。


やっと分かった。彼女は“子ども”だ。

精霊ってのは、ただ年だけを重ねた子どもみたいな存在。

やりたいことがあればすぐにやるし、気に入らないことがあれば駄々をこねる。

ただ、スケールが異常すぎるだけだ。


「よし、気分を変えてもう一度飲んで食べて楽しもうよ、みんな!」


オーデリアが近くの酒杯を手に取り、場の雰囲気を変えようとした。

まだざわついていたエルフたちも、彼女の一言に耳を傾ける。


「さっきの騒ぎの反省として、こんなのはどう?」


オーデリアが指をぱちんと鳴らすと、辺りにホタルが現れてきらめく光を放ち始めた。

光は徐々に増えていき、夜空に美しく舞い、祭りを幻想的に彩っていく。


エルフたちは光に魅了され、再び陽気にお祭りを楽しみ始めた。

私は融合を解除して元の姿に戻った。


「で? これからどうするつもり?」

「言った通り、世界を見て回ろうと思ってるんだ」

「どうやって?」

「え?」

「その姿で移動できるの?」


……忘れてた。俺、ベッドだった。

あちこち動き回ってたから、まるで自分の脚で歩いている気分だったよ。


「まあ、縮小して誰かに持ってもらえばいいかなって」

「残念だけど、今、君と一緒に行ける者はいないよ」


村長のオレインが申し訳なさそうに言った。


「村の危機は去ったけど、復興にはみんなの力が必要だから……力になれず、すまない」


それもそうだ。あと少し遅れていたら、村は本当に滅んでいたかもしれないのだ。


「そうですね、村長。近いうちに人間の町へ買い出しに行く予定ですが、そのときノベトと同行するのはどうでしょう?」

「おお、ベルゲ!」


確かに、以前も必要な物を手に入れるため人間の町に行くと言っていたっけ。

自由な旅はまだ無理でも、こうして少し遠出するのは良い経験になるだろう。


「そうね、一人で旅するのは難しいだろうし、それなら少し外の世界を見られるわよね」

「う〜ん、心配だなぁ……私は人間の町までは行けないし。もしノベトに何かあったら……」

「大丈夫だって、オーデリア。すぐに帰ってくるだけだし、何も起きやしないよ」

「……なら、絶対早く帰ってきてね?」


人間の町か……ずっと気になってた。

エルフとは違う文化、生活、価値観。どんなものが待っているのだろう?

そんなことを考えながら、私はエルフたちと祭りの夜を満喫した。


──数日後。

再び集まったベルゲとその愉快な仲間たちは荷物をまとめ、村の入り口に立っていた。


荷物運びには体力のあるエルフが適している。だからこその人選だろう。


「では、村長。行ってまいります」

「うむ、気をつけて行ってくるのだぞ」

「ところで……エルゼリアは?」

「何かあったようで、数日前から部屋にこもっておる」


「では、人間の町で気晴らしになりそうなものでも買ってきますか。ははは……」


多くのエルフが見送りに来てくれたが、エルゼリアの姿だけがなかった。

祭りの日に精霊に殺されかけて、最終的には認められたとはいえ、いろいろな感情が交錯しているのだろう。


一方、オーデリアはしばらくの間、精霊樹に残って他の異変がないか確認すると言っていた。


「じゃあ、行こうか」


私たちは、エルフの村を後にし、人間の町へと旅立った。

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