第17話
「ねえ、よければ話を聞いてくれないか」
闇が聞いていようがいまいが、俺は話しかけた。
「君がなぜこんなことをしているのか、俺にはわからない」
闇の攻撃が激しさを増す。ベッドのフレームがきしむ。
「でも、君は長い間精霊を苦しめて、多くのエルフたちを傷つけ、命を奪った」
ステータス画面を確認する。
「体力:50,000 / 39,998 魔力:50,000 / 0」
硬化していても、体力はどんどん削られていく。痛みはないが、意識が薄れていく感覚があった。画面を閉じた。
「正直に言えば、俺は何もしたくなかった。静かに暮らしたかっただけなんだ」
背もたれにヒビが入る音がする。
「でも、エルフたちと出会って、こうしてここまで来てしまった」
脚の一本が折れた気がする。闇の攻撃は止まらない。
「だから俺は、君を許せない。そう、君に立ち向かう。攻撃はできないけど、精霊が目覚めるまで、耐えてみせる」
闇から焦りが感じられる。さらに脚が飛んだようだ。構うものか。ここは精神世界。脚がなくても、ベッドとしての役割は果たせる。
「どうした? 精霊が復活したら、何か都合が悪いのか?」
背もたれの一部が砕け落ちた。
「だったら君は──ここで終わりだ」
各部が次々に破壊されていく。フレームが崩れようが、マットレスが裂けようが、布団と枕で精霊を包み込んで守るつもりだ。さあ、来い。
視界が消えた。何も感じない体だが、精霊を包んでいるという感覚だけは残っている。
──このまま終わるのも、悪くない。無駄死にじゃないといいけど。
「ありがとう」
突然、体に生命力が満ちてきた。
「おかげで、少し体力が回復した。これなら、闇を払える」
若い女性の声が耳に届いた。精霊様だ。……間に合ってよかった。
「私を助けてくれた者、名を教えて」
「ノベト」
「ノベト……森の精霊、オーデリアが心からの感謝と祝福を贈ろう」
視界が戻る。体が元通りになっていく。
「上位存在に認められたことで、名を与えられる条件を満たしました」
名を得る条件、かなり厳しいな。さて、何が変わったのか確認しよう。
---
**ステータス更新:**
- 名前:ノベト
- レベル:50
- 職業:精霊のベッド
- 体力:65,000 / 65,000
- 魔力:65,000 / 65,000
- 使用可能魔法:
- 熟睡歓迎(LV.2)
- 絶対空間(LV.4)
- 空間浄化(LV.2)
- 保有スキル:
- 熟睡超回復(LV.4)
- 万物理解(LV.3)
- 軽量化/重量化(LV.2)
- 炎化(LV.4)
- 硬化/軟化(LV.4)
- 拡大/縮小(LV.2)
- 超深層潜入/脱出(LV.1)
- 保有耐性:暗黒(LV.3)
- 攻撃力:0
- 防御力:20+@
---
職業が変わった。「精霊のベッド」か……何かすごそうだ。
魔法と能力も大きく強化されている。名前にふさわしい力を発揮できればいいけど。
「ねえ、精霊様」
「オーデリアって呼んでいいよ」
「じゃあ、オーデリア精霊様──」
「“精霊様”もいらないよ」
「……わかった、オーデリア」




