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第12話

「熟睡歓迎(LV.1)は、一定範囲内の状態異常を持つすべての生物に影響を与える魔法ですが、精霊のようにあなたより格上の存在には、一定確率でしか効果を発揮しません」


──つまり、一度で眠らせることはほぼ不可能というわけだ。

やはり、先に確認しておくべきだった。

ということは、精霊が範囲内に入ってから効果が出るまで、「熟睡歓迎」を継続して発動しなければならないのか。

しかも、その間、魔物の攻撃を防ぐためには「絶対空間」も展開しておく必要がある。


現在の私の状態は……


【名前:(なし)/レベル:45/職業:ベッド】

【体力:60,000/60,000 魔力:60,000/60,000】

【使用可能魔法:熟睡歓迎(LV.1)、絶対空間(LV.2)】

【保有スキル:熟睡超回復(LV.3)、万物理解(LV.2)、軽量化・重量化(LV.1)、炎化(LV.2)、硬化・軟化(LV.2)、拡大・縮小(LV.1)】

【保有耐性:暗黒(LV.1)】

【攻撃力:0/防御力:15+@】


ベルゲと共に戦う中で、防御力は少しずつ上昇している。

レベルの上がり方は以前より遅くなったが、着実に成長は続いている。

攻撃力がゼロなのは少し残念だが……。


「現在のポイントで選択可能な魔法は、全499種中1種、スキルは500種中1種です」


万が一に備えて、今はポイントを温存しておくべきだろう。

ベルゲたちは戦闘の合間にも休憩を取らず、前進を続けている。

ゆえに新しい能力を一つ一つ試す余裕などない。


道中、多くの魔物と遭遇してきた。

狼型や鳥型など、どれも黒く歪んだ獣の姿をしていた。

サイズはまちまちだったが、さっき戦ったベルゲの三倍はあるような、熊のような魔物と戦った時は、正直「やっと倒せた」という印象だった。

もしそれよりも大きな魔物が来たら、果たして対処できるだろうか……?


「現在保有中のポイントを使用し、新しい魔法を……」


そこまでだ、声さん。今は聞かない。

今の私は前衛ではない。後方支援だ。

だからポイントは温存したい。

必要な時が来たら、またおすすめを頼む。


そして私は、自身の能力を改めて調べ、いくつかの実験をしたのち、静かに眠りについた。


翌朝、私はベルゲに話しかけた。


「ベルゲ、俺を装備して戦ってくれ」

「……なんだと?」

「俺は大きくなれたように、小さくなることもできる。だから小さくなった俺を、お前に身に着けてほしいんだ。そうすれば、もっと移動が楽になる」

「ふむ……小さくなっても、絶対空間の範囲は変わらんのか?」

「もちろん。みんなが寝ている間にいろいろ試しておいた。今後は、ベルゲを中心にして戦った方が効率が良い」


ベルゲはしばし思案したのち、うなずいた。

こうして私は、装飾品サイズまで縮小し、ベルゲの首にかけられた。

筋肉ムキムキの胸元で揺れる私。

ベルゲは何度か身体を動かして感触を確かめたのち、満足げに頷いた。


「確かに! 移動も戦闘も集中しやすくなった。感謝する」

「食料も少なくなってきた。これからはもっとスピードを上げないとな」

「ああ、最近の魔物は強さも数も増してきている」


我々はさらに奥へと進んでいった。

私の「万物理解」で敵の気配を察知し、ベルゲと仲間たちが対処する。

「絶対空間」でダメージを防ぎながら戦う。単純だが堅実な戦法だった。


ベルゲの仲間9人も筋骨隆々で、外見が似ており、私は彼らを使っている武器で区別していた。

槍、斧、メイス、盾、アイアンナックル、双剣、大鎌──完全に近接戦闘に特化した布陣だった。


遠距離武器は補給が必要だ。

矢を使えば回収の手間もある。

無駄なく前進し続けるには、近接が一番だ。

彼らの連携は見事だった。まさに頼もしい仲間たちだ。


だが戦闘は、今までよりもはるかに激しかった。

魔物たちは血も体液も流さず、倒れると煙のように消えていく。

それでも攻撃の重さと体力の量は脅威だった。

怪我はなくとも、スタミナの消耗が激しく、仲間たちは疲れを滲ませていた。


そのときだった。


──「……を……て……」


「万物理解」が新たな声を捉えた。

か細く掠れた少女のような、苦しそうな声。

どこか悲しげで、弱り切った声だった。


「ベルゲ……精霊様って女性なのか?」

「……っ!? 聞こえたのか!?」


激しい戦闘の合間に休息を取っていたベルゲは、その言葉に目を見開いた。

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