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第11話

「……ああ、その形の寝具のことか。あれは“ベト”と呼ばれているよ」

「ベト?なんだか微妙な響きだな」

「エルフの言葉ではない。人間たちの言葉だ」

「人間?この世界にも人間の村があるのか?」

「うむ。エルフの村では手に入らない物資は、人間の村から運ばれてくる。ポーションもその一つだ。ただし……ここからは一ヶ月ほどかかる場所にあって、そう頻繁には行けない」


「なるほど……それだけ長く村を空ければ、魔物の襲撃に対応できないというわけか」

「そう、その通りだ。だからこそ、私や仲間たちは村を離れられないのだ」


物資を運ぶには力のある者が必要だ。だが、その者たちは皆戦闘要員であり、持ち場を離れることはできない。これが悪循環を生んでいるのだ。


「さて、そろそろ寝るとしよう。明日もよろしく頼む」

「任せてくれ。ぐっすり休むといい」


そう言うやいなや、ベルゲはすぐに眠りについてしまった。

私はただ静かに、揺れる焚き火の炎を見つめていた。


我々は少しずつ精霊樹に近づいている。

しかし──私は思った。もっと早く進まなければならない。

もし時間をかけすぎれば、私たちがいない間に魔物が村を襲うかもしれない。

そんな不安が頭をよぎった。


もともと私の精霊樹攻略法は、エルゼリアの力を借りることにあった。

軽量化した私は彼女の矢に結びつけられ、飛翔し、固くなった身体で精霊樹を破壊する。

とてもシンプルな作戦だ。


だが、ベルゲの話を聞いた今、あの作戦はあまりにも無謀だったと気づかされた。


まず、精霊樹を壊すという発想自体が間違いだった。

汚染された精霊樹を排除すれば魔物も消える──そんな安直な思い込みだった。


それに、もし私がエルゼリアの元を離れたら、彼女は絶対空間の効果を得られなくなる。

つまり私が精霊樹へ飛んでいる間、彼女は無防備な状態で魔物の標的になってしまうのだ。


……彼女は、エルゼリアはその状況に耐えられるのか?

大群の魔物に襲われたとき、果たして彼女は立ち向かえるのか?

そうでなければ──彼女は……いや、考えたくもない。


私の浅はかな考えが、誰かを危険に晒すところだった。


周りを見ずに突撃しても、傷つくのは周囲の者たちなのだ。

きっと村長も、こうした展開を想定していたのだろう。


私の見通しが甘かった。申し訳ありません、村長様。

やはり年の功というものは侮れない。戻ったら必ず謝罪しよう。


さて、作戦を練り直そう。


ベルゲの言う通り、我々はこのまま精霊樹へと向かう。

私が精霊に声をかけ、この事態を終息に導く──それが現段階の目標だ。


もし、精霊と会話ができなかった場合……?


──眠らせるしかない。

私はベッドなのだから。

それが相手が精霊様であっても、「熟睡歓迎じゅくすいかんげい」の招待から逃れることはできない。


ただし、魔物には効かなかった。

以前、ベルゲたちが眠っている間に試してみたが、まったく反応がなかった。


つまり、魔物は生き物ではない──ということ。


それならば、精霊様が“眠る”ことで魔物の活動が止まるのではないか。


しかし、これはあくまで私の推測だ。


今は、もう一度その仮説を確認しておく必要がある……。


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