第39話崩れる平穏と迫る影
第39話:崩れる平穏と迫る影
村を取り巻く霧が、静かに揺れていた。セレスの歌によって浄化されたはずの土地に、再び不穏な気配が立ち込めている。
「……何か、来る」
セレスが囁いた。その声はかすかに震えていて、彼女の中に芽生えた予感が確かなものだと告げていた。
俺たちはすぐに武器を手にし、警戒を強める。クロウは森の方へ目を凝らし、エリスは魔力を収束させて詠唱の準備を整えていた。
やがて、森の奥から——黒い装束の男たちが現れた。
「……奴ら、前にも出てきた“狩人”だ!」
クロウが声を荒げる。
彼らは、セレスの命を狙う謎の勢力。以前、街道での戦いで一度退けたはずの者たちだった。
「どうしてここが……?」
俺の疑問に答えるように、敵の一人が口を開いた。
「“歌い手”の力が、封印を解いた。場所など、すぐにわかった」
不敵な笑みとともに男が刀を抜く。その気配は、以前とは比べ物にならないほど鋭い。
だが、俺たちはもう以前のままではない。
「行くぞ!」
俺が剣を振るい、クロウとエリスが援護に入る。セレスは後方で静かに歌を紡ぎ始めた。
だが、戦いの最中——突如、森の奥からさらなる気配が。
「……!?」
現れたのは、巨大な魔獣。だが、その姿はどこか奇妙だった。黒い紋様に覆われた体、そして目の奥に宿る狂気。
狩人たちすら一瞬、動きを止める。
その瞬間、セレスの歌が響いた。
「……あれは、封印獣……!」
エリスの声が震える。
状況は一変した。人と魔獣、両方と対峙する最悪の展開。
だが、俺たちは負けない。
この手で、セレスを守り抜くために——。
---
次回:「封印獣の咆哮と交錯する運命」




