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17 王太子妃?え、誰が?

今回はちょっと短いです。

「もちろん、受けてもらえるな?」


国王陛下が私を見ながらまるで私が承諾するのが決定事項のようにそう言うので、私は微笑みを浮かべたまま固まってしまっていた。


おっとこれは想定してなかったぞ。

この場合私はなんと答えるのが正解なんだろうか?

いくら私でも婚約を受けた時の対処法Vr.王族なんて知らないんですけど?!

助けてパパン!


「恐れながら申し上げます陛下。娘との婚約の話を進めるのであれば、我がブロッサム公爵家と事前に話し合いの場を設け両家での了承を得て話を通しておくのが筋ではないでしょうか?なにもこのような公の場で突然話題にすることではないかと。」


私は動けず、他の貴族たちが騒然としている中で、さっと一歩前に出て片膝をつき手を胸に当てて堂々と奏上するお父様はやっぱり頼りになるわ!

もしかしたら私の助けてコールが届いたのかもしれない。

いいぞお父様ー!!もっと言ってやってくだせー!


余裕の不敵な笑みを浮かべつつ国王陛下はお父様をジロリと凄い威圧ある視線で見つめる。

でもその様子は怒っているというより、切れ者のお父様を出し抜けて愉快といった風に見えるのだけど。


「はてブロッサム公爵。ここは公式の場であるが、余はいつ発言の許可を与えただろうか?」


「申し訳ありません陛下。突然のことに私としたことが筆頭公爵でありながら()()()()()慣習に反する行いをしてしまったようです。しかしながら事はブロッサム公爵家の宝である娘の将来に関すること。ここは親の務めとしてご容赦いただけると幸いです。」


えーっと、つまり今の会話を意訳すると


『なんだてめぇ!公式の場で王である俺に対して許可もなく意見するなんぞ百年早いわ!』


『あぁん?先に慣習を無視したのはそっちじゃねえか!文句言われる筋合いはねぇ!国王だからって筆頭公爵を無視してうちの娘を寄越せなんぞいい度胸だ!』


って感じかな?たぶん。


さすがお父様。国王陛下に釘をさされながらも怯まずさらりと答えただけじゃなくて、嫌みをまぜつつ不敬にならない範囲で反論してみせた。

こっちとしては不敬罪にならないかちょっとびくびくしてるけど。


しかし、そもそもお父様の言う通りこの場合慣習を無視しているのは王家の方なのだ。

婚約は突然言い渡すものではなく、事前に根回しや話し合いをしながら双方の同意があって進められるものだ。

それが王家なら尚更簡単に、婚約しよーねー!といって決まるものでもない。


王族や貴族にもなれば政略結婚なんて当たり前。

王子の相手となれば名門の高位貴族のご令嬢の中から何人かの候補を挙げ、家柄、容姿、財力、教養等々様々な項目から吟味されて決定される。


そうして選出された候補者へ王家から『お宅の娘さんを婚約者候補として考えているんだけどどう思うー?』みたいな婚約の打診がくる。


そう婚約の打診であって婚約の申し込みではない。

なぜなら王族から正式に婚約を申し込まれて断るなんてことは王国の貴族としてほぼできないからだ。

だから双方で前向きに検討するといういい返事をもらえて初めて婚約の申し込みを行うのが形式。


だから私はたしかに婚約者候補として筆頭であるかもしれないけど、だからといってこんな大勢の貴族たちの前でいうようなことじゃない。


お父様の言葉に陛下も反論できないはずだ。

こんなに大勢の貴族たちの前で婚約の話が出てきた以上穏便になかったことにするのは難しいだろうけど、まあ婚約が前向きに話が進められてしまうという最悪の事態は避けられたかな。


これは勝ったなと内心お父様に拍手喝采をあげていると、ふいに陛下の口元に少し笑みが浮かんだような気がした。



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