Lost in space. Maggie-Alice-Garry-Iria-Nanami-Ariane-Gifunda.
「ソフィアの目が赤に変わった…。」
ギルフィッテが言った。
「今回は持ったわね。少し対抗が出来たのかしら。」
花蓮が言う。
「何悠長な事言ってんのよ。」
ギルフィッテが語尾を強め言った。
「仕方ないでしょ、本当の事なんだから。」
マギーナがコクピットの中から言う。
「まぁ、何にしてももう少し…。」
花蓮が言う。
「急いで…。」
ギルフィッテが急かす。が、急かされてもどう仕様もない。
「無茶言わないでよ…。システムはこちらの状況を汲んではくれないのよ。」
と、花蓮もソフィアを見やる。
ソフィアの赤い目…。アドレナリンが分泌されている証拠である。後どれだけもつのだろうか ? 不安が胸中を過る。マギーナが力一杯操縦桿を握りしめている。そんな不安をよそにソフィアは目前のフェネックRに攻撃を仕掛け続けている。
アドレナリンの散布によりよりテンションは高く上がる。其れに合わせるように民のヘルメットの中にもアドレナリンが散布され始める。
「さっさと死ねやボケがぁ !!」
ソフィアが叫ぶ。
「はん、お前が死ね !!」
フェネックRが叫ぶ。
お互いの罵倒しあう声がコクピットに響き、剣を振り回し、蹴りつける。アドレナリンのお陰かソフィアの動きに何とか合わせられるようになってきた。否、違う。心なしかソフィアの動きが鈍くなってきているのだ…。
相手は…。人間だ。そぅ、人間なのだ。体力的にも精神的にも限界がある。其の限界が近いという事…。民は歯を食いしばり更に攻撃を仕掛ける。
「ウザい…。ウザい、うざい、うざいんだよお前 !!」
ソフィアがイライラとした態度を見せ更に強く、更に早くフェネックRを追い立てる。そして、フェネックRの右足を切り落とした。
「ざまぁぁぁぁ…。」
そう言ってソフィアが更に追い討ちをかける。その行動にフェネックRが一旦後方に引く。
「逃がすかよ。」
「逃げるかよ。」
そう言ってフェネックRがソフィアの攻撃を受け止める。が、民の精神力はとうの昔に限界を通り越している。辛うじて動けているのはアドレナリンのお陰…。だから更に動きを早めたソフィアの動きについていくのには無理があった。
だからソフィアが繰り出す次の攻撃は交わせなかった。ソフィアは簡単にフェネックRの右腕を切り落とす。続けて左腕…。
「何だ ? 終わりかよ兵隊さん。」
少し拍子抜けしたソフィアが言った。
「ふん…。十分だよ。」
「あ ?」
ソフィアがフェネックRを睨めつける。
「お前は終わりなんだよ…。」
「俺が ? お前の間違いじゃないか。」
そう言うとソフィアはアトミックソードを振り上げた。
そして、次の瞬間俺は口から血を吐いた。
「何だ…。生暖かい…。これは ?」
同時にソフィアの目が点滅し始める。
「花蓮…。まずいよ。ソフィアの目が…。」
ギルフィッテが叫んだ。
「目が何 ?」
「緊急救援信号を発してる。」
「嘘 !!」
そう言って花蓮がモニターを見やる。
「花蓮 ! システム復旧は ?」
マギーナが問う。
「後30秒ほど…。」
「30秒…。」
そう言ってマギーナは唇を噛む。
「30秒って、その間に悠那が…。誰か援護に…。」
ギルフィッテが言う。
「どの状況を見て言ってるのよ。無理に決まってるでしょ。」
花蓮が言う。花蓮の言う通りそんな余裕は誰にもない。
「だったら私が…。」
「何言ってるのよ。あんた次なんかあったら流産よ。」
「だからって…。」
「五月蝿い !!」
花蓮とギルフィッテのやりとりにマギーナが声を荒げ叫んだ。
「たかが30秒でしょ…。其れぐらい悠那は何とかするわよ。」
そう言ってマギーナはコクピットから宇宙を見やる。
右足、両腕を切り落とされたフェネックR、動きを止めたソフィア…。
「限界だな…。」
フェネックRが言った。
「だ、誰が…。」
「何かしんねぇけど目が点滅してるぜ。」
「其れがどうした ?」
「だからよ、終わりだって事さ…。」
そう言ってフェネックRがソフィアを蹴り突ける。回避行動を取れずソフィアはそのまま後方に吹き飛ばされる。そこに更にもう一発。更に蹴り突け蹴り突け蹴り突ける。
その度に目の前の視界がグニャリト歪む。
口から吐き出す血。
ソフィアの体が突如重さを感じさせ思うように動かせ無くなる。
目前に表示される”危険”の文字…。腕が、足が、異様に重い…。指が、指先が硬直したように動かない。
「金色野郎…。部下の仇。隊長の仇…。討たせてもらうぞ !!」
フェネックRが叫ぶ。そしてソフィアの頭部目掛けて左足を力一杯振り下ろした。
…。
…。
「舐めんなよクソッタレが…。」
何とか頭を右にそらし攻撃を避ける。フェネックRの左足はソフィアの左肩で止まる。
「ひつこいな…。もぅ、終わりなんだよ。」
そう言った民の意識も限界である。
「終わるかよ…。俺は…。俺は…。」
目の前が霞む。
意識が遠く。相手の声ももはや聞こえない。
遠のく意識…。
俺は…。
俺は…。
「頼むから…。終わらせてくれ。」
そう言ってフェネックRは再度足を高らかと上げる。そして…。高熱の光がフェネックRの頭部を打ち抜いた…。
「悠那 !!」
マギーナが叫ぶ。然れどその声はもはや聞こえない。
「悠那 !! 悠那 !!」
然れどマギーナは悠那を呼び続ける。呼び続けピンクレモネードをソフィアの目前で停止させた。
「悠那…。もうちょっとの我慢だから。死んじゃダメよ。」
そう言ってコクピットハッチを開けソフィアの頭部に移動する。
頭部にある強制ハッチ開放ボタンを押し、コクピットハッチを開けマギーナは中に侵入した。
「だ、誰 ?」
遠い意識の中で言った。
「マギーナよ。」
そう言いながらマギーナはハッチを閉めた後システムを終了させた。
「マギーナ…。ど、どうして。」
「いいから…。君はゆっくりしてなさい。後は私が何とかする。」
そう言い乍ヘルメットを脱がせマギーナは俺に薬を飲ませた。変な液体の薬…。ちゃんと飲めたかどうかも分からない。
「き、君が…。」
それが最後に言った言葉…。薬の所為か、それとも何もかもが限界に来ていたのか、残念な事に俺の意識は此処で完全に途切れた。
「本当、英雄気取りね…。」
それから少しの間だけマギーナは悠那を見やった。そう言ってマギーナはピンクレモネードに戻ると花蓮に通信を送った。
「システムは止めたわ。回収は任せるから。」
「了解よ。せっかくだから好きなだけ暴れてきなさい。」
花蓮が言う。
「当然でしょ…。」
そう言ってマギーナは全速力で前線へと向かう。
ブルッと指が震える。
ヒクヒクと唇がつる。
絶体絶命の状況…。
高まる緊張感…。
ゾクゾクする快感…。
濡れる、濡れる、濡れる…。
感じすぎて逝きそうよ。
「堪らない…。この感覚、この快感…。」
ブツブツと言いながら目前の敵5機…。マギーナは瞬時にロックし右手に持つバズーカ砲をぶっ放した。
玉の弾道軌道が1つ、続けて1つ、更に1つ、また1つ、オマケに1つ。その行動その動きに全く無駄がなく撃ってすぐにピンクレモネードは次の行動に移る。
ヒムエンコの目前で、リリーの目前でフェネックの頭部が弾け飛ぶ。だが、すでにピンクレモネードはその更に前方に移動している。
「ひ、姫様…。」
ヒムエンコが言った。
「な、何 !! 姫様だと !!」
オビーが叫んだ。
「冗談でしょ…。あのクソビッチ。」
「誰がクソビッチよ。あんたのオニャニー写真ばらまくよ。」
マギーナが言う。
「ちょ、ちょっと何言ってんのよ。皆んなに丸聞こえじゃない。」
「欲しけりゃ売ってあげるわよリリー。」
そう言い乍ピンクレモネードは更にアトミックソードでフェネックを壊す。次いでに腕のアームに持たせたライフルでファイターを落とす。
「しかし、実戦では更に凄いな。」
マインズが言った。
「感心するな。バルドルにどやされるぞ。」
オビーが言う。
「確かに感心してる暇はなさそうです。」
ヒムエンコが接近する巡洋戦艦鳳、巡洋艦2隻を見やる。
そして、3隻の艦から一斉射撃が開始された。
「バニング司令官。」
ギュネルが言う。
「分かってますよ。主砲照準。目標敵巡洋戦艦。」
バニングが指示を出す。
「主砲発射と同時左舷30度かいとう。」
ロイスが指示を出す。
「撃て !!」
バニングの号令と同時に敵巡洋戦艦、巡洋艦からも主砲が発射された。その攻撃をお互い辛うじて回避するが、敵は第二射目を続けて打ってくる。
「交わせ交わせ交わせ !! 何があっても当てるなよ !!」
ロイスが叫ぶ。
「主砲どんどん撃てよ。レーザー機銃もレールガンも打ちまくれ、良いかぁ、温存しようなんて考えるな。撃って撃って撃ちまくれ !!」
バニングが叫ぶ。
全てが最終局面。
泣いても笑ってもこの次はない。
CUEも海賊もありったけの戦力をぶつけ合う。
ファイターが次々に撃ち落とされる。
フェネックが海賊の兵器を叩き潰す。
海賊がフェネックを叩く
マギーナがフェネックを次々に潰していく。
然れど、
然れど…。
敵巡洋戦艦は未だ健在。ボーンバルドルの様に艦首全面が破壊されている事はない。健在であるから何も恐れない。
彼等は迷う事なく前線に突き進んでくる。そして撃ち放つレーザー機銃にレールガン。その攻撃はファイターの撹乱攻撃の比ではない。
「厄介よね…。」
マギーナが言う。
「姫様…。無理はいかん。」
オビーが言う。
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ。」
そう言ってマギーナが鳳に向かって進路を取る。鳳までは約22キロ。抜ける進路は敵部隊の手薄な場所…。その進路が宇宙に表示される。
「全く…。オビー特攻部隊は姫様の援護に向かう。」
オビーが通信を入れる。
「了解。」
そう言ってきたのは1機。
「既に残ってるのは1機だけか。」
「奇跡の生き残りですよ。」
隊員が言う。その言葉に改めて周りを見やると確かにほとんどの兵器が潰されている。ヒムエンコの部隊、マインズの部隊…。全部合わせても10機程度…。
奇跡の生き残り…。よく言ったものだ。
「上等だ行くぞ !!」
そう言うとオビー達はマギーナのケツを追いかける。それを拒む様にフェネックが次々とマギーナを襲う。が、マギーナはするりと交わしアトミックソードでフェネックを破壊する。そして後ろから援護攻撃を仕掛けるオビー達にフェネックの動きが止まる。
「何だ…。あの兵器、動きが…。」
CUEの兵士が言う。
「何ビビってるただの兵器だ !!」
そう言ったのは笨だ。
「しかし…。」
「ひるむな馬鹿者。此処まで来て旗艦を落とされたら洒落にならんだろうが。怖いならお前達は後ろの奴を殺れ。俺があれを潰す。」
そう言って笨がマギーナのピンクレモネードに戦いを挑む。
「邪魔しないでよね。」
「な、女か…。」
「だったら何よ。」
そう言ってアトミックソードを振り下ろす。それをロベーンソードで防ぐ。が、ピンクレモネードは直ぐにスパイラルで蹴りつける。見事にフェネックRの腹に入り笨が吹っ飛ばされる。
「隊長 !!」
「俺に構うな !!」
笨は体制を立て直し、再度ピンクレモネードに向う。
「しつこい。」
ピンクレモネードがライフルを撃ちまくる。フェネックRはそれを避けるが上手く避けられず2、3発命中した。辛うじて頭部には当たっていないが左脇腹と右肩を撃ち抜かれた。
「隊長 !! 誰か隊長の援護に回れ !!」
隊員が叫ぶ。
そしてマギーナの元にフェネックが集まり始める。そしてピンクレモネードに向かってライフルを一斉射する。その攻撃を丁寧に避けながらピンクレモネードは1機フェネックを落とす。が、オビーの隊員が此処で討たれた。
「隊員 !!」
オビーが叫ぶ。
「大丈夫ですよ。コクピットには…。」
と、言った所でフェネックに頭部を破壊された。
「貴様ぁぁぁ !!」
と、オビーが声を荒げる。が、叫んだ所でオビーの兵器はもはやボロボロである。正直それで如何にか出来ると言う状態ではない。それでもオビーは向かって行く。
「オビー、無茶しない。」
「おうよ、姫。」
そう言い乍ジャイアントビームアックスを振り回す。
その動き鈍く機敏さに大いに欠ける。フェネックはヒョイっとそれを避けロベーンソードで切りつける。それを後ろからマギーナがアトミックソードでフェネックの頭部を破壊した。
「もぅ、下がってなさいよ。」
「しかし姫…。」
「ロートルは邪魔なのよ。」
そう言ってマギーナはオビーの兵器を掴みボーンバルドルに向かって投げ飛ばした。そして又ライフルのシャワーがマギーナを襲う。マギーナはそれをするりと交わし敵旗艦鳳を睨めつける。
目標まで19キロ…。
敵人形兵器の数は10機…。
「10機 ? 結構残ってるわね。」
ボソリト呟き最短距離をなおも突き進む。その中で付近のフェネックを潰そうとも思うが、彼等はピンクレモネードから一定の距離を保ったまま近づこうとはしない。だからマギーナはライフルの攻撃を避けながら鳳に進む。
その攻撃は休む事なくマギーナを襲う。まるでこちらに向かって来いと言わんばかりに放たれる光の雨…。然れどマギーナはその誘いには乗らず敢えて鳳だけを狙う。
その距離は10キロ…。
9キロ…。
8キロ…。
と短くなっていく。
やがて鳳からもピンクレモネードに向かって攻撃が開始される。
流石にそうなるとやばい…。
これ以上攻撃を避ける事は難しくなる。敵の攻撃が微妙に当たり始める。レールガンの弾が外装をかすめる。ビームが外装を弾き飛ばす。兵器に衝撃が走りワーニングの文字が表示される。
「此処らが限界ね…。」
そう言うとマギーナは鳳に向かって攻撃を開始する。敵の攻撃を避けながらただ無心に鳳を攻撃する。その間ピンクレモネードに接近攻撃を仕掛けてくるものはいない。近ずけば自分も的にされるからだ。
鳳の前で夥しい光が交差する。
「全く…。気の強い女だ。こちらの誘いには乗らず、一直線に鳳に向かって攻撃を掛けるか…。で、そっちの状況は ?」
笨が通信を入れた。
「はっ、ほぼ制圧完了です。」
「そうか…。ご苦労。」
そう言うと笨は鳳に通信を入れた。
その直後鳳から戦闘停止の信号弾が上がった。




