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Impact penetrate 崩壊2


 ーーグニャリト目の前が歪む。この歪な歪みが人形兵器と人を融合させた証。仮想現実と現実の融合と言うべきかーー。

 然れど、完全に意識がシステムの中に入るでもなく、逆にシステムが完全に脳の中に入ってくるでもない。ゲームであれば完全に意識はシステムの中に融合され其処が第二の現実世界に変わる。だから、この現象は技術が無いのではなく敢えて中途半端な融合にしているのだ。

 その理由は一つ。

 此れが現実の戦争だからだ。

 ここがゲームとの大きな違いの一つになる。

 ゲームの様に完全にシステムの中に入ってしまえば、自分が人形兵器になってその巨体をグイグイ動かすことも可能になるし、どちらかと言うとその方が合理的で、余分な操作をしなくて良いぶんパイロットの負担も減る。と、思われがちだが実際は一度システムの中に入ってしまえば、意識を戻すのに最低でも10秒から13秒ほどの時間が必要になってくる。これは大破した人形兵器から脱出する時に大きな負担となってパイロットの生存率に大きく関わり、何よりも融合するという事は、兵器に搭載されている19560個のセンサーが常にパイロットの脳に情報を送り続けるという事になる。その負担は尋常ではなく並の人間なら凡そ3秒で廃人になるらしい。

 まぁ、3秒というのが本当かどうかは知らないが、士官学校で教えられたのは3秒だった。此れは人の処理能力とコンピューターの処理能力の差と言う事だろう。

 だから、飽く迄もパイロットが必要最低限の操縦を行い、システムが補助をすると言う形を取っているのだ。

 だからコクピットの中に入れば、例外なく簡素な造りである。

 真っ白なコクピットの中には操縦桿とアクセル、そしてパイロットシートがあるのみだ。そのコクピットの中でヘルメットを被り人形兵器のシステムを起動するとほんの2、3渺程でそのグニャリとした感覚に襲われる。

 そして、僕の目の前には人形が見ている世界が広がり、各種計器類がその中に浮かび上がるように表示されていく。

 必要なコンテンツは指で動作をすれば呼び出すことができる。勿論言葉でも反応する。正し、この兵器が何処まで仕上がっているのかは分からないのでそれは定かではないが、標準のドールOSを使用しているのなら其れも問題は無いはずだ。

 悠那は各種コンテンツを開き始めてみる人形兵器の粗方の内容を確認している。勿論緊急時であるため念入りにチェックすることはできないが、燃料の残量、搭載武装の確認は必要不可欠である。いくらここに兵器があろうと燃料がなければ動かない。丸腰では死にに行くようなものである。

 だから、いくら悠那が少尉になりたてのヒヨッコであっても、それだけはシッカリと確認する癖がついている。もといワールドオブウェポンズドールでもそのチェックは必ずしなければいけないので、どちらかと言うとゲームの癖が染み付いていると言った方が良いのかもしれない。

「良し、燃料は満タンんだな。後は、武装かーー。ぶ…。何だこれ。」

 と、搭載武装のコンテンツを開き悠那が呟いた。

「悠那、点検は済んだか ?」

 日比野から通信が入る。

「は、はい。済みましたけど。」

「けど何だ ?」

「いや、この兵器、殆どがビーム系ばかりだなってーー。」

「だな。まぁ、剣もあるしスパイラルもあるから何とかなるだろう。」

「はい。だけど…。今更ビームって。」

 と、悠那が落胆している所に那奈の大きな顔が悠那の世界に飛び込んでくる。

「ボクぅ、文句言わないのぉ。何にしても無いよりマシでしょ。其れに実はスッゴイ威力があるかもしれないしぃ。」

「そうである事を祈ります。」

 か細い声で沙也が通信に割り込んできた。

「え、ナニ ? 沙也ちゃんどうしたの ?」

「此のファイター、ミサイルが10基付いている以外全てビーム兵器なんですよ。」

「え、嘘。」

「本当ですよ。泣けてきます。」

「それは辛いわね。じゃぁ沙也ちゃんはミサイル打ったらとっとと鬼神丸に行っちゃいなさい。」「其れに実はすごい威力があるかもしれないしさ。」

 と、悠那が答える。

「は ! ナニ、ボクは沙也ちゃん殺す気。」

 そう言うと那奈はジロリと悠那を見やる。

「えぇぇぇ、だって那奈さんがーー。」

「おい ! いい加減にしろ。おしゃべりは後だ。そんな事より大和大国軍のシグナルを出すのを忘れるなよ。」

「もおぉ、勇ったらぁ。大和大国軍じゃないわよ。今はぁ宇宙統一連合共和国でぇ軍は全て統一されてSuAg軍って名称なのよぉ。」

「あ、そうだったな。」

「え、宇宙政府統一連合じゃなくて、宇宙統一連合共和国なんですか ?」

 驚いた様子で悠那が聞き返す。

「そうよぉ。さっきラジオで言ってたもんねぇ。」

「ラジオっていつ聴いてたんですか ?」

「ここに来る途中よぉ。あんたたちが後ろでいちゃついてるときかなぁ。」

「そ、そうだったんですか。」

「生意気な小娘がフライングしちゃいましたぁぁなんて言ってたわよ。」

 生意気な小娘とは元フランス女王陛下のメルシェーダの事だ。

「フライングってーー。軽いですね。」

「おいーー。良いからさっさとシグナルを出せ。」

 ジロリと見やり日比野が言った。

「は、はい。すみません。」

 そう言うと悠那は自軍のシグナルを点灯させる。日比野は悠那、那奈、沙也のシグナルの点灯を確認するとギュッと操縦桿を握り格納庫の扉を見やり視線を天井に向けた。

 リオンが天井をぶっ潰して出て行ってくれたおかげで出口を確保する必要がなくなっていた。そして、その先の上空に見えるのは紛れもなく宇宙だ。ニューセイルの天井を突き破り出て行ったのだろう。彼らしいーー。否、彼女らしい豪快なやり方だと日比野は感心した。

「悠那ーー。しっかりついてこいよ。」

「はいーー。」

「よし、それじゃぁ日比野英雄部隊発進する。」

 そう言って日比野がアクセルを力一杯踏み込んだ。それに応えるように人形がグッと重い体を上空に浮かせ一気に上空に駆け上がっていく。

「お先にぼくぅーー。」

 そう言うと続けて那奈が日比野の後を追うように上空に駆け上がって行った。僕はそれを見やり乍ら、沙也、先に行ってくれないかーー。と、言う。

「え、でもーー。」

「いいんだよ。沙也の事はぼーー。」

 そう言って僕は言葉を飲んだ。

 そう、弱いままではダメなんだ。だって、沙也の恐怖をぬぐえるのは僕しかいないのだからーー。

「何があっても俺が沙也を守る。だから安心して先に行ってくれ。」

「悠那ーー。うん。わかった。」

 そう答えると沙也は那奈の後を追うようにファイターを上空に駆けあがらせていく。そして、最後に残った僕が沙也の後方を守るように人形を発進させた。

 何とも言いようのない、グロス系の赤ピンクと赤で塗装された兵器が力づよく上空に駆け上がっていく。

 新型のテスト機に乗れる事等殆どない状況でこの兵器に搭乗できた事は、兵器マニアの自分にとっては嬉しい限りなのだが、いかせんこの塗装が気に入らない。

 それでも日比野大尉や那奈、沙也が搭乗した兵器よりは幾分マシではある。細分化されて塗装された其れは余りも滑稽で恥ずかしすぎる。

 其れに、余りにもテスト機丸出しでは相手に付け入られる要因になる。と、此処で何故日比野大尉と那奈が敢えて其れに搭乗したかを知った。

 初陣の僕がテスト機で付け入られれば、落とされる確率が格段に跳ね上がるからだ。悔しいがこれが現実なのだろう。

 其れはコンセプト機でも大して変わらないのではとも思うが、この独特な色合いでスペシャルな奴が乗っていると警戒される可能性も有る。

 もしも、相手が警戒してくれれば逆に僕が相手の隙をつける。と…。此れはゲームとは違うんだ。そんなに上手くいくものか。と、自分に言い聞かせてみるが。

 それなのにーー。

 心臓の鼓動は相変わらず高鳴ったままだ。勿論それは怖いからじゃないと言う事は自分が一番よく理解している。

 だって僕の前に表示されている世界はゲームの世界そのままだし、迫りくる重圧も緊張感もゲームをしている時のそれとなんら変わることがなかった。

 目まぐるしく流れていく景色は暗闇という事もあり、あまり実感できないがそれでも華奢な体つきの割にはしっかりとパワーが有るという事は十二分に伝わってくる。

 格納庫からニューセイルの上空を突き進みリオンが開けたニューセイルの天井までは数秒もかからなかったように思う。気がつけばもうそこに宇宙が広がっていた。ここから見える宇宙はいつものそれと変わらないようにも思えーー。

 否、今閃光がリオンが開けた穴を照らした。

 先に行った日比野大尉と那奈さんは無事なのだろうか ? ふと、不安が胸を締め付ける。今の閃光は何だったのだろうか。 

 然れど考えていても答えは出て来ない。

 其れに、戦争をしているのだ、閃光の一つや二つ当たり前のように放たれる。誰に聞いてもそう言われるのがオチだ。

 僕はグッと歯を食いしばりさらにアクセルを踏み込む。さらなる力が加わり人形は予想以上のパワフルなポテンシャルを発揮した。

 そして、

 僕と沙也は宇宙に躍り出た。


 目の前に広がる僕の宇宙ーー。


挿絵(By みてみん)


 ニューセイルの外壁で戦闘を繰り広げている自軍と敵軍。損傷は僕が考えていたよりも数倍も酷くボロボロだった。ニューセイルの外壁付近で防衛を続ける巡洋戦艦や巡洋艦に駆逐艦。敵の攻撃を必死に食い止める人形兵器部隊。

 状況がどうなっているのか知りたいがそんな暇さへ戦場は与えてはくれない。それは敵軍がニューセイルの外壁にまで到達しているからだ。

 しかも、その数は僅か6機程度。その6機程度の兵器がニューセイルの兵器を相手に戦闘を繰り広げている。

 何なんだ此れはーー。

 と、悠那はくるりと周りを見やる。鬼神丸の事がふと気になったからだ。然れど見やる場所にあの大きな戦艦の姿は見当たらなかった。

 そして、

 戦場で立ち止まっている僕の宇宙に、警告のアラートと同時に弾道軌道が表示された。敵の放つミサイルがこの兵器に向かって飛んで来ていると言う事だ。僕は即座に回避行動をとり攻撃態勢をとる。 

 戦闘の真っ只中において立ち止まる事は許されない。何故なら此処には隠れる所が殆ど無い宇宙だからだ。先に出て行った沙也も直ぐに戦闘態勢に移りファイターをグイグイと動かして迎撃態勢に移行している。

 流石、場慣れしているだけの事はある。

「悠那ーー。」

「あ、日比野大尉。」

「ぼっと突っ立ってるんじゃねぇよ。ここは戦場だぞ !」

「は、はい。すみません。」

 言っているそばから悠那は沙也に見惚れていた様だ。慌てて左腰から剣を抜くとグイグイと兵器を動かし始める。

「敵はニューセイルの外壁にいる部隊のみだ。それに集中しろ。」

「はい。でもーー。」

「心配するな。向こうの連中は何故だかは知らなぇけどな。ある一定の位置からは攻めてこねぇんだ。」

「攻めて…。来ない ?」

「ほぅ…。出て来たばかりで良く分かったじゃないか。」

 不意に通信回線に割いる声…。それと同時に鶸のフェネックが日比野に襲い掛かった。

 日比野がグイッと兵器を回転させ攻撃を回避する。

「うちには優秀な分析官がいるんだよ。」

「分析官 ? あ、伊藤中尉ですか。」

「あぁぁ、あいつは分析力には長けているからな。」

「じゃぁ、伊藤中尉は…。」

「伊藤も皆んな無事だよ。今はなーー。」

「ふん。喋れる余裕があるってのは良いものだ。」

 そして又鶸が日比野を襲う。

 今度は光り輝く閃光が目の前を通り過ぎていく。

 これは…。

 僕は思わず間合いを取る。

 なんとも言えない敵の仰々しい姿が悠那の宇宙に映り込む。そして両手に持つ光り輝くイマイチな武器。それは宇宙全土を照らそう程の輝きを放っているビーム兵器ではないか。

「ビームで作り上げた剣か。」

「悠那ーー。侮るなよ。」

 そう言い乍ら日比野が大剣を構え攻撃を仕掛ける。それに合わせるように相手が追撃をかける。相手の持つビーム兵器の威力が分からないから迂闊には近づけないが、日比野大尉が変に気を使っているような動きであることは見てわかる。悠那は敵のビーム兵器に気を使いながらサポート攻撃を繰り出そうとするが、別のフェネックが悠那に襲いかかる。グイッと振り下ろすビームの剣が悠那の兵器に襲いかかる。悠那は日比野のサポートを中止しグイッと体制を変える。

「こっちもビーム兵器か。」

 と、言うものの一応此方にもビーム兵器は存在している。只、それがどういった代物か分からない以上迂闊に使用する事はできない。

 何故なら…。

 ビーム兵器とは世界最弱の兵器だからだ。

「何を今更…。俺達の軍はお前達とは違うんだよ。」

 そう言ってエリン-ノワルが更に襲い掛かってくる。

「違う…。ふざけるな。技術力じゃこっちの方が上だよ。」

 と言ったものの相手のビーム兵器が世界最弱の兵器であるとは限らない。それにこの状況で、この少ない部隊編成で、しかも世界最弱のビーム兵器で、このニューセイルの外壁に到達しているのだ。

 と言う事は少なからずそのビーム兵器は世界最弱では無いと言う事が言える。

「技術が上でもヒヨッコじゃなぁーー。」

 そう言い乍らエリンが一振り、二振りと剣を振り下ろし、振り下ろした剣を振り上げる。悠那はそれらをひらりと避け乍ら反撃のタイミングを見定める。

 結局そう言う事を考えると益々迂闊に手出しが出来なくなる。間合いを取るか、とも思うが相手はその間合いを上手く取らせてくれない。

 武器の性能と兵器の性能が良い証拠。そして曲がりなりにもワールドオブウェポンズドール世界ランキング4位の自分を思うように戦わせない腕は相当な物とも思われる。

 ーー何て、上から目線は敵の攻撃を食らった瞬間に消え去った。

 敵はビームの剣をこれ見よがしに振り回し、時折上段蹴りや下段蹴りも合わせて打ってくる。こちらは相手のビームに気を取られ、そのおかげで相手の蹴りがバンバン入ってくる。その度に丸太でど突かれた様な衝撃が走り意識が飛びそうになった。

 要するに僕の根拠のない自信は単なる過信だったのだと思い知らされる。

 何だこれ…。

 何なんだよこの衝撃は…。

 この凄まじい衝撃を受けながら僕は素直にこう思った。


 話が違うと。


 訓練の時も、ゲームの中でもこれ程の衝撃を味わった事は無い。時折…。否、時折どころか殴られるたびにゲロを撒き散らしそうになる。ギュゥゥゥゥット歯を食いしばり出そうになるゲロを必死に胃に戻す。此処で吐き出せばヘルメットの中がゲロまみれになるからだ。まったく、初陣にして最悪の出だしだった。

 そして、日比野大尉や那奈さん、そして沙也から通信が入ってくる。大丈夫 ? と言った内容だったように思う。が、最早答える余裕も気力もない。

 何が沙也を守るだ。

 カッコイイこと言って何もできないでいる。否、何もと言う事はない。現に僕はゲロを我慢しているのだ。

 そしてザックリーー。

 敵のビーム兵器がいとも簡単にニューセイルの外壁に切り込みを入れた。その威力は外壁に切れ込みを入れるだけでなく、その周囲の鉄材等をも弾け飛ばす。

 冗談じゃない…。

 それを見やった僕が素直に感じたことだった。此れでは運良く切られなかったにしても、触れるだけでそれ相当のダメージと衝撃が兵器とコクピットに伝わって来る。と、言う事はパイロットである僕はかなりのダメージを受ける。

「マジかよ…。世界最弱何処ろか世界最強の兵器じゃないか。」

「お前…。何を今更なこと言ってんだよ。」

 エリンが答える。

「今更って…。僕は今初めて見たしーー。」

「あぁぁ…。散々使ってただろうがよ。って、ひょっとしてお前今戦場に着いたばかりか。」

「そうだよ。」

「だよなぁ。俺もそんな馬鹿みたいなグロスピンクの兵器は見なかったからよ。」

「馬鹿って言うな。好きで乗ってんじゃないよ。」

「そうかい。そいつは残念だ。残念序でにおバカな兵器と一緒に死んじまいな。」

 そう言うとエリンは悠那の兵器を力一杯蹴りつけるとそのまま2撃、3撃と兵器を蹴りつけた。グイッと悠那の兵器が宙に浮く。そこをすかさず足のスパイラルで蹴り突ける。悠那の兵器が力一杯弾き飛ばされ、ゴロゴロとニューセイルの外壁を転がっていった。

 この攻撃の中で敵がビームの剣で攻撃しなかったのは余裕というやつだったのだろうか ? 其れとも殴るだけ殴って苦痛を与えた挙句に殺そうという魂胆なのか…。

 どちらにせよ相手はこの兵器の色を見て、僕の事をスペシャルだと勘違いしてくれていなかった事だけは確かだと言えた。

 そして、口からゲロが一気に溢れ出す。

 殴り殴られた挙句ゴロゴロと転がされ、食いしばる力も尽きた僕の意識は完全に参っていた。溢れ出すゲロがヘルメットの中で溢れかえる。鼻を指す臭気で僕はもう一度吐く。

 自分のゲロでもらいゲロをするなんて滑稽過ぎるが、僕にはお似合いのような気がした。

「クソ、クソ、クソ !」

 僕はゲロを吐きながらヘルメットを脱ぐ。ヘルメットの中からゲロがダラダラと落ちてくる。僕はそれを見やり2度程続けて吐いた。

 気分が悪い。

 首が痛い。

 背中が痛い。

 身体中が悲鳴を上げている。

「は ! 無様だなルーキー。ゲームと現実の差を実感出来たか。」

 ヘルメットから敵兵の声が聞こえた。ヘルメットを脱いだ所為で兵器との同調が途切れているので敵兵の姿はおろか外の景色も僕には分からない。

「げ、げん…。じつ ?」

「ああ、そうだ。ゲームの衝撃は実際に受ける衝撃の10分の1に設定してあるからな。其れにCUEも残り6カ国も訓練の時は人形兵器のパワーは10分の1に設定してあるはずだぜ。」

「ま、真逆…。」

「本当さ。勿論ルーキーにはその事実は言わない。言うと自信をなくしたり、実際の戦場で臆したりするからな。」

 何だそれ…。ゲームの世界は実際の其れと全く同じはず。真逆それは嘘だったのか。僕は愕然となりながら真っ白な壁を見やる。

「さあ、お喋りは終りだ。あばよルーキー。」

 エリンが悠那の兵器に跨りビームの剣を振りかざす。

「ちょ、ちょっと待てよ。」

 咄嗟に言葉が出た。

「死ぬのが怖い…か。だがよ、それは皆同じだルーキー。」

「誰がルーキーだよ。僕はコレでも世界ランカーだ。」

「世界ランカー ? ひょっとしてワールドオブウェポンズドールのか ?」

「そうだよ…。」

 口元に着いたゲロを拭いながら答える。

「ほぅ、それは凄いじゃないか。だが、所詮ゲームはゲーム。英雄になり損ねた小僧がビービー喚くのが戦場ではない。」

「そうだね…。でも、伊達に4位をキープしているわけじゃない。」

 現実がどうであれ、今自分が置かれている立場が好転するわけじゃない。僕は必死に強がって見せた。見せた所で状況は既に詰んでいる。

 体の痛みも気分も最悪のままだ…。

 しかも、調子こいて出てきてまだ数分も経っていない。此処で殺されれば文字通りの瞬殺だ。僕はシート後方に用意されているマルチファンクションヘッドディスプレーを自分の頭部に装着した。ヘルメットと違い対G軽減処置はされていないが、何も見えないままではどうにも出来ないし、其れに…。ゲロの臭いが染み付いたヘルメットは被りたくなかった。

「4位…。其れは凄いじゃないか。」

「だろ。名前を教えようか ?」

 と、僕は右手に持つ剣をエリンのフェネックめがけて振りかざした。然れどエリンはいとも簡単にその攻撃を受け流す。淡々と話していても全く油断していなかった。

「ほぅ、良い根性だ。ルーキーにしてはあっぱれだな。その根性に免じて望み通り名を聞いてやろう。」

 そう言うとエリンはビームの剣の切っ先を頭部に向ける。

「如月…。如月悠那だ。」

 答えながらフィールド上に武装リストを表示させる。ビーム兵器の威力は敵の攻撃で証明済みだ。と言ってもこちらの其れが同等の力を持っている保証は無い。其れでもこれに賭けるしか生存の道は無かった。

 人形兵器のアウトサイドが表示されビーム兵器の搭載箇所が示される。ビームの剣は本来ならアームが内蔵されている両腕に仕込まれている。これなら抜く動作をすることなく一気に反撃できる。僕はグッと歯をくいしばる。

「如月悠那か。俺のヘッポコリストに生涯残しといてやるよ。今度こそ本当にあばよルーキー。」 

 そしてエリンは切っ先を向けていたビームの剣を高く振り上げ力一杯振り下ろす。


 その瞬間ーー。


 眩いばかりの閃光がエリンの右腕を吹き飛ばした。

「な、なんだーー。」

 と、同時にエリンのフェネックも左方向に弾き飛ばされる。

 勿論その衝撃は僕のコクピットにも強い衝撃をもたらした。くるだろうとは思っていたが予想以上の衝撃が体を突き抜ける。

 構えていても矢張りキツイ。”フー、フー”と息を吐きながら兵器を立ち上がらせる。エリンのフェネックはとうに体制を立て直している。

 流石はベテランと言ったところか…。

「ふん…。やるじゃないか。」

 先ほどとは声のトーンが変わった。ゾクリと背筋に悪寒が走る。

「まぐれだよ。」

「否…。違うね。狙ったのさ。お前は危険な奴だ。」

 エリンが言った。嬉しい過剰評価だが、矢張りあれはマグレだ。ビームの剣を振り下ろすエリンのフェネックに合わせるように左腕に内蔵されているビームの剣を振り上げた。確かに合わせる様に振り上げたが、狙ってできる芸当では無い。だから、狙ったと言っても矢張り其れは偶々上手く行っただけに過ぎない。

 偶然振り上げた腕がフェネックの右腕を切り裂いただけなのだ。

 僕は右腕に内蔵されているビームの剣も抜く。

「ほう、両腕内蔵型か…。正に奥の手って奴だな。」

 そう言うとエリンは左手に持つビームの剣を構えると一気に間合いを詰めてきた。

 ゾクリ、ゾクリと悪寒が走る。

 然れど、今は僕にもこれがある…。

 エリンの攻撃に合わせる様に剣を振る。一撃、二撃と相手の攻撃を交わし反撃を加えていく。其れでもエリンが押される事はない。片腕がなくなっても未だ左腕と両足が存在しているからだ。何の事は無い片腕が無いだけではハンデにもならなかった。

「甘いんだよルーキー。ビーム兵器だけが私の強さだと思うなよ。」

 そして、フェネックの蹴りが腹に入る。

 僕は又吐いた。

 最早胃液しか出てこない。

「もらったぁ。」

 目前に迫るフェネックが剣を振りかざす。僕は咄嗟にビームの剣でそれを防いだ。その瞬間、目の前が真っ白な光に覆われ、体が粉々に弾き飛ばされるような衝撃が全身に走った。ビームとビームが混じり合う衝撃だ。

 僕は歯を食い縛る。食い縛るが胃液が口の隅からダラダラと垂れてくる。吹き飛ばされそうな意識を必死に持ちこたえさせ乍ら必死に相手の剣を押す。

 然れど相手も力任せに剣を押してくる。

 やがて白色現象がなくなりフェネックの姿がコクピットに映る。

「な、何だこの衝撃は…。うぬぬぬぬぬ。」

 エリンのウネリ声がコクピットに響く。其れでもエリンはグッと歯を食いしばり剣をグイグイと押す。

「ううううううううう。」

「うぬぬぬぬぬぬぬぬ。」

 お互いの根性が試される引くに引けぬ状況。口からダラダラと胃液が…。ブクブクと泡が出てくる。エリンは思わずゲロを撒き散らしヘルメットを脱ぎ捨て、シート後部のマルチファンクションヘッドディスプレーを装着し尚も相手を見据える。

「ルーキー…。中々根性があるじゃないか。」

「おじ、おじさんこそ。無理は体に悪いですよ。」

「ほざけ、俺は未だ28歳だ。」

「ぼ、僕は19歳だ。」

 と、胃液を吐き兵器を後退させる。視界がグニャリと歪み眼前暗黒感に襲われる。しかし其れは相手も同じ。こちら同様動こうとしない。

 目頭を軽く揉みほぐし前を見やる。視界が未だ少し歪んでいるのか視点が合わない。が、それはヘッドアップディスプレイが自動で調整してくれるので視界は直ぐに元に戻った。其れよりも問題なのは体だ…。ブルブルと震え激痛が全身を駆け巡っている。ふわふわと浮いたような世界が目の前でゆらゆらと揺れている。

「クソが…。何て無様な姿なんだ。」

 エリンが悪態をつく。

「僕はとっくにゲロまみれだ。」

「ルーキーと一緒にするんじゃねえよ。俺は鶸大佐の特別親衛隊だぞ。その俺がゲロまみれだぁぁぁぁ。あぁぁぁ、クソ。手に付いたじゃねえか。」

 何とも激しい人だと思ったが笑える余裕はない。ボヤけた指の感覚を頼りに僕は操縦桿をいじる。そして、グッと相手に詰め寄った。

 右腕のビームの剣を振るい左のビームの剣を振るう。エリンはそれをヒラリと避けると腹に蹴りを入れてくる。グエっとえづくが最早何も出てこない。出てくるのはカエルを潰したような鈍い擬音だけだ。

 吹き飛ばされる兵器の腰を落としグッと持ちこたえさせる。目の前にはビームの剣を振り上げたフェネックが襲いかかってくる。咄嗟に右腕のビームの剣でガードに入るがその手間でエリンが攻撃を止めた。

 お互いの額から冷や汗が滴り落ちる。

 お互いあの衝撃を二度も味わいたく無いと言うのがありありと出ている。両機は一旦下がり間合いを取る。

 そして又互いの兵器が絡み合う。

 一撃、二撃と攻撃を繰り出すたびに、エリンの回避行動が必要以上にビームを警戒しているのがわかる。避ける時も一歩踏み込んでいた姿勢が、完全に後退しながらの回避行動に変わっているからだ。

 要するに敵も相当参っていると言う事だ。其れでも僕よりは幾分もマシだろう。僕の体からは冷や汗が溢れ出し身体中の痛みは治るどころか酷くなってきている。

 其れでも僕は攻撃の手を緩めない。緩めれば間違いなく殺されるからだ。一撃、二撃と繰り出し蹴りを入れる。エリンはビームをやたらと警戒し自分のビームの剣で防ごうとしない。然れどそれはこちらも同じ。交じり合いそうになる手前で攻撃を止めてしまう。其れでも全く攻撃できなかった先ほどとは打って変わり面白いほど蹴りが入るようになった。

「クソガァァァァ !」

 エリンの声がコクピットに響く。

「余裕こいているからだ。」

「ほざくなクソガキィ。殺してやる。」

 フェネックの腰を落とし左肩をグッと前に出し特攻をかけてくる。一撃、二撃とビームの剣を振るい。間髪入れずに繰り出す足技に僕は又翻弄される。

 避けたはずの蹴りが予想外の場所から現れる。ビームの剣で誘導し足技で仕留めに来ているのだ。僕は又タコ殴りにされゴロゴロと外壁を転がっていく。

 焦る。

 焦る。

 その揺るぎない闘志。

 少しでも優勢になったという勘違いが更なる恐怖を抱かせる。必死に兵器の体制を立て直しグッと歯を食いしばった。

 詰め寄るフェネックが剣を振るう。僕はそれを左の剣で迎え撃つ。エリンは攻撃を止めるが僕は止めない。

 これしかないのだ。

 僕が勝つにはこれしかないのだ。と、ビームの剣を交合わせる。その瞬間目ん玉が飛び出そうな衝撃が体を突き抜ける。

「ル…。何をーー。」

「ふ、ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。こ、これ、これしか…。」

 僕は必死に操縦桿を握り右の剣で相手の体を切り刻んだ。その衝撃でフェネックの上半身と下半身が別の方向に飛んで行った。僕はそれを見やりドッと体の力が抜けた。

「エリン…。」

 日比野のテスト機に攻撃を仕掛け乍ら鶸が言った。

「悠那…。やったのか。」

「中々見所のあるルーキーだな。だが、詰めが甘い。」

 弾け飛び外壁に転がっていくフェネックを見やり乍ら鶸が言った。

「余裕だな。自分の部下が殺られたってのによ。」

「殺られた ? ふん。兵器は未だ爆発もなくコクピットも無事だ。残念だがそれを殺ったとは言わない。とどめを刺して初めて殺っただ。其れにルーキーは疲れ切っているようだぞ。」

「だな…。」

 そう言いながら日比野がビームの剣を一振り、二振りと振り下ろす。鶸はそれをひらりと交わすと逆にビームの剣を一振り二振りと振り下ろし蹴りを入れる。

 日比野は悠那の様に殴られた衝撃ぐらいでゲロを吐く事はない。ゲロは吐かないが体が受ける負担は変わらない。鶸の駆るフェネックに殴られる度にじんわりと冷や汗が噴き出してくる。

 其れに、なれぬ兵器に初めての武器は今までの戦闘の様にはいかず。逆に翻弄されるばかりである。少なくとも鶸の率いている部隊はそれなりの訓練をしているのだろうが日比野達は皆無である。駄目元で抜いたビームの剣も使い方が分からなければ然程の戦力にもならない。

 其れに切っても切られてもコクピットに伝わって来る衝撃はお世辞にも心地よいものではないし、ビームとビームが交わった時は地獄の苦痛を受ける事になる。此れでは恐怖で足が竦んで踏み込んだ攻撃も出来ない。

 否、其れは相手も同じはず…。

 なのに鶸の攻撃は臆する事なく繰り出される。

 それを見やり僕は恐怖を覚える。否、怖くとも踏み込まなければ、先程の奴の様に殺られるだけ。実際に僕も踏み込んだ…。其れが勝利につながった。

 否、戦闘はまだ続いている。一機落とせただけで勝利と言うのはゲームの中での話だ。戦闘の最中ダウンしている暇などないのだーー。

 僕は操縦桿を握る。身体中に激痛が走った。此れが本当の戦闘だと思い知らされる。僕はもう一度全身を駆け巡る激痛を我慢しながら操縦桿を握った。

 兵器の腰をグッと落としアクセルを踏み込む。兵器の体がふわりと宙に浮く。周りを確認しようと首を振りまた激痛が走る。難儀な事に首を動かすことができない。仕方なく体ごと動かし周りを見やる。幸いな事に周囲には鶸の兵器と日比野の兵器以外見当たらなかった。

 沙也と那奈さんは…。フト、脳裏をよぎる沙也の顔。僕は体を動かしながら何度も宇宙を見やるが矢張り見つける事は出来ない。

「ボク、勇ーー。そっちは大丈夫。」

 そんな折、那奈から通信が入る。

「あぁ、悠那も無事だ。そっちはどうだ ?」

 日比野が答える。

「うん。何とか沙也ちゃんとやってる。」

「そうか…。それで鬼神丸は ?」

「未だ…。」

「未だ、何だよ。」

「出航してない。」

「しゅ…。」

「そうか。鬼神丸は未だ港か。」

 鶸が言った。

「嬉しそうだな。」

「そりゃぁ、嬉しいさ。鬼神丸を沈めるのが目的なんだからな。」

「ふん。その割にはえらい大掛かりだな。てっきりニューセイルを落とすためだと思ってたぞ。」

「結果的にはそうなる。君も大型戦艦の破壊力を知らないわけではあるまい。あれと的にやりあってはこちらの被害もかなり甚大なものになる。ならば、どうする…。停泊している所を狙うのが一番被害が少なくて済む。」

「成る程。それで港から離れた場所を攻撃しているのか。」

「残念だがそれは違う。別の部隊がしっかりと港を襲撃しているさ。」

「あぁぁ、そうかい。それは良かったですね。」

 と、憎まれ口を叩くものの全く歯が立たない。鶸の攻撃を必死に交わすが向こうには些かの余裕を感じる。

 否、感じるのではない。余裕なのだ。

 遊んでいる…。

 そうだ。彼奴は遊んでいるのだ。この状況で、この大掛かりな作戦の最中であってもこの戦いを楽しんでいるのだ。

 誰が死のうと、誰を殺そうと、彼はそれら全てを楽しんでいる。

 

 だが、これはゲームじゃない。


 戦いでゲームオーバーになった兵士とはこの先、顔を見ることも、話すことも、怒ることも、喜び合うことも…。


 楽しく笑いあえることもないのだ…。


「那奈…。退路は確保できそうか ?」

「退路 ? それは無理よ。どこもかしこも真っ最中よ。」

「クソ…。鬼神丸の援護には行けるか ?」

「う〜ん。無理かも。敵が多すぎ。」

「ふ…。諦めろ。どう足掻こうと君達の負けは確定している。ここで私を引き止めた所で何の意味も持たぬ。」

「あるさ…。お前の首を取れば、この先の状況は変わる。」

「そうだな。ならば取って見るか ?」

 ニヤリと笑みを浮かべ鶸はその攻撃をさらに激しく日比野に打ち付ける。先程まで交わせていた攻撃がサクリサクリと兵器の表面を傷つける。ビームの威力は凄まじく、表面をかすっただけでもその衝撃は簡単に兵器の体制を崩す。

 そして、その度に体に激痛が走る。

 攻撃の速度が上がった…。

 矢張り、遊んでいたのか。

 と、謎は解明できても状況は打破できない。

 圧倒的な強さの違い。

 サクリサクリと表面を傷つけていただけの攻撃は、次第に深く兵器を切り刻んで行くその攻撃はこちらに反撃の隙を与えない。

 ただ切られ、

 殴られる。

 剣撃の合間に飛んでくる蹴りが激しく体を打ち付け無慈悲に吹き飛ばされる。ゴロゴロとテスト機が外壁の上を転がって行く。そして襲いかかる光の刃は、今間さに目前で煌々と輝きを増し悪魔の如き笑みを浮かべている。

 横たわるテスト機の目前にフェネックがとどめを刺そうと襲いかかる。

「どうやら、状況は変えられそうになかったな。」

 勝ち誇った鶸の声…。

「日比野大尉 !!」

 そして、今際の際に聞こえる悠那の声ーー。

 日比野はふとフェネックの後方に目を向ける。

 ビームの剣を振りかざし、今間さにフェネックに斬りかかろうとしているグロスピンクの兵器が日比野の宇宙に映っている。

「ゆ…。」

「甘いな。ルーキー。」

 鶸がボソリト言った。

「え…。」

 そして、斬りかかるコンセプト機を後ろ蹴りで一蹴。そのままグロスピンクの兵器は弾き飛ばされた。

「悠那…。迂闊に飛び込むな。此奴はーー。」

 と、日比野はその隙をついてすかさず悠那の元に移動する。

「日比野大尉…。大丈夫ですか。」

 そう言いながらゲッゲッとえずく。

「俺の心配は無用だよ。」

 死にそうな声で日比野が言った。

「ふん。余裕だな。真逆、未だ本気では無いということか。」

「余裕ーー。冗談。千成武人相手に余裕なんかあるかよ。」

「え、千成武人 ? 千成武人ってあの千成武人ですか。」

「だよ。彼奴のあの動き、あの鼻に引っかかる喋り方。間違いねぇさ。ワールドオブウェポンズドール史上初の1023連勝で千成武人の称号を獲得した帝王…。兼、中華連合帝国皇帝特別艦隊総司令官の鶸鴻鉞じゃくほんえつだ。」

「兼ってのは何だ ? 万年2位のゴールデンボンバー君。」

 鼻で笑いながら鶸が言った。

「ゴ、ゴールデンボンバー ? 日比野大尉がゴールデンボンバーって…。真逆、あの ?」

「何だ。君は知らなかったのか。」

「え、ま、まぁ。」

「ふん。まぁ、あれだけ毎回のように戦いを挑まれれば嫌でも分かる。真逆、この戦場で出会えるとは思ってもみなかったがね。」

「なんだ…。それで遊んでたのか。」

「ふ…。私とて少しは楽しみたいさ。」

「楽しみたいって…。それより、真逆、日比野大尉がゴールデンボンバーとは。」

 と、僕は千成武人と日比野大尉の会話よりも沙也の事が気になった。

 そう、ゴールデンボンバーは沙也の名前をあんな淫らな名前に変えた張本人。と、僕は脳裏に沙也の顔を思い浮かべる。

 そして、 

「お前かぁぁぁぁぁぁぁぁ !」

 と沙也の唸る声が僕達のコクピットに響き渡った。


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