第24話 コラム-10 AIとの壁打ちは「完成度6割」でスパッと離脱
注:これは2026年8月現在の状況を基に書きました。
AIと壁打ちする時のコツのようなものです。
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前回、英語圏の「パラグラフ・ライティング(一直線な論理)」と日本人の「起承転結(展開の波)」という、文章フォーマットの根本的な違いについての持論を述べた。
AIの根底には英語圏のロジックが流れている。
そのため、AIに小説や文章のたたき台を書かせると、どうしても「ツルツルしてなんか変」という違和感が生まれてしまう。
じゃあ、
「指示を工夫し続ければ、日本人的な感覚にフィットする『完成度10割』の文章を出力させられるのではないか?」
と思うかもしれない。
結論から言おう。
そんなことを目指すと、人間とAIの双方にとって、不毛で地獄のような時間を過ごすことになる。
■ 10割を目指すラリーが「泥沼化」する理由
AIに「もっとドラマチックにして」「ここに『転』を入れて」と要求を重ねると、AIはそれっぽい修正を返してくる。
しかし、ラリーを続けるうちに強烈な違和感が蓄積していくはずだ。
その元凶は、単語レベルでの「構造の違い」にある。
英語のロジックで動くAIは、文脈を繋ぐ際に「これ(This)」や「それ(It)」といった代名詞を乱用する癖がある。
しかし、代名詞に対して日本語は、英語ほど厳密な文法的な縛りがない。
日本語では、話題に出てくる主語や目的語といった「名詞」を次々と、「共通の認識」に放り込む。
だから、代名詞を連発されると、読者は「一体どの名詞を指しているのか」が分からず迷子になる。
防止策として「名詞の再提示(ズバリ元の言葉をもう一度書く)」や、文脈に合わせた接続詞の変更といった「構造そのものの大工事」が必要になる。
しかし、チャット画面越しに、微細な日本語のチューニングをAIに要求し続けると、AIは指示を処理しきれなくなる。
無難な優等生回答のループに陥るか、最初に提示した自らのロジックに固執して動かなくなってしまう。
気がつけば、何時間も画面をにらみ合った挙句、出来上がるのは個性の死んだ「無難な文字の塊」だ。
■ 黄金律「たたき台6割」でバトンを受け取る
だからこそ、AIとの創作においては以下のマイルールを強くお勧めしたい。
「AIとの壁打ちは、完成度『6割』の時点でスパッと切り上げる」
全体の構成、大まかな流れ、プロットの骨組みの提案。
ここまでなら、AIさんたちは、は一瞬で、しかも極めて優秀な仕事をしてくれる。
もし壁打ち中にAIが持論固執モードに入ったら、説得するのは諦めよう。
引き継ぎ用の「要約」だけを出力させ、別のチャット、あるいは別のAIに移動して仕切り直すのが賢明だ。
■ 残り4割の「大工事」は著者の特権
6割のたたき台ができたら、AIのチャット画面から離脱し、テキストエディタを開く。
ここから先は人間の仕事だ。
AIが作った一直線でドライな骨組みに対し、代名詞の迷子を「名詞の再提示」で整え、日本語らしいスッキリとした文脈に大工事する。
そして、人間にとって最も美味しくて楽しい「起承転結のドラマ」や「行間の情緒」を織り込んでいく。
完璧な全自動ロボットを求めず、「ちょっとお堅いけれど優秀な、たたき台製造機」として付き合う。
その方が人間も疲れないし、何より、自分の血肉を通わせる「創作」の圧倒的な楽しさを味わえるはずだ。




